シャニマス SOSの話


言わずと知れた、黛冬優子さんのソロ曲です。
かなり好きな歌詞があるのでそのことを書く。


「キミが好きな音楽や映画のことリサーチして

  SNS見るたびにイイネ押すの(アピールだよ)」


これ。ここ好き。
SOSはかなり正統派なアイドルラブソングという趣なので、全体的に「あるある」みたいな歌詞ではあるし、好きな相手の好きなものをついチェックしちゃう〜みたいな内容の歌詞はそれなりにこの世にたくさんあると思う。

だけど良いのはこの「SNS見るたびにイイネ押すの」という部分。「相手の好きなものをリサーチした結果」をSNSのいいねという動作によるアピールに結実させるというディテールが、黛冬優子の人生上のこだわりみたいなものを感じられてかなり良い。

これ、解釈が2通りあると思ってる。

ひとつめ。
「イイネを押す」「SNS」が、相手の好きな音楽や映画の公式アカウントの発信だったり、それらに対してコメントを述べている不特定多数の他者の投稿だったりする場合。
これは明確に「チラッ」とこちらを伺い見るようなアピールを感じさせるので、解釈として正当なのはこちらだと思う。

今でこそ見れなくなってしまったが、かつては他人がいいねを押した投稿が一覧で見れたし、「誰々がいいねしました」とわざわざアナウンスされてオススメ欄に流れてきたりもする。
好きな相手がそうして流れてきた投稿を目にして、「おっ、あの子もこれ好きなんだ」と気付かせるという遠回りかつ高等なテクニックである。

多くの人にとって共感を得られる行為のような気がするけど、これがわざわざ明文化されるタイミングってあまり無かったような気がして、だからこそ「好きな相手にアピールする方法」としてこれを選ぶの、インターネットすぎるだろ、と思った。

この場合、「リサーチ」とはつまり、好きな相手が何を好んでいるのかを調べたり、その公式アカウントを探したりという行為を指すことになる。


ふたつめ。
「イイネを押す」「SNS」が、好きなものについて感想なり何なりを述べた相手自身のツイートを指している場合。
この場合、「リサーチ」が指す内容、そしてそれをする動機が少し複雑になる。

好きな相手がある映画について感想を述べているとして、その投稿にいいねを付けることは別に何の障害もなく誰でもできることだが、それをされた方はそれだけで「お、この子もこの映画好きなのかな」と思える行為である。

けれど、いいねを押すだけではない。「リサーチをして」、いいねを押すと言っている。
つまり「好きな相手が良いって言ってるものだからアピールのためにとりあえずいいね押しとこ!」という精神性ではなくて、もしその相手とその映画について話をすることになっても問題ないくらい情報をインプットして、相手が述べている感想に対して本当に「分かる」と思えるようになってから初めて「イイネ」を押す、ということをしているのではないか?と考えられる。

これは明確にプライドの問題で、中途半端な知識しかない状態で、あるいは全くそのコンテンツのことを知らないけどアピールしたいがために押すだけのいいねに反骨精神を抱いていて、そんな表面だけの同意で相手に認知されるようなことは自分で自分が許せない、という難儀な精神性すら感じる。

黛冬優子はプライドが高くて負けず嫌いで脳筋でオタクなので、なんかそれってすごく冬優子さんっぽいや、と思って納得してしまった。
先にも言ったように正当な解釈はひとつめなんだろうけど、自分はふたつめを推している。
なぜならこんなこじれた精神性を抱く奴は生きづらくて仕方ないだろうなと思うと同時に、愛おしく感じてしまうから。


おわり

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