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【雑談】タイムトラベルする

友人が鶴見に50年住んでいる。


「鶴見は住みやすいの」


とよく言っていたので、一度行ってみたかったが、これといって行く理由もなかった。


ある日、鶴見に「三崎のまぐろ屋」があると聞いた。


京急の三崎口まで行かなくても、
三崎のマグロが買えるのならば、行ってみたくなった。

JR鶴見駅で下車し、
教えられたとおりに、豊岡商店街を直進する。


最初は気づかなかったが、

見たことのある景色だということに気づいた。


「あっ!こういう化粧品屋さん、私の生まれたところにもあった」


小学生の頃、母の日の贈り物は、いつも化粧品屋さんで買っていた。


ハンカチとかスリッパを丁寧に包んで、リボンをかけてくれた、あのおばさんの笑顔を思い出す。


「あー!こんな手芸屋さんもあったな」

夏休みの宿題を作るために毎日通ったな。そしたら、そのおばさんの笑顔も思い出した。


呉服屋さん。
食器屋さん。
喫茶店。

まるで昭和の町にタイムスリップした気分になってしまった。


商店街が、がんばっている町は、東京にもあるけど、こんな風情じゃない。

ここにある店は、古い感じはするが、懐かしい趣きを残しながら、今の時代にがんばっている。


豊岡商店街を抜けると、
今度は、つくの商店街だ。アーケードになっている。

「昔、こういうお店があったなぁ」とやはり、とても懐かしい。


つくの商店街の終わりに、目的地の
「三崎のまぐろ屋」さんはあった。


おじさんは、「今はシャッター商店街になっちゃったけど、昔はすごく賑わっていたんだよ」と嘆く。

「でも、東京に比べたら、まだがんばっていますね」と言ったら

「うん」と言った。

話は変わるが、私の生まれた町でもタイムトラベルできる。

商店街は全滅し、大きな道路が出来て、タワーマンションがそびえ立つ。

しかし、一本右に曲がると、

やはり、そこは昭和のまんま、なのだった。建物も変わってない。


また大きな道路に戻る。そこは令和の町並だ。そして次の道も右に曲がる。

やはり、そこは、小学生の頃に自転車に乗って、ぐるぐるしていた昭和の町だった。

そうやって、私は今と昔をタイムトラベルして遊んでいる。

今は亡き夫は、昭和が大好きな
「昭和原人」だった。

夫が生きていた頃は、よく揶揄っていたが、

最近、私も昭和が妙に懐かしくなるのは、年齢をとったせいなのだろうか。


最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

#エッセイ部門

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