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パックリアン戦法 基本変化②-1b 対先手56銀型

前回の記事では先手の▲66銀型について解説した。対超速に慣れてしまった中飛車党ならば手なりで66に銀を上がってもおかしくない。しかし実は旧型とも思える▲56銀型が中々に手ごわいということを説明したいと思う。

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一見は7筋の受けに不安を感じる▲56銀型だが、古来ゴキゲン中飛車の出始めの頃はこれでも受かるという考えが一般的だった。実際のところはどうだろうか、調べてみよう。▲56銀に対してもパックリアンは△64銀とすぐさま出ていく。

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当然後手の狙いは△75歩であるが、対パックリアンがややこしいのは△54歩という反発の手もあることなのだ。それは前回の▲66銀型でも頻出したし、今回もその両天秤で先手を揺さぶっていく。

1、▲66歩の追い返しは間に合わない!

まずは▲66歩と銀を追っ払おうとするとどうなるか。パックリアンは構わず△75歩と突く。これに対して▲65歩は△76歩の取り込みの方が厳しいため突けないだろう。

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とは言え簡単には潰れない。▲75同歩 △同銀 ▲78飛と回るのが習いある受け方である。

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△86歩と突いて簡単につぶれそうに見えるが、そうもいかない。これはゴキゲン中飛車系統の基本変化のため割愛する。どんどん攻め込みたい気持ちを抑えて、厚く指すのが大事だ。△76歩 ▲68角 △72飛と6~8筋を制圧しにいく。

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上図を見ると▲66歩が浮いている。これを単に取られると不味そうだが、受け方も難しい。

5筋の位から離れるため不満はあるが▲67銀と受ける手が見える、しかしこれに対しては△34歩と突く。

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先手は▲46角の飛び出しが効かない(45歩を突かれるため)のが地味に辛い。反撃にでる順も見当たらないため▲58金左と玉を固めるが…当然後手は薄くなった5筋から反発していく。

△54歩 ▲同歩 △同銀

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6~8筋を抑え込まれ、そのうえ5筋の位も奪還され先手は辛い所だ。反撃の手段が乏しいし、後手は放っておくと攻撃陣形は△73桂~△64歩で分厚く、囲いもどんどん固くなりそうだ。これはパックリアンしてやったりの局面と言えるだろう。

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▲67銀は厚みにかけ、後手の横暴を許した。代えて▲57角と受けるとどうなるか。これは8筋が薄くなるのが不安だ。

やはりいったん△34歩と突いておく。先手は77の地点をカバーする意味でも▲68金と備えたが、△86歩が厳しい攻めだ。これも先手不満の展開だろう。

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どうやら△64銀に▲66歩で受けるのは面白くなさそうだ。他の手段を見ていこう。

2、▲78飛には角を覗くのがテクニシャン!

▲66歩では△75歩の仕掛けに対応できなかった。次にあらかじめ▲78飛と仕掛けに備える手をやっていこう。

これに対しては△13角がパックリアンらしいイヤな覗きだ。

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△57角成を許すわけにはいかない。ここは▲58金左と受けるところだろうが△73桂が次の△65桂をみた機敏な一手だ。

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△65桂を跳ねられては潰れてしまう。▲66歩と突いて対処する。後手も一気には攻められない、△24角と上がって端攻めをかわす。

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先手としてもこの角の睨みを何とかしなければ指す手がなくなってしまう。▲26歩 △34歩 ▲25歩 △33角と、自陣に空洞ができるのは不安だが仕方なく追っ払っていく。

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△33角と引かされたようだが、十分な好所である。先手としても待望の▲46歩から自陣を整えに行くが…そこでパックリアンの例の手が飛んでくる。

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△54歩、これが大きな一手だ。▲同歩は止むを得ないが△同銀と5筋を奪還される。以下▲47金 △55歩 ▲67銀 △43金と進んだ局面はどうだろうか。

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こうなってしまうとやはり先手からの仕掛けは難しくなっている。後手はここから穴熊への組み換えもあり得る。中央に銀二枚と桂馬で威張られてはそう簡単に突破することは出来ないだろう。

3、手強い▲46歩には焦らず端歩で様子見を!

最後は7筋に反応せず▲46歩を突く手を見ていく。これが中々手強いのだ。

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もし▲66歩の時と同じように△75歩と仕掛けていくと…

△75歩 ▲同歩 △同銀 ▲45歩

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先手の角の利きが活きているのが大きく、パックリアンの弱点を攻められて不満な分かれだ。単純な仕掛けではうまくいかないようだ。

ということで▲46歩にはやや面白くないが△34歩と▲45歩に備えておく。

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▲46歩を突けたことで△13角と覗く手を防ぐことに成功している。次は▲78飛と回って仕掛けを受けに行く。

ここは難しい。△33角や△31角、△54歩などもありそうだが…敢えて難しい手だが△94歩と突いておく。

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これは後に可能性のある▲95角の筋の防止の意味や、先手の出方をうかがっているところがある。先手が▲66歩から▲65歩を目指してくるならば…


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△73桂と跳ねて突かせない。ここで▲58金左なら△54歩と突いていつものパックリアンになってしまう。思い切って▲68飛と回り▲65歩を目指してみると…

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すぐさま△86歩の仕掛けが飛んでくる。これを▲同角ならば△45歩~△55銀と中央を攻めて後手が良い。先手も▲同歩と取るくらいだが…

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続く△75歩が厳しい攻め。

以下▲78飛 △84飛 ▲68角 △74飛が進行の一例だがこうなってしまうと、先手陣は妙にスカスカしているし、一方の後手は攻撃陣も守備陣もしっかりとしている。中飛車側が捌くのは非常に難しい展開と言えそうだ。

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4、まとめ

・△64銀に▲66歩は△75歩の仕掛けから制圧できる。

・代えて▲78飛にも△13角の覗き+△73桂が強烈な狙い。

・▲46歩は手強いが△94歩の様子見から、相手の手を見て仕掛けを考えよう。

・あらゆる場面で△54歩からの5筋奪還を意識しよう。うまく出来れば負けにくい局面の出来上がり!

ということでまずは基本変化②の基本図から先手が銀を4段目に繰り出していく手法の対策について述べた。細かい変化が多いので難しかったと思うが、頑張ってついてきて欲しい。

次回の記事では基本図から▲66歩と、パックリアン側からの早繰り銀に備えた指し方について書いていく。どうぞお楽しみに。

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