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ミュージカル憂国のモリアーティOp.5 ―最後の事件― ネタバレ感想

美とは、魔である。 生物は我が身の危険を回避し、必要な獲物を捕らえるために、知覚を発達させた。 身体能力としては脆弱極まりないヒトという生物が地球という星の霊長となったのは、ひとえにその脳の発達がゆえである。 が、その発達した脳がゆえに、本来生存戦略のために用いられてきたはずの認知能力を歓ばせる快楽を、ヒトは識ってしまった。 その究極の在り方を美と呼ぶなら、それは最もヒトの理性を狂わせるものの一つであり、魔と呼ぶにふさわしい。 ――或いは、二度とこの耳目で直接味わうことの

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