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<合気道雑感>忘れたっていいじゃない? これも稽古の一段階。

 仕事で、日常生活のなかで、忘れてしまうと怒られたり不便が生じたりします。
 けれど稽古のなかでは、忘れることもひとつの過程だなと感じました。

 形稽古中心の合気道では、初心者のうちは技の形を覚えることに苦心惨憺します。右足と右手をいっしょに前に出したり、膝をゆるめて動いたりといった、これまでの日常動作でしてこなかった動作まで、あわせてしないといけませんし。
 ここで大抵の方は「早く覚えなくちゃ!」とあせります。覚えられないとカッコ悪い、恥ずかしいということもあるでしょう。
 対して子どもは、こういったことがあまりありません——というか「覚えられたら覚えるよ」といったナチュラルなスタンスです。なかには、覚える気ないだろ……という子もいますが。
 私は、後者のスタンスのほうが身になるように思います。
 体の動きを頭で無理に覚えることの限界といいますか、デメリットがあるのです。頭で覚えた動きを忘れると、頭で考えた動きで補おうとする。稽古歴が長いとこれも有効かと思いますが、合気道的動作がまだ身についていない段階ですと、誤った動きで補完してしまいます。
 それだったら、もう忘れていい。次の稽古でまた覚える。
 そうして頭ではなく、体に感覚として記憶させていく。体が覚えることで、咄嗟や無意識での反応もできるようになるのだと感じます。
 稽古生が忘れていると怒る指導者もいましたが、指導者として大事なことを忘れていないか、そもそも指導とは何かを考える必要があるように思うのです。

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