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ミュージカル「憂国のモリアーティ」コンサート 感想

どうも、消し炭です。
どう言っていいのかは分かりませんが、今は何かしらの文章を書く気になれる程度には気力があります。

ミュージカル「憂国のモリアーティ」コンサート、全10公演を勝ち取れたこと、そしてモリミュシリーズ全体を通して100公演達成、本当におめでとうございます。

思えば、コロナ禍ど真ん中に上演された作品でありながら、当初予定通りに開演できなかったのはOp.3の3公演のみ。もちろんその公演に行くつもりだった方のことを思えば、たとえ1公演であっても欠けて良かったとは決して言えないものですが、あれだけコロナ禍ど真ん中に上演された作品でありながら、上演できなかったのがOp.1~5を通じて3公演のみだった、というのは、全体を通して見れば比較的強運だった、と言って差し支えないと思います。他の舞台がどれだけ中止の憂き目に遭ったかと思えば、ですが。

Op.5の大千秋楽後には「モリミュがこのまま終わるとしたら、失恋じみた喪失感を味わうことになるだろう」と確信しましたし、実際今でも、ロビーの照明が落ちた銀河劇場に私の魂の2割くらいは置いてきてるかな、と思っていますが、今はそんな感じはありません。9割の多幸感、1割はどうしようにもない空隙がぽっかりと空いていながら、でもそこに、温かく静かな風が吹いている感覚です。

このあと、モリミュというコンテンツがどうなるかは分かりません。これが最後なのかもしれないし、意外とひょっこりすぐに次の展開があるのかもしれない。でも、仮にこれで最後になっても、モリミュで出会った全てを抱きしめれば、私は笑っていられる。泣くけど。いや、続きも再演も小説版を番外編として演じるのも欲しいけど。

Op.1~5+今回のモリミュコンサートの全てを、私は心から愛しています。原作、モリミュの作り手の皆様全て、そして劇場で出会って一緒に感想を語り合った方々全てを。今後人生でこれほど愛せるものに出会えるかどうか分からないな、と思うくらいに。

そして、そういう気持ちは、きっと、板の上にいらした皆様と同じ気持ちだったんじゃねえか! と心から思えました。だから、まあ、失恋はせずに済んだ、成仏できたかなと今は思ってます。
どのようなコンテンツにも、終わりはある。今後どうなるかは現状分からないでしょうが、いつかは私達も、モリミュの新規コンテンツがない状態に徐々に慣れていくのでしょう。けれど、モリミュに関わった方々の舞台とかは、ちょこちょこ観に行きます。ええ。ちょこちょこ、という頻度ではないのでは? というツッコミはさておき。

ということで、ここからは、公式さんに送る用のラブレターの原案として、個別の感想をしたためたいと思います(大分時間かかった……)

そうそう、私個人としては、15昼は配信、それ以外の9公演は現地で観劇しました。すさまじいチケット戦争でしたが、最終的にこれだけの公演のチケットにご縁をいただけたことにも、心から感謝です。特にチケット確保で共闘したみんな、本当にありがとう。公式リセールで3公演確保した人は、あなた以外見たことありません。笑 

なお、15昼だけはどうしてもチケットが手に入らず、当日券も華麗に敗北しました。あの狭いスペースに200人以上集まっていたらしく、何度も人数を数え直してたスタッフさん、急遽くじを追加作成したスタッフさん、「本日の座席番号が入っているチケットをお持ちの方はこちらの列に並ばないでください」と連呼されてたスタッフさん、そして薄曇りとはいえ暑い中必死に並んだ同志たち、本当にお疲れさまでした……

あの日が38度とかの猛暑でもなく、雨でもなく、本当によかった……あのスペース、災害用テントみたいな感じで庇が出てこないと、今後ヤバい事態発生するかもと心配になります……

※さすがに700名強の劇場に200名以上の当日券列が発生したうえ、43名しか入れなかったというのは(キャンセル待ち込み43名だったので全員入れたどうかは私には分かりませんが)、相当の利益機会逸失だったと思います。
公式様、今後何か動きがあるなら、もう少し大きめの劇場を使うことをご一考いただきたいです……苦笑

各曲別感想

M1 憂国のモリアーティ(メインテーマ)
始まりはやっぱりこれだよね、ということもあるんだけど。イントロの編集が本当に格好よかったんですよ~
天はいざなう→大英帝国(E dur版)→橋の上でのウィとシャロ戦闘とかミル邸前とかの曲→Op.4の冒頭→ミルミルを撃った場面→メインテーマ

もうかっこよすぎですよ。ここは静かに音楽に浸ってました。
あと大千秋楽公演、開演前から客席が比較的静かで。そういやOp.5の2幕の入りも、客電がついてる状態で楽器隊2名が弾きはじめる入りだと浸透してきてからは幕間のラストは静かになってたなーとか思い出していました。

あと、散々言われていたと思うのですが、「モリミュの曲でペンラ振れるのか」問題。私見ですがテーマ曲が一番むずかしいのでは??初日のテーマ曲ではめちゃくちゃ困りましたよ笑 でも、だんだん慣れてきて最後の方はしっかりペンラ振れるようになってました!!私、光の神として客席の光源のお仕事ができたよ!!笑

M2 三兄弟の秘密
Op.3から現地で観劇するようになった私にとっては、Op.5の「十分でわかるここまでのモリミュ」で聞いた一節以外は生で聞けていなかった曲。フルで聞けて本当に嬉しかったです。脳内で勝手にダブリン男爵とかお母さまとか実弟ちゃんがログインしたのは秘密だ。

それにしても、何か円盤よりも上手いような気がするのは気のせいでしょうか? いや、上手下手とか素人から申し上げるのは大変失礼ですし、そもそも元々の時点で十分すごかったのですが……三兄弟のハーモニーの美しさに一番はじめに感動したのは、Op.3「悪魔が往く」の「ショーにはショーを~♪」のあたりなんですけど、あの美しさをそのまま三兄弟の秘密に持ってきた感と言えばいいのかな。あと、「つ~みを~せ~お~~っても~♪」のところ、全公演ばっちり決まってましたよ安定感がやばい。

そしてこの曲に限らずですが、林さんがモリ家側の曲でも退席せずペンラを前で振っててくれたの、本当にありがとうございます。めちゃくちゃ助かりました。そしてペンラの色変えがあまりにプロで、「赤と緑と紫をどう1タッチで変えろと?」と思っていたら、なるほど色記憶機能で赤を覚えさせるといけるのだと……φ(`д´)メモメモ。ペンラ振るタイプのライブに参加したことのなかった民、勉強になります。

M3 誓い
これ、アルバートとルイスのパートがしれっと追加されてたのみならず、劇中での誓いって(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)と別れていたのをしれっと再編集しているのですね。この曲を長江さんが歌うのは初めてだと思うのですが、モランの上にそっと寄り添うような柔らかい響きが素敵だなぁと思いながらいつも聞いていました。それに、下手の年長組、上手の年少組で肩を組みながら楽しそうに歌っていたのはぐっときたなぁ。

…と言いながら、この曲で真っ先に思い出してしまうのは、勝吾さんの入りミス→20メートル爆走して舞台入り→結果、マ○オのように上から飛び出してくる→やたらロックな「誓い」が爆誕する の一連の事件でして。
その直後のモリ家のトークパートではごまかしていたのに、あとでしれっと平野さんにバラされているのに思いっきり笑いましたよええ。

M4 真実~緋色の研究Ⅱ
しれっと編集されてた曲パート2。そして、最もカバーされた曲大賞でもある(後述)
シャーロック・ホームズと言えばこれだよね、という曲ですよね。何度もリプライズされて、ファンにも馴染みのある曲。平野さんの歌って、心に沁みこむ感じがすごくあるなと思っているのですが、今回のモリミュコンでは一番この曲に「沁みる……」を感じました。

あとこの曲、照明がすごく好きなのです。舞台上で白と赤のライトが入り混じる中で、「緋色の糸を~♪」と歌った時に一本の赤ライトだけが残るの、美しすぎません?しかも客席は大体青ペンラ振っているので、余計にこの1本の赤が映えること映えること。

M5 僕だけは
この曲の良さ、温かさ、貴重さ、真っ直ぐさ、きらっきらの眩しさって、年とると余計に沁みるものがあると思うのですよ。どこかのトークパートでも触れられていたと思いますが。私自身、円盤で聞いた時と今聞くのとで、この曲に感じる眩しさが違うなと思うのです。

Op.1のラストで歌った時とOp.5までを経た今とで、そこに篭められる想いって大分違うと思うのですが、それでもきっとジョン君は、(だいたい)常にこの曲を歌ってくれるのだろうなという絶対的な信頼がある。モリミュというかゆもりの光担当、本当に温かい気持ちにさせてくれました。

鎌苅さん、きっと仮面ライダーガッチャードの撮影等の都合だと思うのですが、序盤は髭を剃っていらしたのに終盤は髭があったので、最終日辺りを見るにつけ「これは三年後のジョン君だ……」と思ってしまったのは許されたし。笑

M6 光への行進曲
毎日のレストレードの個人ブロマイド売れ行き情報報告の場と化していたのが忘れられない笑 毎日完売おめでとうございます&通販でももう買えないと聞きました。かくいう私も2セット購入してますw
実は私にとって、Op.5公演期間中最も泣かされたのはこの曲なのです。初日と大千秋楽にぼろっぼろに泣きながら手拍子してましたよ!!本当に泣ける曲だったんですよ!!まじで!!手拍子してるからって泣けない曲だったということじゃないんですよ!!

トークパートでも触れられていましたが、モリミュのレストレードって不思議でして。2.5次元舞台って原則として原作のキャラクターをいかに舞台上に再現するかに重点を置かれると思うのですが、(最近Remainsの連載見ていたから特に思いますが)さすがに原作のレストレードは日替わりネタで爆笑をかっさらっていくタイプではないと思うし、マイク持って歌うタイプではないと思うのです笑 でも、モリミュのしゅんりーさんのレストレードが大好きだし、割とみんな受け入れているように見えます。

それって、レストレードの根本、魂は、原作から抽出したレストレードの良さをしっかり踏まえた上での遊び部分だからだと思うのです。それが凝縮したのがこの曲なんじゃないかなと。
そういえば高間さんがあいさつで「ルイスとモランだけでなく全員の魂を踊りたい」と仰っていましたが、きっとこの曲でレストレードの隣でにっこにこの笑顔で走っていたのが、きっとレストレードの魂の本質かな~と思いながら見ていました。

M7 罪深き我は…
シリアス曲は全体的に、公演が進むにつれて、劇中の雰囲気に近くなっていったような気がします。この曲もその例外ではなく、記憶にある以上の叩きつけるような激情に、切りつけられるような衝撃がありました。
特に忘れられないのが、最後の「呪ってくれ」の直前で薄く微笑むくぼひでさんの表情ですね。頭を抱えるレベルで(兄様だ…)となりました。

あとこの曲なんですが、本編での赤い布を持ったアンサンブルさんのダンスが忘れられず。会場が緑一色になったのもきれいなのですが、赤ペンラで赤く染め上げても綺麗だったろうなと思っています正直。笑

一個忘れられないのが、直前のトークパートでしゅんりーさんが個ブロを硬質ケースに入れて持ってきて、ピアノの前に置いてた時があったんですよね。で、トークパート終わりで捌ける時にしゅんりーさんが個ブロの回収を忘れて取りに戻ったために客席から笑いがあがった回があったんですけど、その時すでにこの曲のイントロが始まってて。この曲と忍び笑いが似合わなさ過ぎて逆に笑えました。

M8 鋼の戦士は嘆けども
コンサートバージョンでは井澤さんの甘く切ないお声を堪能できる一曲に仕上がっていた印象です。一緒に逝くつもりだったのに、最初から生きろと願われていた(=ある種の突き放し?)事実に気づいた絶望はなかったからこそ、コンサートで楽しめるくらいに中和された感覚があります。ウィリアムの途中台詞がなかったのも影響しているかも。

この曲、パーカッションが入ったことで、3拍子のところのオリエンタルな雰囲気が増したのがめちゃくちゃ好きです。3拍子のところのパーカッション、他でも何曲か使われていたと思いますが、この曲のが私は一番好きでした。インドに赴任していた経歴を持つモランの雰囲気にとてもマッチしている印象を受けたのかな。

M9 孤独の部屋に
はい来ました。私がモリミュにハマり、戻れなくなった発端です。私が初めて生でモリミュを観劇したのがOp.3の8/7公演(マチソワ)だったのです。
そう、ファンの間で伝説と化した&伝説と化したがゆえに(だと思うんですけど)CD第2段で収録された8/7夜公演の「孤独の部屋に」を生で観劇して、あれに感銘を受けて、引き返せないところまで来てしまったのです。

この曲は思い入れが強すぎてなんか変な方向に入るんですけど、まずは再びこの曲を生で聞くことができたことへの無限の感謝を。
今回で特に好きだったのは、13夜・14昼、15夜ですかね。ひしひしと押し寄せてくる感情に包まれる感覚があった13夜、どこか幼さが残る印象があった14昼、声が前から聞こえてくるのではなく、会場の壁全てから反響し声に包まれるような感覚に陥った大千秋楽。どれも違って、どれも素晴らしかった。

照明もね。好きなのです。「時は~止まった~♪」のときに、円形のスポットライトがすっと四角に変わる演出。孤独の部屋が見えました。

もうひとつ。今回のコンサートでは言うまでもなく、ギターとパーカッションが入った特殊編成なのですけれど、この曲だけは唯一、原曲どおりにピアノだけで演奏されていた。林さんだけでなくギターやパーカッションの方も赤ペンラを振ってくれてて、ウィリアムを応援してくれているような気がした。それが本当に特別感があって、じんと来るものがあった。

M10 刑事屋のブルース with スペシャルコーラス(メインキャスト全員)
いやぁ笑った。もうほんっとにしゅんりーさんには申し訳ないのだけれど、最初5公演は上手のフリーダム組(主に一慶さん)を観察し、13昼公演でようやく突っ込みの入ったやたら高すぎるマイクに対して、13夜公演ではやたら低いマイクを持ち出して歌っていた一慶さんに噎せるほど爆笑し。14日公演では「味がしなくなってきたから」と普通の体勢で歌い始めた事実にまた笑い。真面目に見られたの最後の3公演だけですよ本当に。
バンドメンバー紹介で、何度か演奏ではなくTシャツの後ろを見せて駆け抜けてくただすけさんに笑い、コーラス中声部隊の2人(平野さんと井澤さん)が披露してくれた中声部パート、単体で聞くと確かにやりづらそうな感じに驚き。というかモリミュメンバーを純粋に声域でパート分けするとこういうグループになるのかなるほどφ(`д´)メモとなったり。お腹いっぱいです。

それはそうとして、「謎はホームズが解いてるんだもの」のところとか「間違った推理すると結構怒られる」のところはちゃんと平野さん抜いてくださいね映像班よろしくおねがいします!

元から予想はしていたものの、コンサートの盛り上がりパートとして客席を沸かせてくれるという観点では、本当にしゅんりーさん最高の仕事をなさる職人だなと思うのです。去年のジャンフェスだったかな、「こういうのやりたいね」と話していたことを本当に実現してみせてくれて本当にありがとうございます。

M11 千々に乱れて
ウィリアムがいない4人だけの曲。この曲がOp.5の「永遠に」に繋がっていくのだなと思いながら聞いていると、またしみじみするものがあります。

特に印象的なのが、兄様の「進め! この道を ウィリアムが決めたなら」のところ。くぼひでさんのお声って木管楽器系の柔らかい印象が強いので、これほど強く激情を露わにして響かせるお声なんて初めて聴いたなって思いました。

それにしても、直前MCで出ていた皆様、よくこれ切り替え出来ましたね…Op.3の日替わり→兄様ソロを思い起こす温度差でしたわよ。

M12 I will catch you
この曲の経過をたどると、Op.4の経過を思い出します。大阪公演前半では、まるで本コンサートの前半公演のように力強く光に溢れていたのに、東京公演後半では、ウィリアムを捕まえる以外の生きる望みはない状況に陥った絶望の底での絶唱に変わった経過を、5日間に凝縮して見直しているかのようでした。

印象的だったのが、いつだったかのMCで平野さんが「この曲に関しては歌うというより魂の叫びみたいなもので、コンサートになって初めて歌えている気がした(大分意訳)」という話でして。そこに、(たしか)別日で平野さんが「あんまり公演数を増やすと壊れちゃうから無理」みたいな話があったのを加味すると、本当に魂を削った結果なんだなぁとしみじみしてしまって。ほんと、この曲、刺さるんだよなぁ……何がどうとは言いづらいのですけど……

M13 どうか未来を
これはもう、大千秋楽公演が完全に優勝でした(ゲストパートの件は後述)。赤澤フレッドと長江フレッドが出会い、自己対話を経て最強のフレッドが爆誕した瞬間に立ち会いました。ありがとうございます。本公演では決して起こり得ない奇蹟をもたらしてくれたコンサートという企画があってくれて本当によかったです。でも、この最強のフレッドがたった1公演だけというのは余りにも惜しい……
最後の「ウィリアムさんに未来を~♪」のロングトーンの力強さとのびやかさ、本当に鳥肌ものでしたよ。

M14 あなたがくれた命
高間さんがいる時点で、やらないはずはないと思っていたけど。安心と信頼のこの曲が来てくれてよかった。しかもしっかりダンス付き。本当にありがとうございます。
本編との差異でいえば、これ、ルイスの想いに集中して聞けたのが本当に良かったです。なにせ本編では、「この曲確かに感動的なんだけど、それをモランに聞かせるのは大分ご無体なのでは…?」という想いを拭いきれず。

あとこの曲も照明本当に綺麗なんですよねぇ……高間さんが去るタイミングで手を伸ばす一慶さんに当たるライトの美しいこと……

M15 友のために
この曲、Op.5の時よりお二人のハーモニーの聞こえ方が溶け合うような美しさがあったように思うんですけど気のせい、または私の欲目ですかね?

モリミュ、「歌が凄い」とよく評価されていますが、それって単純に音程とリズムが合っているってだけの話じゃないと思うんですね。私としてはむしろ、劇場で聞いたときの発声の通り方、響きの美しさ、ハーモニーの響きの調和の方が気になるし(って言えばいいんですかね? たとえば合奏時に弦楽器のビブラートの速度が合ってないと、微妙に響きが濁るじゃないですか。ああいうのがあるかどうかって話です。声でも、音程は概ね合ってるはずなのに和音として調和しない時があるんですよね…)、そして何より、そのミュージカルの歌でどれだけ登場人物の心情を真情篭めて歌い上げられるかのほうが重要だと思うわけですよ。

実はシャーロックとジョンのデュエットらしいデュエットって、Op.4のこの空の下までなかったわけでして。Op.2の大作戦? あれは同時に歌っているパートが少ないから一旦除外で。笑
三兄弟やモリアーティ家のハーモニーの美しさも、回を重ねるごとに磨かれてきたように、この二人のハーモニーも、このコンサートに至るまでずっと磨かれてきたのだなぁとしみじみしてしまったのです。
何しろモリ家、リアムさんがちーっとも一緒に歌ってくれなくなってましたからね!!君、Op.4と5は大体ソロだったの知ってるよ!!

Op.5だと、この曲序盤のジョン君の表情の硬さにひやひやさせられたものでしたが、コンサートではそんなこともなく。ジョン君の腹の据わりっぷりが印象的でもありましたね。

M16 全てを捧げて
兄さんソングver. Op.2。なんとなく、誓いの歌詞の削除された部分のリベンジみを感じるようになったのは、復活された歌詞を知ってしまったからなような気もします。

モリミュのルイス、Op.2~4くらいは、そこそこ幸せだったんだろうなと思うのですよ。ノアティック号でわだかまりを解消しているので、兄さん第一でいられた時間が原作より長く、危ういは危ういけど、満たされることを知っているルイスだなと思えるわけでして。兄さんと一緒に任務に赴く直前のこの曲なんて、最たるものですよ。

そして兄様ね。Op.2までは、どっしりと大樹のように構えた兄様だったようなぁと、この曲を聞きながら思い出してしまいました。前半にきつい曲が多かったから余計に。でも、そういうルイスを見ながら兄様が何を想ったか。「ようやくウィリアムの役に立てると気が来たのかもしれない」の前に歌われた曲ですしね。抑制的で、安定はしているし、やや経緯説明ソング的な色調を帯びながらも、実は相当の切実さが秘められていたんじゃなかろうか。そんな想像が掻き立てられました。

……ってなことをつらつら考えたくなるほど、最後の方は、ガラコンというより、やはり劇中のスナップショットみが強く出ていたなと思う次第。

M17 あなたと共に
兄さんソングver.Op.4。一慶さんの主旋律が目立つ曲ではあるけれど、長江さんのハーモニーの寄り添い力の高さが光る曲でもあるなぁというのが今回の感想でした。

フレッド、ここで「この道を共に行かせてください」って歌ってたんですよね。「どうか未来を」が、ウィリアム本人のためにウィリアムを裏切る(本人主観)ことを決意する曲なのに。いちどきに聞くと、まだこの時の純真であれたときのフレッドを想わずにはいられませんでした。

そういや星取表作ったら、今回のモリミュコン、一慶さんの曲数が最多でした(日替わりゲスト&カバーコーナーは除く)。Op.1の兄さんソング以外全部兄さんソング入ってましたものね。大変お疲れ様でございました…

M18 巡れ輪舞曲
本当に大好きな曲ですありがとうございます!!!!!!!
楽曲も歌も最高なんですけど、この曲振付が特に最高。
最初にシャーロックがウィリアムの見えない糸に引きずり出されて登場するところも。
ピアノとヴァイオリンの周りを戯れるように巡り、互いに並ぶことも手が届くことも決してない振付も。そこ、池の周りをまわる点Pと点Qとかいわない。

本編では常に上段にいたウィリアムが舞台に降りてきて、シャーロックが糸を振り払う振付を上段でやるところも。
ついでにその振付が入る瞬間の鈴の音も。まるで獣が罠を食い破ったかのように。それを壇上で見せるところまで心憎い。

アンサンブルの皆様が仮面を被ってデュエットダンスしてたのも印象深いです。そうだよなぁこの曲は仮面舞踏会の印象だよなぁ。歌で言えば、一度だけ1階3列目席に入れた時、柴野さんの低音の圧がめっちゃ来たのも印象的でした。
※ちなみに高間さんの仮面だけどこで使われていたのか思い出せないんですけど、どなたか心当たりあります? 他は、Op.2での仮面舞踏会の時、熊田さん→ウィリアム、永咲さん→アルバート、柴野さん→ロリンソン男爵だった覚えがあるんですけど…

M19 With you
モリミュ界の「蛍の光」ことこの曲(公式さんあなたのせいですよ、Op.5のアーカイブ配信が切れた瞬間にあのヘッダーに変えたせいですよ)。
シャーロックとウィリアムの関係性を描く曲であれば、今までだとI hope/ I willが代表格という扱いだったと思いますが、今回のコンサートでは輪舞曲→with youだったことに、Op.5まで経た二人の軌跡を想わずにはいられません。

極めて余白が多く、二人とも後ろを向いて歌っていたこともあって、想像の余地が多かった、もとい、私としては何度考えても極めて解釈に困っていたこの曲。コンサートを経て、ようやく私の中に、ひとつ納得いく解釈が生まれたのです。

つまり、「最後の事件」を経て「穏やかだが確かに 人の心は変わ」った結果として美しくなった世界が、
モリミュを見て心動かされ、今までより少しだけ襟を正して生きようかなと思えるくらいに感動した観客が集う劇場という空間で表現されていたのではないかということに。
そういう世界でなら、シャーロックとウィリアムは、罪を背負いながらも、共に生きていこうと思えたのではないかと。
まあ、こう思えたのも、二人が前を向いて観客席側に腕を広げて歌ってくれたからなのですけれどね。

人は、美しいものを見ると、忘我の極致に至ることがある。その一瞬の空白こそが、「全てが 白紙なんだ」に近しい感覚なのかもしれないとも思う。それぐらい、涙を流しながらも美しく、高らかに歌い上げる二人が美しかった。

M20 憂国のモリアーティ(メインテーマ)
そういやラストがメインテーマで終わったのはOp.1だけだったなぁと思う次第でございますが。
2回くらい、Op.1のキービジュ再現してましたよね???ねぇ???そういうところですよもっとやれというかそこはちゃんと全景で映像収録してくださいよろしくお願いします。

ゲストさんもアンサンブルの皆様も全員出てきて、ペンライト振りながら満面の笑顔で歌うことなんて、コンサートでなければあり得ないと思うのですよ。永咲さんがめっちゃ勢いよくペンラ振っているのすごくかわいかったです!

M21 扉をあけて
モリミュで青空を思い浮かべられる曲って、この曲と「この空の下」ぐらいしかなくないですか? 数少ない、絶対に笑顔で歌える曲。楽しいことしかなくて、いっぱい笑って、今までのモリミュではありえないほど清々しい気分で家路につけるコンサートのラストを飾るに相応しい曲だったと思います。

初日、これ蓮井さん聞いたらびっくりするだろうな~と思ってTwitter開けたら(半ば案の定)お越しになってたようで笑いました笑
そうそう初回公演だけ「皆さんも一緒にどうぞ~!」と言われたので恐る恐る歌ってみたけれど、その直後から勝吾さん上ハモいきましたよね??いや、歌えるは歌えるけど、やっぱり自信なくて……一緒に歌えたのあの回だけだったから、もう少し頑張ればよかったかしら……

各種トークコーナー

どう見ても全日程分収録欲しいですが??いろいろと起こりすぎて印象的な物事だけ抜粋するのでさえ無理なレベル。箇条書き形式にしようかな。

・罰ゲームだったはずなのになぜかモリ家全員がやった尻文字(大千秋楽だけ収録するとまじで経緯がわからないので、この前に罰ゲーム尻文字やったときのこともバクステ収録しましょう? 共犯で同志で家族なのだから、尻文字という罪も共有すべきですw)

・しかもよりによって円盤収録回であるはずの、涙涙の大千秋楽が尻文字から始まるという締まらなさ。なぜそのひとつ前の回でやらなかったのか。

・伝説の一慶コケをみんなで見る回(あれが映像残っているのなら、他のハプニング映像集残ってません? 一個だけ選ぶなら、ウエストコート橋落ちがお蔵入りなのは余りにも惜しい。他にもいっぱいあるけど…)

・ハプニング繋がりで何かを話そうとしたら、平野さんが「ハプニングと言えば、ついさっき! 勝吾くんが「誓い」の自分の入りを忘れて直前までモニターで見守ってて。直前の「この誓い~♪」辺りで「ヤベッ」と気づいて20メートルダッシュしてギリギリセーフで間に合った。袖から見守っているのが一番面白かった」とばらしたこと

・「モリミュ回顧録」の絶妙なWindows98感ある画像

・「このあとの台詞は何だったでしょうか」クイズで、明らかにホームズ陣営の方が問題が難しい件(シャロの分、てっきり「the sign of the four」を答えさせる問題かと思ったらその直前で止まるのは草)。その後頑張って画像からカンニングを試みるも、色んな人の名前がごちゃ混ぜになってる平野さんにも笑った。

・長江さんに「チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン」を言わせるリベンジをさせようとする同問題(直前の台詞が多少違っても、「オーガスタス」を噛まずにいえた時点で満点!)

・その後、Op.4のラストのウィル「Catch me if you can, Sherlock」を答えさせる問題で、勝吾さんが「Sherlock」ではなく「Mr. Holmes」と回答してしまい、間違いに気づいた瞬間のずっこけ方(痛そうw)

・その後勝吾さんは「これ絶対良くんにあとで言われる~!!」と言っていたけれどその後いじられることはなかった話

・井澤さんに対してOp.3が出題された時点で、あの日替わりだなと予想できてしまった客(コインを撃ち抜いてガドリング砲に入れたところも見せ場ではあったけど、エンタメとしてはやっぱここですよね)

・そして「全部変なかっこいいポーズ」を実演する流れが発生

・この手の問題のときにずっと効果音を演奏してくれる音楽隊のみなさま

・ルイスの「兄さん」よりずっと多く回数を言っていたジョンの「シャーロック」(ごめん私もルイスの「兄さん」の方が多いと思っていたわ。たぶんだけど、歌の中では兄さん言いまくっていても、台詞での「兄さん」は存外多くないからかも。ジョンの「シャーロック」は台詞の中でもめちゃ多い印象)

・事あるごとに「しょごりん可愛い~♡」と言ってる井澤さん(最後の方は、あ、この声の感じはこのあと「しょごりん可愛い」が続くなって分かるようになってきた客)

・そして明らかに「可愛い~♡」言われ慣れてる勝吾さん

・MC担当の回しは割と安定していたんだけど、くぼひでさんのときだけ高確率で混乱するしゅんりーさん(珍しいものを見た笑)

・そのトークパート。刑事屋のブルースに入る前に「了解!」と敬礼しながら言おうとしているのに、発言しなかったりマイク下げちゃったりとなかなか苦戦する勝吾さん

・ルイスの模写を始めるしゅんりーさん(雰囲気似てる!)眼鏡も持参

・そこにやってきてしゅんりーさんを追いかける一慶さん。そしてしゅんりーさんに促されて本物の「ルイス・ジェームズ・モリアーティです」を披露する一慶さん

・カンパニーのみんなに自分でやっているブランドのシルバーアクセサリーをプレゼントしている井澤さん

・そしてそのアクセサリー、一慶さんと長江さんにプレゼントしたのが同じターコイズのリングで、「同じものなんですよ」と客席に示すためにやったポーズが、どう見ても芸能人の結婚会見とかでそろいの指輪を見せるためによく見るやつ(これがまた、二人とも色味の薄い白っぽいタキシードだから余計にw)。他キャスト(モリ家)から「新郎と新郎」言われてた

・モリ家のみんなからの誕生日プレゼントでもらったZIPPOをジャケットのポケットにお守りとして入れていた勝吾さん

・それを紹介しようと取り出そうとして出てきたのが12日公演で平野さんからもらっていたお手紙(それもお守りだったんかい!)

・ZIPPOを紹介するときにすごくナチュラルに火を点けようとして「ここ火気厳禁だから!」と必死にモリ家の皆様に止められる勝吾さん(その前に行われていた文劇7@シアターH の中での「火の用心!」を思い出して笑ってしまった)


え、もう散々笑ったのに覚えてないやつが多すぎて辛くなってきたのでやっぱり全トークパートを円盤化してください(真顔)クラファンとかでもいいので!!


日替わりゲストコーナー

11昼夜:藤田玲さん+川原一馬さん
これは「悪魔がささやく」確定かな~と思っていましたが、そんなことはなかった。笑 さすがに今回のようなコンサートでやるにはどう頑張っても洒落にならない曲ですし、魂を喰らおう→私が求めるのは→毒牙にかかれ というチョイスでよかったです。笑
あと、最後メインテーマのときに皆さんペンラ持って出てくるんですけど、藤田さんだけは「ペンラなかったんで」と言いながら別のものを毎度持ってきていまして。11昼に、シンデレラ戦争で出てくる悪魔(バイキンマン的なあれ)の槍を持って出てきたのがめちゃくちゃ似合いすぎてて笑いましたw
なお、11夜はデスクライトを持ってきていましたがこっちもシュールで笑いました。笑
2公演とも興が乗ってくれてよかったですw

それと、藤田さんがミルヴァートントルネードを披露してくれまして。それだけで大興奮ですよ「FOOOOOO!!」ともなりますよ。
でもそれを、後のトークパートで「ターン一つでFOOOOOをもらっている」といじられ、みんなでターンする流れになったの面白かったですw

それにしてもあの槍のおかげで翌日のゲスト曲が実質確定するという、なかなか高度な情報戦を見たものです笑

12昼夜:大湖せしるさん+七木奏音さん
このペアが来ると聞いてシンデレラ戦争を期待しなかった方がいるだろうか、いやいない(真顔)
カラオケに入っているから自分でも歌って分かっていましたが、この曲めちゃくちゃ早口で大変なのですよね。それを演技して踊りながらコミカルな場面を創りあげたお二方がどれだけすごかったかよく分かった上で見るシンデレラ戦争、めっちゃ楽しかったです(前後が繋がっていない)

あとせしるさんの「生まれ変わる時」。ドレスのままでも、声と目つきと立ち居振る舞いでボンドになったのが一瞬で分かるのですよ。ちょうどそのタイミングでペンラ色変えるのも楽しかったし、そうする客だろうと信頼されていたからアイリーンとボンドには別の色が割り振られていたんだろうなと思うので、それもまた嬉しかったです。
そしてかのんさんが「(ペンラ色変わった瞬間)せしるさん泣かないかなって心配になった」と言ってたところでくすっと笑いました笑

それとお二人のドレス姿の綺麗なこと綺麗なこと! 最高でした!!綺麗な方を見るとそれだけで観客の目が洗われたような気がします。

13昼夜:根本正勝さん+大湖せしるさん
「今日はせしるさんパンツスタイルで来てほしい!」と騒ぎ倒していたら白いドレスシャツ(?)にパンツスタイルで最高にお綺麗ですせしるさん!!

そして、原作のキャラクターの中でも随一の贔屓をしているマイクロフト。Op.2を生で観られなかったことに臍を噛みながら円盤を再生しまくった(そして音飛びするようになった)ので、、二人のM 指令を自分の耳で聞くことができて感無量でございました。ナイフとナイフがぶつかって火花が散るSEをまじで幻聴しましたよ。笑
あと、その後のトークパートでマイクロフトとアルバート、ルイス、シャーロック(の役者さん)との絡みがたくさん見られたのも楽しかったです。
13の最後のテーマソング、平野さんと根本さんが共に噛みまくって「兄弟だな…」と感じたのも、最後のテーマソングの中で根本さんが平野さんに絡もうとして平野さんが逃げ回っていた(客目線での主観)のも、マイクロフトとシャーロックの関係性を彷彿とさせて微笑ましく見ていました。

それと、せしるさん(ボンド/アイリーン)の「あなたなら…」。Op.5の時点で、アイリーンとボンドが入り混じった彼(というべきか彼女というべきか悩ましいですが)の想いが溢れて仕方ありませんでした。せしるさんのモリミュカンパニーへの愛情とロスっぷりは毎度見ていて共感させられるところですが、今回はまじでレベルが違った。笑

あと、せしるさんへ。平野さんのポニテをリクエストいただきありがとうございました。あのお写真を上げていただかなかったら、ポニテで登壇いただいた回があったことの証拠写真がなくなるところでした……笑 そしてそのとき、

せしるさんのリクエストで平野さんがポニテで登壇
→せしるさんの前を平野さんがうろうろするもせしるさんが声をかけない
→それが御不満だと誰かから聞いて、せしるさんが、平野さんがM1の「霧の街 夜の国」で出ていく直前に「似合ってるよ」とお声掛けしたという話

の逸話が面白すぎました笑 ありがとうございます!

14昼夜 七木奏音さん+山内優花さん
せしるさんが衣装替えしてくれたので奏音さんもやってくれないかなーと期待していたのですが、期待通りの素敵な衣装替え2着目ドレス。ゆかさんのドレス、私もてっきりジョン君の担当カラーイメージから選ばれたのかと思っていました笑

「誰にも言えない」が来るのは予想の範疇でしたが(メアリーちゃん的にはそういう感じかもしれないけど、前半のハドソンさんの雰囲気がそういう感じがしない)、Op.2の「ワトソンの日記 本文」が来たのは予想外のサプライズでした。私はOp.1と2が生で観られていないので、それらの曲が来ると喜びもひとしおです。

ゆかさんの歌い方が、本当に本編中のメアリーちゃんの不安を彷彿とさせる姿で、好きだけど心配になるというか……コンサートでくらい頼むからジョン君と幸せデュエット歌える未来を見たかったですよ??とかまぁそんな感じです。

そして奏音さんもリクエストされたという平野さんのポニテ。結局ポニテの回、一回も配信じゃなかったですね……苦笑

15昼 赤澤遼太郎さん+小南光司さん
そりゃあね。私だって、Op.1にしか出ていなかったので一度も生で観られなかった小南さんのパフォーマンスはとっても楽しみにしていましたとも。
何なら一番ライブしてましたよ。アレンジが楽しい。「ゆめゆめ忘れるな(キリッ)」には「HOOOOOOOOOO!!」となりましたとも。

ついでに言うと、バックダンサーつきになるのは予想外でした。笑 てっきりあの二人はエンダースのやられ役としてでてきたのかと思ってしまい大変申し訳ございませんでした苦笑

ですが、あかんですって。ダブルフレッドはあかんですって(号泣)

もうね。「最後に 犯罪卿に 手を下すのは」で二人のフレッドが相対して力強く歌い始める時点で無理なのよ。泣くのよこれは。
それまで二人がそれぞれ歌うから、「僕はもう死にたいんだ」のウィリアムに対してどうしていいのか、フレッドの中の千々に乱れた考え方それぞれに人格が附されたようで。様々に悩んだ自己対話の中で、最後に残った道しるべに気づいた二人が顔を見合わせて覚悟を決めるのは、そりゃあ感動せずにいるのは無理ですって。

もちろん、悩むな兄弟も良かった。赤澤さんのお声って真っ直ぐでクリアで、でも佇まいは、真っ直ぐな分闇が深いようにお見受けしていました。一方で、長江さんのフレッドは、お声は比較的柔らかめで、同時に感情豊かな印象でした。どちらもフレッドなのだと思いますし、表現方法には明確に差異はあれど、お二人に対してどちらの方が、みたいなことは、私は言いたくないです。

ただね、これを経験したあとの長江さんの「どうか未来を」が、ものすごかった。二つの在り方を内包した新しいフレッドの誕生に立ち会ったと本気で思いました。だからこそ、Op.6をですね(以下略)

そりゃあ、あの後のトークパートが涙涙になったのも当然ですよ。ある意味で、あれが大千秋楽への道筋になったかなとも感じます。

でもね、ひとつだけ。そのあと長江さんがひとりで「どうか未来を」を歌った後のトークパートで「俺の中のフレッドが埋まった、ぱんぱんになったけど、歌い始めたらすーっと抜けちゃって(意訳)」的な話があった後に、平野さんが「勝吾くんという太陽がいて、自分という月がいる。お前はその間で揺れ動く波だ(意訳)」という発言には、いろいろと、ですね。720度くらい回って、どういう意図なんですかね??とは思いましたよええ笑
多分この場で一番頑張ったの、MC役の井澤さんだと思いましたw

15夜:スペシャルメドレー
ゲストがいない分、この枠をどうするのかには様々予想があったと思います。少なくとも、日替わりゲストがいなくなった分まるまる短縮するという予想をした人はあまりいなかったのではないかなと想像します(アンケートしたわけではないのでよく分かりませんが)。

けどですね。あそこまで全部が全部「そりゃ聞きたかったけど、時間の都合上全部聞けないのはしょうがないよね……」という曲の詰め合わせパックのようなメドレーだったのは奇蹟のようでした。これが円盤収録確定していてほんとよかったです。

・悪魔が往く
この曲の「ショーにはショーを まがい物は 消えゆくさだめ」の三兄弟のハモリの美しさ、感動的だと思うのですよ。
「三人でジェームズ・モリアーティ」を歌わないウィリアムさんに対して机バンバンしたいのは変わりませんけど。笑 本当にもうあなたって人は……

・こわい こわいな なぞがいっぱい きりさきジャック
序盤公演では「(光への行進曲と刑事屋のブルースを歌ってしまえば)もう手札がない」と言っていたしゅんりーさんですが、この曲あるじゃん?とはずっと思っていました。そして聞きたいな、とも。
こういう形で使うと思ってなかったのよ。この曲のシュールさ大好きです。アンサンブルの皆様のダンスもコミカルで楽しかったし、4人であることの物足りなさを感じさせない印象でした。

・この空の下
二人の友情のストレートな表現という意味では、何なら「友のために」よりこっちだと思うのですよ。正直。
これほど青空が似合う曲も(モリミュの中では)なかなかないですよ。そして、二人がOp.5まで経たからこそのこの曲の深みと温かさが沁みます。

・悪魔は荒れ野を彷徨いて
いやもう、つやっつやのつよっつよの美声でシアターHを支配していただきありがとうございます(真顔)
モリミュコンサートの中で、ウィリアムが真面目に犯罪卿モードの曲って結構少なめだった印象なので、この曲が入ってくれて嬉しかったです。勝吾さん、多彩で繊細な表現力も魅力だけれど、犯罪卿として場を制圧する声の圧力に圧倒される経験の得難さもまた、大いなる魅力ですし。

・希望の光の射す道は
改めて聞いて思う。Op.2時点でわりとシャーロック、根幹はできていたんだな、と。アイリーンのためにあそこまで必死になれる人が、ウィリアムに対して必死にならないわけがなかったなと。思った以上に、聞いていて「私はこういうシャーロックを知っている」という気持ちにさせられました。

……Op.2の円盤見ている回数の問題じゃないかって? うん、私も若干そう思っている。

・こころを抱いて
一つの曲の中でモリ家全員とシャーロックの双方がウィリアムと歌う曲って、実はこの曲だけなんじゃなかったかな。メインテーマを除いて。
だからこそこの曲に含まれている感情の複雑さって、群を抜いているのではないかなと。ここまでの感情の一端の終着点というか、文章で言うならピリオドではなくカンマが打たれた感覚というか。

「静かに滾る こころを抱いて」のあたりの入り方の絶妙さとか、感動ものでしたよ。ようやくウィリアムの声が誰かと重なった盛り上がりがあるはずなのに、あくまで静謐に、そっと寄り添う感じが。 あの頃は(with you と違って)同じベンチの隣に座ることはできなかったけれど、それでも確かに通じ合うものが出来始めている感覚が。

この曲でメドレーが終わり、後半戦に入るのも、きっと考えられた構成なのだと思います。ここから先の曲はOp.4と5が多いですしね。

いやぁ本当に良きメドレーでした。ありがとうございました。これまでモリミュを応援してきたファンへのご褒美のような大サービスの時間でした。

日替わりカバーコーナー

何ならこれが一番いろいろな事件が多かったんじゃないか説まである。お願いです。モリミュ公式様。頼むから日替わりカバーコーナーは、全ての回を円盤に収録してください。未収録回があったら泣きます。

11昼:長江さん→シャーロック「I will catch you」
後述するんですが、シャーロックの曲のカバー大人気すぎる笑 多分もとの癖が強いので物まねしやすいからかな―と思ってみたり。

I will catch you、長江さんも途中まではめっちゃ完コピすごいなと思っていました。途中までは。
サビ"I will catch you, Liam"のムの発音が強すぎるの笑うのよ。大変申し訳ないけど。笑 誇張モノマネの遺伝子をここで感じてしまうことになろうとは思わなかったです。

11夜:高木さん→シャーロック「真実」
これに関しては「おひと~つ♪ おひと~つ~♪」の印象が強すぎて他の部分が吹っ飛んでますごめんなさいw もうめちゃくちゃ笑いましたともw

「曲を大切に、ていねいに」のコンセプトがこうなるとは予想外でしたし、
その結果として「レストレードの真実」が爆誕してしまったというねw

お蔭で皆様から「ハードルあがった」と評されていたこの日替わりカバーコーナー、最終的にあんなことになるとは、このときまだ誰も知る由がなかった……(To be continue)

(余談)
しゅんりーさんが歌う前に投げたジャケットを勝吾さんは受け取ったのに、その後14日の尻文字大会のときにご自身のジャケットは割と無造作に脱ぎ捨てたの一体何だったんですかね? 笑

12昼:平野さん→ウィリアム「親愛なる君へ」
未だに自分が見たものの記憶を疑っている案件その1なのですが。
※アーカイブ買いました。ちゃんと記憶どおりでした。

平野さんが「親愛なる君へ」を歌うだけで熱いですよ。まるで本編の返歌のようで。
誰がいったい、平野さんがほんとに勝吾さん宛のお手紙を持参した上で語りかけるように歌う「親愛なる君へ」のカバーを想像しただろうか(反語)。

最初は多分、勝吾さん、シャーロックの演技をしようとされてたのかなとも思ったのですけれど。きっと本当に感激されていたのかなとお見受けしました。
それにしても、100公演記念の日に、そんな信頼の形を真正面から目撃してしまった我らはいったいどうすれば……(どうもしなくていいです)

12夜:久保田さん→エンダース「人狩り」

上手すぎるのよ。

ほんとにびっくりしましたとも。くぼひでさんが動き回るたびに逃げ惑うキャストの皆様に笑っている余裕もなく、素で、うっま……としか出てこない。語彙力なくて申し訳ないんだけど、ほんとそれしか出てこない。迫力がヤバすぎる。本家の小南さんがプレッシャーを感じた気持ちはお察し申し上げます笑

え、だれかくぼひでさんに「表は優雅で典雅な紳士だけど、裏ではサイコパス系のシリアルキラーみたいな役どころをオファーしてくれませんか??

13昼:鎌苅さん→シャーロック「真実」
シャーロックの「真実」をカバーに選んだのは2人目ですが、まあジョン君ならそうなるよねという納得の選曲。あとから考えてみれば、一番オーソドックスに、一番素直に上手にカバーされてたなという印象です。
そして台詞協力ウィリアム(勝吾さん)という豪華演出! 

だったのに、そこを混ぜ返しに来たしゅんりーさんの「もっと丁寧に…」には思いっきり笑いました笑

13夜:井澤さん→ルイス「あなたがくれた命」
この曲、モランに聞かせるにはご無体では?と言っていたのにご本人がカバーされた件について←
お歌も素晴らしかったはずなのですが、大変申し訳ないことながら、高間さんによるモランの魂バージョンのコンテンポラリーダンスの方が印象に残っています大変恐れ入りますw

いやほんとにね? ダンスがルイスの時の振付とは全然違うんですよ。舞台下手側での、フィギュアスケートでいうバタフライみたいな動きとか(フィギュアスケートじゃなくてもバタフライというのかもしれないけど、バタフライキャメルスピンの印象が強すぎてすみません)、ダイナミックさの質が違うんですよね。

そして歌が終わった後、一慶さんと井澤さんで高間さんの取り合いになっていたのに笑いました笑 高間さんがみんなの魂を踊れば平和なんじゃないですかね?笑

14昼:平野さん→ミルヴァートン「魂を喰らおう」
たしかにですね、M1の登場時点で「今日平野さん髪型違うな~パーマも似合ってていいな~」くらいには思っていました。それ以上でもそれ以下でもなかった。

それが日替わりカバーコーナーの伏線だとは誰が予想しただろうか(反語・二回目)

もう、スタイルからして本気でミルヴァートンだったのめちゃくちゃかっこよかったですし、しっかり眼鏡借りてきている時点で本気度がすごいですし、例のミルヴァートントルネードで「FOOOOO!」ってなりますよそりゃあ。
ただ、どうしても、どうしてもですよ。誇張モノマネの遺伝子を感じてしまうのは致し方ないということで……笑

14夜:鈴木さん→シャーロック「真実」
大人気「真実」のカバー者3人目。歌い始める前に平野さんが自分のスカルリングを勝吾さんに嵌めてあげてて、それを林さんとおそろいです~みたいな感じで客席に見せてくれたのめっちゃよかったです。

そして歌ですよ。

このコーナーでキー上げ要求する人初めて見た。しかも全音2つ分。

最初がC moll(原曲)→歌い始めてから首を傾げてただすけさんに合図→キーが上がる!!(D moll)→もう一度ただすけさんに合図→更にキーが上がる!(E moll)→これだ!と納得したように気持ちよさそうに歌う(ここから先は安定の上手さ)

……と思ったら「それがしん~~じつなん『です!』」

そりゃあ平野さんも「これはウィリアムの「真実」」って言うわ。笑 完全にウィリアムナイズドされてましたよw

ちなみにそのスカルリング、平野さんに返すときは、指輪嵌めてあげるんじゃなくて普通に返してましたねw

15昼:山本さん→ウィリアム「この世界を」
ここまでで、意外とモリアーティ家の皆様、ウィリアムの曲をカバーしないな? と思っていたので、一慶さんが安定の強火モードでウィリアムの曲をカバーしてくれたのに安心しました。ちなみに、「本日歌うのは・・・」と煽りが入り、選ばれる前のSE(生演奏)の時点で一慶さんが手をあげてたのめっちゃ面白かったですw まあ、ここまで見ていればゆーてそろそろ来るだろうなとは思っていましたがw

開始前までは笑っちゃってましたけど、ルイスが「この世界を」を歌うのは、それはもう感動的でした。これはMになった後のルイスですわ。最後に勝吾さんと二人で「こ~の~~~世界を~~~~♪」と一緒に歌うのも本当に素敵だった。あの時の二人を撮影して舞台写真として販売してくれませんか?

ただ、井澤さんと長江さんのダンスが入った時、あの曲となんか雰囲気が違う風神雷神で笑っちゃったのは事実でして笑
配信ではあんまり井澤さんと長江さんのダンスが映っておらず、一慶さんと勝吾さんのデュエットのところがしっかりアップになっていたので、振付の全体はよく分からないのですが。でも多分、あのしっとりゆったりとした曲調と振付のキレッキレの動きのテンポが、微妙にミスマッチだったかな、とはおもいます……笑

そしてくぼひでさん。後ろで微笑んで佇んでいたのが、どうみても塔の中にいるアルバートに思えて仕方なかったんですが!!!!

15夜:鈴木さん→ジョン「僕だけは」
最初に言います。

ぼろっぼろに泣きました。

こればっかりは区々たる歌の感想とかそういう話ではなくてですね。
12昼に平野さん→勝吾さんへのお手紙があったことへの返歌のようなお手紙の返信つきで、この曲を歌う。感動という言葉すら安っぽいですよ。

モリミュカンパニーの皆様の間に深い信頼関係があり本当に仲が良いということは、このモリミュコンサート期間中によく伝わってきました。その中でも、ダブル主演のお二方はその中核にあって、今に至るまでのモリミュカンパニーの在り方や雰囲気を主導してきたのだと思います。

あれだけの作品を創りあげるには、ファンからは見えないところでは相当の労苦があったことだろうと思います。コロナ禍という、前代未聞レベルの大きな社会的変化もあった。ファンからの、モリミュへの曇りを知らない期待もプレッシャーだったと思います(私、モリミュの新作を見る時に期待値下げて行ったことはないです。そういえば)。それでも、モリミュは5周年を迎えられた。そこに至るまでの数々をモリミュカンパニーの皆様は乗り越えてきた。

その中核にはきっと、ダブル主演の間の強固な信頼関係があったのだろうと思います。主演二人がそうだったから、カンパニー全体も、良きものづくりという目標に向かって、それぞれの役割を担う人が安心してそれぞれの創造性を発揮できるようになり、結果、素晴らしい舞台作品が世に生まれた。
その中の、一番美しい結晶のきらりと輝くところを見せてもらった。そんな思いでいっぱいになりました。

……ということで、舞台上で本人が言っていた以上、ファンも言っていいと思うから言います。

演劇界隈のえらいひと、勝吾さんと平野さんを同じ舞台でキャスティングしてくれませんか~!!!!!!!(割と切実に)

それはそれとして。キャライメージを軽率に混ぜる発言をすると、ジョン君の「君だけは」はとても健全に明るく、どんな時でもシャーロックの味方として応援するよというニュアンスなのに。
ウィリアムが歌っていると思うと、応援の方向性が「シャーロックを不幸にする奴らは全員纏めて裏で(自分の手を汚して)処断するけど、シャーロックの前では穏やかに何事もなかったかのように微笑んでいる」にしか見えないのはなんででしょうね……

総括

はい、さすがにそろそろまとめに入ります。

本当に楽しかった。それに尽きます。

もうすぐ終わるかもとか、今後のモリミュの展開が分からない不安さで、このあと情緒が乱れるんじゃないかと、コンサートが始まる前まではずっと思っていましたけど、本当に楽しかった。10年分くらいの楽しさを一気に前借りしてきているんじゃないかと思うくらいに。

そして「これで終わっちゃうのは寂しい」を極力出さず、今ここにある楽しさを全力で全力で味わう。だからこそ、大千秋楽での皆様の挨拶には、そりゃあもらい泣きしましたとも。未だに大千秋楽の配信だけは買えない(見られない)くらいには。

今回はキャラ扮装ではなかったですけれど、このモリミュコンサートのコンセプトを考えると、「正解」だと思いました。もちろん憂国のモリアーティという原作、素晴らしい物語とキャラクターがあってこそ生まれたモリミュではありますが、憂国のモリアーティというキャラクターのままでは、きっとあそこまで全力で「楽しさ」に全振りできなかったと思うのです。
憂国のモリアーティという作品のキャラクターの大半は、それをやってしまうにはあまりにも重すぎる罪を背負っている人たちだから。キャラクターとしてどうあるべきか、という要素が入ってくると、純粋な楽しさだけを、素のままに表現するだけではいられないから。

他の作品をあまり知らないのに比較論を言っていいのかわかりませんが、2.5次元と呼ばれるジャンルにおいて、ここまでキャラ扮装なしで舞台に立つ機会が多い作品ってなかなかないと思うのです。Op.5の最初のPVがキャラ扮装なしでメインテーマを歌うだけというのも異色ですし。

この感覚、なんだっけなーなんか既視感あるなーと思ったら、あれだ。
アイマスガールズ応援しているのと感覚一緒だわ。
※私は765AS時代のアイマスをniconicoで追ってたタイプの人間です。Pを自称するのは烏滸がましいからしませんが。

決してキャラクター本人ではない。けれど、キャラクターを舞台上に現出させるために真摯に向き合い、だからこそ、扮装なしでもその佇まいにキャラクターが重なる。

コンテンツと創り手を一体として見る。昨今とみに強まっているそんな傾向に、実はモリミュ、2.5次元舞台作品として稀有なほどに嵌ったんじゃないかな、と思って見ています。2.5次元舞台、キャラ扮装であること、俳優の素の姿を見せないことをを重視しているところも多いですからね。でも、そうじゃないコンテンツだってファンに受け入れられることもあるということが実証された。Op.5より当日券列が長かったのが、何よりもの証拠でしょう。

それは今まで、ジャンフェスのイベントとか、Japan Musical Festivalとかに出演して、扮装なしで楽曲だけを披露する機会が多くあり、それがファンに受け入れられているという確信あってのことだと思います。
そしてそれを可能にしたのは、音楽単体で聞いても素晴らしい名曲ぞろいだったことと、それを舞台上で表現してくださった俳優の皆様、そして林さんただすけさんのお蔭だと思っています。そして何より、それぞれの俳優さんが全力に作品とキャラクターとに向き合ってくださったからだと思います。

モリミュと同じ時代に生きられて、モリミュを観られる環境にいられて、本当によかったです。

今後も、何かの展開があれば大喜びでかけつけます。例えば……

・Op.6

・Op.1から再演

・小説版を原案にした幕間作品

・映画館での上映会

・脚本発売

・楽譜発売

・蔵出し映像集発売(あるでしょ!?ルイスの伝説の一慶転けがあったんだからry)

・モリミュコンサート第2段(まだまだ聞きたい曲たくさんありますよ!!具体的に言うと、私の大好きな1幕ラスト全体曲シリーズがなかったのはちょっと寂しかったですよ!!アンサンブルさんの人数が足らなかったんだと思うけど!!!)

などなど。

このモリミュコンサートは、今までの集大成ではなく、あくまで5周年のお祝いだったことを心に留めて。

今後、またモリミュでお会いできることを。

心から楽しみにしています。



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