京都・池半にて行われた『琴線 ―緞通と茶の室礼展―』
2021年3月6日から14日、赤穂緞通工房 六月の阪上さんが京都にある茶室 / 茶藝室「池半」にて展示会を開催されたんだけれど、ちょっとしたご縁で、その展示会のスピンオフ企画が生まれて、流れで... 僕も参加することになった。池半さんのお茶をいただきながら、少し赤穂ギャベのお話ができればと思って参加したふりかえりメモ。
赤穂緞通工房 六月の阪上さん
阪上さんと初めてお会いしたのは京都だった気がする。根来節子(赤穂緞通生産者の会)さんの元に弟子入りし、赤穂緞通の学ばれて、独立されたのが2019年であったので、お会いした当時(かれこれ10年は経っていない気がするが...)は修行の最中であったのだろう、阪上さんは「工房ひぐらし」にも所属されているので、工房ひぐらしにて展示会をする際に一人のスタッフとしていろいろ対応されていた記憶がある。
池半(いけはん)/池林堂半七(いけりんどうはんしち)の小嶋さん
小嶋さんと初めてお会いしたのは比較的最近で2019年だったかと思う。当時、工房ひぐらしが受けた赤穂緞通の仕事(新作だったと思う)の納品で京都に訪れていた工房ひぐらしメンバーに池半オーナーである小嶋さんを紹介していただいた。当時、池半はまだオープンしておらず、経営されている宿の一つ「八坂半」にてご挨拶をして、流れで大徳寺近くに移動し、夕食(韓国料理 芝蘭)をとって、深夜まで話をしたのが「赤穂ギャベ」についてであった。
赤穂緞通は、もともと明治・大正・昭和にかけて生産されていた製品である。そのため、今残っているものの多くは当時に作られた言わばアンティーク品として扱われている。京都だと屏風祭(祇園祭期間中)に屏風の足元を演出する室礼として用いられる家もあるが、蔵の奥に丸めて保管され、日の目を見ないものが多いと聞く(まさしくお蔵入り...)。
僕が赤穂緞通に初めて関わった2008年、京都の文椿ビルヂングで開催された『幻の「赤穂緞通」展』からだが、以来13年間、京都での赤穂緞通の展示会は記憶がなく、今回の『琴線 ―緞通と茶の室礼展―』は、展示販売の機会として、ほんとうに久しぶりに京都での開催となったのではないだろうか。
『琴線 ―緞通と茶の室礼展―』は、物品の展示会という側面よりも、店主である小嶋さんが作られる世界観にどっぷりと浸かることができ、非常に厚みのある催しであったと感じている。
もともと池半は、和紙作家であるハタノワタルさんにて、壁や床を和紙で包まれた空間となっており、その中に阪上さんの赤穂緞通に加え、片岡直美さんがセレクトした大陸の古物(骨董品)が絶妙に合わさり、タイムトラベルを体験しているような時間を過ごすことができた。
僕が参加した3月7日は赤穂緞通が敷かれた部屋で、茶人である中山福太朗さんを亭主とし、天目台にガラスの茶碗を合わせ、客が自らが両手で持ち上げた状態で、浄瓶(じんびん)からお湯を注ぎ、そのまま点てていただく。利休よりも古い時代に思いを馳せて、建仁寺の四頭茶会をオマージュされたお茶席となっていた。
天目台とガラス茶碗とお抹茶。この後、座った状態でこのまま肩の高さぐらいまで持ち上げた状態で目の前で点ててもらった♪
スピンオフ『赤穂緞通と中国茶に出会う朝』
冒頭で、『ちょっとしたご縁で、その展示会のスピンオフ企画が生まれて、流れで... 僕も参加することになった。』と書いているんだが、コロナ禍という状況が影響していると思うんだけれど、最近、音声ソーシャルなるものに嵌っており、ほぼ毎日、DabelやClubhouseを開くような日々を過ごしている。
2月4日、特に目的もなくClubhouseを開く、共通の友人が2人だけで開いているルームがあったのでふらっと入ってみると、その一人である高橋マキさんが、僕がたまにTwitterに投稿している「赤穂緞通」に興味があるということだったので「赤穂ギャベ」も含めて軽く説明することになり、1ヶ月後に開催される池半での赤穂緞通の展示会の話をすると、引き寄せのご縁なのか、俄然興味を持っていただいたようで、会期中に新たな催しを行いたいという展開となった。
僕もこういう乗りは好きだし、阪上さんも、小嶋さんも、大丈夫だろうと思ったので話を進めると、翌日にはこの催し『赤穂緞通と中国茶に出会う朝』を開催されることになった(このスピード感はけっこう気持ちが良い)。まさにスピンオフなんだけれど、赤穂緞通は主に京都で使われており縁が深いこともあって、阪上さんにとっても小嶋さんにとっても、京都の方に知っていただくことは願ったり叶ったりでもあった気がする♪
さらに京都における赤穂緞通の在り方を説明するには、鍋島緞通、堺緞通があると話もさらに深まるということで、高橋さんのご友人から鍋島緞通をお借りすることもでき、三大緞通を直に比べる機会もできたのはとても価値ある体験であった。
で、こんな感じで「間」を繋いだわけだけれど、当日は僕も参加して欲しいという流れになったので、中国茶をまったり楽しみつつ、赤穂ギャベのお話しする機会も設けることになった。感謝です!
僕のnoteは自分自身の備忘録としての側面が強いですが、もしも誰かの役にたって、そのアクションの一つとしてサポートがあるなら、ただただ感謝です。