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パックリアン戦法 基本変化②-3 対先手46歩態度保留型

パックリアン基本変化②もそろそろ終わりを迎える。上記の導入記事にて3つ目に挙げた先手の選択肢▲46歩と、左辺の態度を保留する指し方への対策について書いていこうと思う。

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後手としても左辺を放置されるなら攻めてみたいところだ。△73銀と勇躍進出していく。

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この手に対し▲57銀から受けを目指すのは基本変化②-1に合流していくため、先述として割愛する。先手の他の選択肢としては▲66歩と突く手は考えられる。パッとしないようだがこれがかなり手強い。後手パックリアンの手も広いが△13角と覗いてみる。

1、端攻めは怖くない?!歩の妙手で切り返せ!

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今までのように銀香との2枚換えになったりはしない、▲15歩と端攻めをしたくなるところだが…構わず△46角と歩を払って逃げる。

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▲14歩と取り込む一手に△24角と引き直し、次の△15歩~△14香という逆用を狙っていく。

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そのまま端の制空権を取り返されると先手も不満だ。歩を成って精算するとどうなるか。

▲13歩成 △同香 ▲同香成 △同角 ▲19香

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これで端を制圧されたように見える、しかしそう簡単には話は終わらない。ここで△14歩が面白い受けだ。

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この後に角を逃げられると▲14香と取りに行けなくなる(△13歩から香を取られる)ので勢いは▲14同香だが、そこで老獪に△35角とかわす。

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この角が次の△13歩を見せて▲12香成を強要している。

そして成らせておいて△86歩が厳しい狙いだ。

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▲同角なら△84香、▲同歩なら△88歩があり、いずれも後手ペースだ。端を破られても見返りがあるのでパックリアンも戦える変化だった。

続いては△15歩を打たせるが陣形を柔らかく指す▲26歩を検討する。

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このまま▲25歩以下、角を追われると逃げきれない。とは言え△34歩~△33角は端に不安がある。ということで△34銀と出て角頭をケアする。パックリアン独特の受けと言えるか。

△34銀 ▲67銀 △15歩

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先手としても端はこれ以上どうしようもないので中央から軽く動いていく。

▲54歩 △同歩 ▲同飛 △43金 ▲59飛 △14香

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上図となれば互角に近い形勢だが、端のアドバンテージ分で少し後手が指しやすいだろうか。この後もパックリアン側は、いつも通り厚みを意識して指していけば良いと思う。

2、ラスボス▲47銀、こいつは手強いぞ!

端攻めでは先手も大して上手くいかなかった。ということで▲46歩を受けるための手を探す。▲57銀から受けに行くのは基本変化②-2と合流していくので割愛する。ここは最終手段▲47銀と受ける手を紹介する。

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先手陣もバラバラのようで、ここを崩すのは容易でない。しかし左辺を放置されたからには△75歩と攻めていきたいところだ。

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①▲75同歩と②▲67銀が考えられると思う。両方やっていく。

まず▲75同歩には△64銀と出ていく。

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以下▲67銀 △75銀 ▲78飛と自然な手順だが、最後に△31角と引くのが秘蔵の一手だ。中央から飛車が動いたのを見ての反応だ、△54歩を狙っているが先手としても特に妨害出来る手もない。

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▲68角と銀に当てた手に△54歩が銀に紐をつけてぴったりの攻めだ。やはりこの中央からの反発がパックリアンらしさと言えるだろう。

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▲54同歩△同銀と進んで上図。まだまだ難しい互角の戦いと言えるが、仕掛けのタイミングは後手が図ることが出来そうだ。ここからは急戦特有の知識が問われる力勝負の展開になるだろう。

▲75同歩は難しいながらも主導権が後手にあった。次は▲67銀と立つ手を考える。

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ここで同じように△64銀と出ていくのは、このタイミングで▲15歩と突かれるのが気になる。代えて△76歩と取り込んで先手陣をバラバラにして手を作っていく。

△76歩 ▲同銀 △24角

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次に△64銀を出られれば▲65歩の反発には△75歩の切り返しがあるため、攻めが繋がりそうだ。対応が難しいが▲65歩と突いて銀の進出を阻む手が有力だ。

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何とか76の銀に狙いをつけて攻め続けたい。△72飛と回るが▲66角と受けて間に合う。しかしそこで△82飛と戻るのが面白い。

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▲77角と戻っては千日手模様で先手が面白くない。ここは▲88飛と回って受けてみたい。そこで△22玉と深く囲って下図。

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先手は陣形がバラバラのため、まずはこれをどうにかしないことには戦えない。▲38金~▲36歩くらいと左辺は▲77桂を入れてみたいところだろう。後手は△64歩や△34銀~△45歩の攻めを見せつつ自玉をまとめていく方針が良い。この局面もほぼ互角だが、左金を動かしにくい先手陣の制約も大きく、今回も後手パックリアンに主導権があると言ってよいと結論する。

3、まとめ

・▲46歩態度保留にも△73銀~△24角は有力。

・これまでに紹介した変化と合流しやすいので確認しておこう。

・角にアタックする端攻めのかわし方は頭に叩き込もう。

・△34銀で角頭のケアと△45歩の攻めが見せられることは覚えておこう。

・▲47銀型は強敵だが、引き角、中央反発、玉の再整備など、今までのパックリアン知識を総動員して戦おう。

4、基本変化②まとめ

以上で、先手が5筋の位を取ってくる基本変化②の大筋の話は終了となる。次回からは基本変化③である「5筋の位を保留した中飛車」の変化について書いていくが、その前に基本変化②のマニアックな裏話を有料記事として書いていきたいと思う。もし良かったら購入して読んでくれると嬉しく思う。

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