停電の夜に

皆が寝静まった夜更けに読みたくなる本。
随分昔、この本が話題になった頃に一度読んで、20年ぶりくらいに、また読みました。

こたつ布団に、赤いペンの汚れがあることに気づいた

上手だなぁ、文章が巧いなぁと唸らされます。
人と人の会話が小刻みに良いテンポで展開されるので、内面の描写みたいなものは淡白なのだけれど(むしろこの本もまた、食事の描写が瑞々しい)、それが読み手の想像力に挑戦を仕掛けてくるようで楽しい。
ようやく息のあったキャッチボールができるようになった安心の後に、ずん、と重い球を投げて、振り返って歩き去って行くような読後感。
近しい人との距離感の難しさ、家族の独特の緊張感のようなものを見事に描いています。

ラヒリの2010年代の作品も図書館で借りよう。
最近の本は予約でなかなか回ってこないし、途中下車みたいな気分で明日には借りられる本を予約しました。

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