見出し画像

「まぁるい日本 国家安全保障(ビジョン2100)」No14~Ⅱ-1:国家安全保障戦略(その5)

●準同盟国(友好国)の拡大

一千海里シーレーンから中東にいたる地域の周辺で、地政学的に重要な位置を占める国々と連携しながら、様々な手段で政治的に安定した国作りと経済的発展を支援し、準同盟国たり得る関係を構築することは、我が国の安全保障の強化につながる。

戦略的に重要な位置にある発展途上国の関心は、まず安全保障と政権の政治的安定であり、次いで経済的な発展によって紛争の種となる貧困を撲滅し、民心を安定化することである。
戦略的に重要な地域にある国々は、特定の国が圧倒的な力を持つことを望まない。大国の影響下にあって安定しているように見える国であっても、自国の独立とより大きな主権を主張して、大国の影響を脱しようとするナショナリズムが沸き起こる可能性など、常に不安定な要因を抱えている。

不安定さを内包する国に対しては、相手国のニーズに応えて、まず安定化を支援することを主眼とする。
政府開発援助(ODA)、非政府組織(NGO)・民間財団・企業などの非公的部門による支援、国際機関との連携などを通じて、金融支援、経済支援、技術支援、文化交流、人的交流、外交的手段などあらゆる手段を用いて、多角的、重層的に関与し、信頼関係を強化する。
関心及び支援の優先順位を間違えてはいけない。

我が国は武器輸出三原則によって、例外を除いて、武器の輸出を認めない政策をとっているが、自由かつ民主主義的な国家を目標としている国々の安定的な発展を図り、戦略的に重要な国々との信頼関係を強化して我が国の安全確保に資することは、「国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則の基本理念」をより積極的に実現しようとするものであって、相反するものではない。

戦後の日本が、米国から有償軍事援助(FMS)で大量の武器を購入して自国の安全を確固たるものにすると同時に、さまざまな技術を獲得しつつ、日本の産業基盤を強化していったことと同じである。
武器輸出が二国間の関係強化に及ぼす波及効果は、技術移転につながり、産業育成効果を生み、企業進出による人材交流を拡大し、人材交流は文化的な交流に発展するなど、多方面にわたり有意義である。

また、陸上自衛隊の教育訓練というソフト面は、誇りうるノウハウを持った、最も得意な人材育成の分野である。
戦術、戦法などの運用思想は、その国の国民性、歴史、伝統、兵器システムなどによって大きく異なるが、人材育成の基盤となる教育訓練では、どこの国も共通して使命感、責任感、規律心、協調性、勇敢さなどの資質の涵養を重視している。
留学ばかりではなく、教官要員の派遣、交流などの人間関係から生まれる二国間関係の深化に大きな効果を期待できる。

●人材交流(人材ネットワークの構築)

各国の軍人を無償、有償で受け入れ、安全保障に関する国際的な人材ネットワークを作る。
発展途上国では、軍隊が国の最高の教育機関の一つになっている。

国家に対する強い忠誠心を持ち、規律心に富んだ人材の育成に力を注ぐ。低所得層が多数を占めるなかにあって貧富の区別、出自に関係なく、実力主義で登用される道が開けているので、国家の将来を担う優秀な人材が集まり、国の教育機関の役割を担っている国も多い。
退役後、その人材が、各界で指導的な立場について活躍する。
各国の軍隊は、人材育成だけでなく、先進国からの情報収集、人間関係の構築などを目的として、幹部候補生クラスから高級幹部クラスまでの幅広い階層で、先進国に留学させている。

多くの国は、歴史的繋がりが強く、受け入れ環境が整っている軍事先進国である欧米諸国へ留学させる。
留学生は、厚遇してくれる受け入れ国に親近感を持ち、留学生同士の交流を通じて国際的な人的ネットワークが生まれる。国家の将来を担う選抜された人材を派遣するわけだから、実効性が高い人材交流になる。

受け入れの場としては、
・幅広い教養育成を目的とした防衛大学校レベルの交流
・リーダーシップ育成を目的とした初級幹部教育
・第一線部隊の指揮官・幕僚の養成を目的とした中級幹部教育
・作戦、戦闘、大部隊運用に関する教育を目的とした上級幹部教育
・政治と軍事、戦略関係の教育を目的とした高級幹部教育
がある。

発展途上国には無償かつ手当てを支給し、先進国は有償で受け入れる。
家族を含め、文化研修、ホーム・ステイなどによって、日本の歴史や伝統、地域社会、家庭を理解してもらう。国家に対する忠誠心を持つ軍人同士の尊敬と信頼関係を国家間の信頼のネットワークの一つに発展させる。
自衛隊の幹部が居ながらにして、国際的な視野を広げる価値も大きい。

■緊急事態対処及び危機管理機能

内閣総理大臣が最高指揮官として、安全保障に関する責任を果たすために必要な統治機構を整備し、充実強化するため、中央省庁を再編する。
第一に、安全保障に関する構想を策定し、省庁の安全保障に関わる事項を統括して実行を指導監督する国家安全保障会議(NSC)及び事務局を整備する。

第二に、国家安全保障会議を補佐する中央情報機関として国家情報局(仮称)を整備する。
併せて、省庁の安全保障に関わる情報機能を充実強化する。

第三に、省庁に分散配置している平時の治安維持、大規模災害対処、不法行動などの緊急事態に対処する実行機関を統合して一元的に指揮できる体制を整備し、国土安全保障省として危機管理能力を充実強化する。

第四に、首都直下型の大規模震災等が起きた場合にも、平時の国務を遂行しつつ、緊急事態に対処できるよう指揮機能を充実強化する。

第五に、省庁が保有する安全保障機能を充実強化する。
例えば、警察庁の国家警察機能、外務省の邦人保護機能、経済産業省の軍事関連情報に関する機能、厚生労働省の大量感染症関連機能である。

第六に、安全保障や緊急事態対処及び危機管理など、省庁横断的な立場で役割を果たす公務員を“内閣人事局”の管理下に置いて処遇し、真の国家公務員を養成する。

■領土法、領海法の整備等

第二次世界大戦の結果としてソ連時代から占領統治されている北方領土、韓国に不法占拠されている竹島、実効支配をしているが中国海軍の影響力拡大が懸念されている尖閣諸島は、歴史的にも、国際法上も、間違いなく我が国の領土であることを、領土法を持って国内外に宣言する。
その領土法の制定趣旨をもって、我が国の立場とその正当性を明らかにする。
領土法と領海法を整備することによって、我が国の主張を明確に告知し、ぶれることなく、分かりやすく議論するための基盤を整備する。

海洋開発に関しては未知の分野が非常に多い。
領海については、現在の国際法の枠組みだけでなく、将来の不確定要素に着目し、例えば、新たな海洋産業の登場、海洋資源の開発、自然環境の保全問題、海洋調査結果、海洋開発における国際連携の動向を注意深く把握する。

■国土開発

地震発生のメカニズム解明が進み、予知はできないものの、首都直下型地震は三〇年以内に七〇%、東海・南海・東南海地震は三〇年以内に五〇~八七%の確立で生起すると言われている。
その地震が想定されている、京阪神から東海、関東にいたる太平洋ベルト地域において、日本のGDPの六〇%以上が生産され、東京には、政治・経済の中枢機能が集中し、しかもその真ん中に国家元首が住まわれている。
首都直下型の大規模震災によって首都機能が著しく損なわれた場合を想定し、国会、中央行政組織など、最低限の国家機能が移転して、整斉円滑に業務を継続できるよう、予備的な首都機能を整備する。
地震への対処は日本国内の問題だが、国際社会における日本の役割を考えた場合、どのような事態が起こっても、日本の国家機能が失われることは許されない。

予想される首都直下型の地震のうち、霞ヶ関直下型の震災により国会や官庁街の建物が崩壊したときの国家中枢機能を維持するための対策を確立する。
総理大臣はじめ関係機関の指揮の継承順位を決め、予備の国家指揮情報通信機能を整備し、関係者の緊急参集要領を定めて訓練する。
経済、産業機能を分散することによって、予備となる首都機能を整備し、国家中枢機能の保全を図る。
国と地域の安全保障態勢を強化するという目的をもって法的、税的な優遇措置を講じ、機能分散に伴う非効率を補うにあまりある情報・通信・交通インフラを整備し、産業機能を分散させるよう誘導する。
地域毎の一次産業を活性化し、エネルギー供給に地域完結性を持たせて、地域の独立性、自己完結性を高め、住民の生活環境を充実する。
将来の人口減少社会を視野に入れ、地域の活力を維持し、地域の安全及び国境の保全が保障できるよう、国との統治と保全の在り方を考えて地域開発し、中核都市を創っていく。

駐屯地や基地や飛行場などの周辺地域では、本来の機能発揮に支障が生じるほど、住宅地域が増え続け、反対運動などが起きている。しかも、従来は過疎地であったところが多い。
用地を提供し、積極的に賛成した人たちよりも、あとから集まってきた反対派の人たちに対する手当てに厚く配慮する結果になってしまった地域もある。
これらの周辺地域は、百年、三世代位の時間をかけてでも、保安用地として利用を規制するか、国として土地を収容する処置をして、本来の機能が十分に発揮できるようにする。
今世紀末には人口が半減しようかという時代であり、このような措置は十分に可能だろう。
国全体の公共の用のために借り上げている防衛用地が、景気に関わりなく常に値上がりする投資対象にされ、切り売りされているような状態は、正常ではなく、不健全である。
公共の目的で使用している借り上げ用地のために、どれだけの国家予算をつぎ込んで維持しているのか、あるいはどれだけの時間と予算をつぎ込んで私益と国益、公益とのバランスをどう図ろうとするのかを情報公開し、是非を問う。
また、外国人の土地取得は制限する。

■その他

●民間防衛

民間防衛で重視すべきものは、大量破壊兵器からの防護、救護活動、経済活動の継続、政府の決定や地方自治体の指示にしたがった秩序正しい行動である。
防災訓練を通じて、大量破壊兵器からの防護に関する正しい知識、救護活動要領を普及する。自治体の主催する国民保護活動と連携して、自主防災、地域防災組織を拡充、充実する。
予備自衛官、一般職の国家公務員、地方公務員には、それぞれの職務に応じ、社会的活動として上記活動への参加を義務づけ、奨励し、民間防衛を充実する。

●精神的基盤

国家安全保障、国家防衛における精神的要素は、個人的な感情や抽象的な心構えや心の持ち方だけに期待すべきものではない。
国家が、安全保障や危機管理の教育や研究に力を注ぎ、自衛隊に対して国の最高レベルの資源を投入することによって養われるもので、日本の防衛態勢そのものが、自衛隊、国民の士気につながる。
戦争は敵国に対する「意志の強要」であるが、確固たる信念を持って政治的目標(国家目標)の実現に向かう「強い意志」を、安全保障の基盤(安全保障システムや防衛体制など)という形で現すことが、精神的基盤の強化になる。
国民の持つ国家の防衛体制に対する信頼や自信や誇りが、諸外国の軍事的な影響力を遮断し、危機に際して、政治家の自由な政治意志決定を保障する。

●国民の育成

将来、さらに、国民を作る努力が必要になる。

国際化する日本は、価値観が多様化する。
五十年を経て、人口が現在の三分の二にまで激減する日本が、活力と繁栄を維持しようとすれば、生産性を高め、女性の社会進出を促し、労働者人口を維持していかなくてはならない。
国内は人口減少社会だから企業の成長の種は、人口が増加し、経済成長の余地が大きい見込まれる海外にある。
海外に進出した企業は、現地で優秀な人材を登用し、日本に人材を逆輸入する。海外からの人材獲得は必要不可欠になる。資本の自由化によっても、海外から外国人が入ってくる。
経営陣に多くの外国人が入り、さまざまな分野に外国人労働者を受け入れたならば、仕事のやり方ばかりではなく、社会生活や価値観が多様化する。
日本国内においても異文化との接点は増大する。
実態として、遠くない日に外国人労働者の社会保障を考え、移民として受け入れざるを得なくなる。人道的にも、それを求められる状況が生まれる。

日本人になることを誓い、日本国に対して忠誠を誓う者だけが日本国籍を取得できるようにする。
日本国籍を持とうとする外国人には、国家元首たる天皇陛下、国家の象徴としての国旗に対する忠誠、そして、日本の防衛義務を誓わせる。
日本を守る意志のない者が、新たに国民になる資格はない。
何をもって日本人と認め、どうやって日本の国を意識させ、日本人の意識を植え付けるか。国家に対する忠誠心をどのような形で示すことを求めるのか。
現在の日本が住みよい国であるからと言って、有史以来培ってきた大輪の花の蜜だけを吸わせるわけにはいかない。
将来も美しい花を咲かせ続けるために必要な土壌を作り、国を守る作業に参加してもらう。自分が国民になりたいと思う国家に対して忠誠を誓うことを求める。

求めるべきものを明確にすることとして、日本人になりたいという外国人に対しては、もう少し寛容であって良いように思う。
多民族国家が、国民を作る努力をしているのと同様に、日本もまた、日本人を作らなければならない時代が来ている。外国人には日本の国民になる覚悟を持たせるべきであるし、日本人には日本人としての意識を自覚させることが必要な時代になっている。
日本人の教育の原点として、国家意識をどう養うのか、どう教えるのか、真剣に考える時代になってきている。

●国際標準(国際法)下の行動

国際法における戦争の位置づけは、戦争違法観が支配的になっていて、国際連合憲章では、国際連合安全保障理事会の決定による軍事的強制措置と国家の自衛権に基づく武力行使を例外的に許容する他「武力による威嚇又は武力の行使」を禁止している。

国際社会のさまざまな枠組みが整備され、第二次世界大戦後、国境を巡る戦争は、次第に起こりにくくなってきた。
その一方で、国際法上、自決権が確立されると、民族解放戦争の正当性が承認された。
国の数よりも民族の数がはるかに多く、自国の統治に満足していない多数の民族がいることを考えれば、民族間の紛争が減ることはない。

近年、東西冷戦後の国内紛争によって個人の生存が根底から脅かされるようになったことを背景に、「人間の安全保障」と「保護する責任」という概念が用いられるようになり、低強度の武力行使の敷居が低くなっている。
この概念は、「国家には個人を保護する責任があり、国家にそのような意志又は能力が欠如している場合には、国際社会がこれに代わって保護する責任を負い、最後の手段として武力の行使も許される」と主張されているもので、国際法上の概念として確立されたものではないが、国際社会の責任として個人を保護することが認められつつある。
国家の責務として海外で活動する国民の保護を求める声は強くなる。

領域の保全に関しては、特に領海での武器使用の根拠を明らかにしなければ、領海を保全することができない。他国と同様に、海洋法条約上の権利を行使できるように領海法を改正する。
我が国の領海法では、第三条で「内水又は領海からの追跡に関する我が国の法令の適用」、第五条で「接続水域における我が国の法令の適用」が定められていて、自衛艦が、海洋法上の軍艦として権利を行使することを認めていない。
これは、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡の三海峡を特定海峡として領海三海里とし、国際法で認める領海一二海里を放棄することを決めただけの法律になっている。

第一に、海洋秩序の維持のため与えられている権限である、近接権、国旗国籍確認のための臨検、奴隷の運送防止措置、海賊行為の取り締まり等の権限を行使できるようにする。
武器の使用に関して、任務遂行に必要な武器使用権限を明示する。

第二に、他国の軍艦や公船に対する行動規定を法律でもって、内外に告知する。
国際的な慣習法をもって対処している国がほとんどだが、我が国のように、大陸国の太平洋へ出入り口を制約する位置にあること、領土問題を抱えていること、中国が我が国の領土に対する軍事的影響力を強めていることなどを考えた場合、スウェーデンのように国内法に明記し、周辺国に我が国の意志を明らかにすることが必要である。

国連の武器使用基準の下での行動、国際人道法に基づく行動など、自衛隊の行動基準を国際的なルールに合わせ、自衛隊が国際標準にしたがって行動できるように準備する。
戦争は、国内の法律を超えた世界で戦われるものであり、交戦時の判断基準とすべきものは国際法しかない。

異なる武器使用の判断基準や行動基準を持った者が軍事行動や武力行使を共にするのは、現場での危険を大きくする。
生死をかけて行動を共にする者たちに不統一な行動を強いて、危険を招くような行動を命じることは、瑕疵のある命令になる可能性がある。命令の尊厳を失わせる。
命令に命をかけられない軍隊は、規律を失い、組織として成り立たない。

現場で活動する他国の軍人たちの不信感を招き、信頼感や連帯感を損ねる。それを強いる国に対する不信感につながる。派遣先の国のために働くことはもちろん、他国の軍人たちとの交流を通じて国際的な信頼関係を築くことが任務であるにも関わらず、正反対の結果を招きかねない。

しかも、現場で生命の危険が迫ったときに、運命を共にせず、一人だけ別行動をとる不名誉は、誰も負ってくれない。自分だけではなく、国の不名誉を背負うことになるかもしれない。

国際標準(国際法)下での行動をするというと、必ず憲法の問題が議論される。
憲法上、国際標準(国際法)下の行動をとることに疑義があるならば、疑義がないように改正すべきである。
さまざまな解釈があるのは仕方がない。しかし、素直に文章を読んだとき、自国を守る戦力の保持や自衛権行使の解釈にまで統一された解釈が持てないような表現の文章であることに問題がある。小学生が読んでも疑問を持たない、平易な文章であることが望ましい。
国と国民の安全保障を議論するとき、選挙で選ばれている国民の代表者たる国会議員が議論し、その当時の状況に応じて必要があり最も合理的だと思われる判断をして、多数決で政策を決定できるようにする。

国民の生命を守るための具体的な論議をすることなく、合憲か違憲かだけを論じたり、多数の横暴、機が熟していないことなどを理由にして、国民の生命財産を守るための議論、国の命令で行動する自衛隊員の安全確保に関わる議論を避けたりする姿には、民主主義国の代表として責任ある姿勢は感じられない。

●宇宙空間利用技術

一九六六年国連総会で採択された宇宙条約では、「平和の目的に限り」宇宙空間の利用が可能だということになっていて、非侵略であれば宇宙の軍事利用は許容範囲であるという解釈が国際標準となっている。
二〇〇八年に成立した宇宙基本法では、専守防衛の範囲内で国際標準にしたがって、安全保障分野の宇宙開発利用を進め、広義の安全保障を現実的にとらえて積極的に宇宙空間を利用していく姿勢を示している。

いかなる国家の領域にも属さず、地表の地形の制約を受けず、広く継続的に監視できる宇宙空間を利用する価値は高い。日本の防衛的な安全保障上のニーズとして、各種事態の兆候把握のための情報収集手段、我が国周辺海空域の警戒監視機能の強化、国内外における通信手段、測位衛星(GPS)の利用など、幅広い分野での活用を期待できる。
偵察衛星に関する高いレベルのニーズなど、民間からは出てこない多様なニーズを取り込むことによって最先端の技術開発に寄与することができるが、このため本来の防衛予算を圧迫することがないように防衛予算の外に置く。

一方、衛星の打ち上げに使用するロケットに関する技術は、弾道ミサイル技術と共通する部分が多く、ロケットの推進技術、制御技術などの向上は、弾道ミサイルの精度向上に寄与する。
商業用の衛星は、軍の偵察衛星などへの転用が可能である。
これらの技術については、注意深く、その技術発展の動向を見守り、適正に評価できるだけの高いレベルの技術者を育成しつつ、技術拡散することがないように注意を払う必要がある。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?