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テキーラは飲み比べの代名詞か。(ル・プチメック コラム)

この記事は2018年6月1日にル・プチメック コラムに寄稿した記事の全文転載です。

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悪魔のイラストがかわいい♪

京都市はパンの消費量・コーヒーの消費量で常にランキング上位にある特殊な街。同じようにテキーラの消費量でも京都市は上位にあったと耳にすることが多い。

テキーラと言えば、柑橘系のリキュールと組み合わせたカクテル(マルガリータなど)で、スッキリした味わいでも楽しむことができるけど、アルコール度数も高いイメージから、ショットグラスを並べてお酒の強さを競ったりする話題が目立つ。映画などで見かける時はウォッカかテキーラがそんな役回りになっているんじゃないだろうか。

実際、アルコール度数は高いのか? と聞かれると、テキーラの製造工程では「35〜55%」が規定値となっており、96%のスピリタス(ウォッカ)や、75%のレモンハート(ラム)などと比べるといたって真面目な蒸留酒になる。テキーラの生産国はラテン・アメリカを代表するメキシコ。その隣国アメリカは、メキシコから輸出されるテキーラの多くを占めており、メキシコからの移民者も相当に多いこともあってか、いろいろとイメージが盛られたに違いない!

僕がテキーラを初めて飲んだのは手の甲に塩をつけながらだった。おそらく酩酊で終えた気がするし、無事に帰れたのかすら怪しい。そんな当時、仕事を通してテキーラに関わるなんて想像もしていなかった。今は何かのご縁で回ってきたのだろう、誰かの役に立てればと思い続けている。(僕とテキーラとのご縁はこちら


そもそもテキーラってどんなお酒なのか

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メキシコ各地にはメスカルと呼ばれるテキーラと同じ原材料を使って製造する蒸留酒があって、ざっくり説明するとメスカルという分類の中にテキーラがある。スパーリングワインという分類の中にシャンパンがあるのと同じ関係と理解するとわかりやすいだろう。あまり知られていないのだが、すべてのテキーラはメキシコにある「テキーラ規制委員会(CRT)」によって管理されている蒸留酒。

テキーラは大きく2つのカテゴリー「100%アガベテキーラ」と「テキーラ」に分類される。テキーラの原材料は見た目はアロエのような「アガベ」と呼ばれるアメリカ大陸を原産地とする植物。製造工程でアガベに含まれる糖分が重要になっており、原材料をアガベのみとするか、アガベ以外の副原料(49%以下でトウモロコシなどの糖分)を混ぜるのかの二択となっている。

100%アガベのテキーラはもう一方のテキーラと区別しやすいように「プレミアムテキーラ」とも呼ばれる。僕がプレミアムテキーラを初めて飲んだのは2010年、それ以来、テキーラを飲む機会があればなるべく100%アガベを選択しており、二日酔いをしなくなったのは個人の感想です♪(チャンポンすると酔いやすいって聞くし…プラシーボ効果かも?)

そして、テキーラは蒸留酒ということもあってウイスキーのように熟成によって味に奥行きをつけることができる。メキシコは赤道に近い環境のためか、3年以上の熟成でも長期間を指す「エクストラ・アニェホ」と呼ばれる。樽の中で熟成されるテキーラは少しずつ揮発され少なくなっていく作用(エンジェルズ・シェア)が働き、それ以上の期間は製品化されにくい。

熟成期間は5つのクラスに分類されており、熟成せずにボトリンクしたものは「ブランコ」と呼ばれて、透明色でアガベの風味が残っている。熟成が増すにしたがって琥珀色が強まる「レポサド」や「アニェホ」などと呼ばれて、まろやかで深みのある味わいに変わる。

冒頭で述べたようにカクテルや、ショットグラスでグビッといくのもいいんだけれど、アガベは株分けから収穫までに7年ほどの歳月を要しており、ワイングラスのような丸みを帯びた器にテキーラを注ぎ、少し回転を与えて空気をくぐらすとほどよく香りが膨らむ。そのまま少し口に含むと葉巻を嗜むようにゆっくりと口の中に広がっていく。はるか遠いラテン・アメリカで刻まれた時間に想いを馳せるのも一興ですかね。

この記事は2018年6月1日にル・プチメック コラムに寄稿した記事の全文転載です。

そして、この記事の編集後記はこちら。

#コラム #テキーラ

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