難きを挫く

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※大量局面図注意

昨日の詰将棋であるが、踏破出来た方はどのくらいいらっしゃるだろうか。

偶然の産物とは言え、実戦での詰みのエッセンスがたくさん詰まっているので、解けなかった方も「そういう手順があるのか」という感じで見ていってほしい。

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まずは金を取る。初手はほぼこれしかないが、まず最初の選択肢。飛車が王様を睨んでいるので△同銀とは取れない。①△同玉か②△12玉と逃げるかだ。

①△同玉の場合はズバッと角を切る手がある。

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以下△同玉の一手に▲55桂とでも打っておけば、豊富な持ち駒を駆使して簡単な詰みとなる。前進していくのは飛車の利きもあるし、自陣に▲47金も待っているので流石に入っていけない。玉を引いていくなら▲43角と打てることを忘れなければ大丈夫だ。

ということで初手▲32銀成には②△12玉が正着だ。

先手は▲22成銀と銀を払う。

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ここも応手に選択肢。①△同玉か②△同銀か。③△13玉は▲25桂打から本譜に近い手順で早詰みなので割愛。

①△同玉には勇気を出して▲31飛成と切り飛ばしていく。

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△同玉が最善だが…

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▲32銀捨てから▲41銀と引っ掛けていく。

△22玉や△42玉には▲31角の筋で、△21玉には▲43角成△12玉▲22金というような手順で迫っていけば、本譜よりかなり早詰みとなる。

ということで▲22成銀には②△同銀と取る。

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▲21角と打つ。角でなくてはならない。43の地点を見ているのが大きい。

△13玉に▲25桂打ちと繋いでいく。

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△24玉と逃げると本譜と似た筋に進み、33の地点に玉方の桂がいることで狭くなっているので早詰みがある。

ということで△同桂▲同桂△24玉と進む。

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ここが前半のポイントだ。

一見王手が続かないように見えるが、スペースを作って2枚の角を活かす好手順がある。

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▲35銀△同歩▲34金が実戦でも見つけたい素晴らしい手順だ。

これを①△同玉は▲43角成から3手詰。玉方は②同金と取るしかない。

構わず▲34角成と切り飛ばしていく。

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さあここでまた好手がある。

①▲35歩と取ってしまいたくなるが、それには△同玉と取られ▲36歩と打っても△26玉と刷り込まれて詰まない。

②▲33桂成が邪魔駒消去の手筋だ。

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V名人戦でもあった詰み筋だ。自分の邪魔駒を消去するのは思い浮かびにくいが、桂はよく出てくるので覚えておこう。ここで△同銀は▲25金の1手詰であるから△同玉と取るしかない。

そこで▲63飛成△24玉▲25歩と進める。

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この▲25歩が後半の味噌だ。△34玉は▲43角成で詰み。△13玉は▲24金で詰み。

とは言え△同玉と取られて、一瞬は歩を何のために捨てたのか意味が分かりにくいのだが…

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▲37桂△24玉と進める。▲37桂に△26玉は▲17金で詰み。ここで継続手はあるだろうか?

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▲25金△13玉▲14金と金の押し売りをしていく。端の歩がここで活きる。

以下△同玉▲15歩△13玉▲14歩△24玉と進み…

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ここで回収した歩を▲25歩と打てるのが、先に歩を捨てて▲37桂馬と設置した理由だった。後からこの手順をやろうとすると端で金を失っているので王様に入玉されてしまう。

▲25歩△34玉▲43竜(▲43角成でもOK) まで

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35手詰と相当長かったが、

①まずは32の金を剥がすのが急所。

②35地点への放り込み。

③邪魔駒消去の成り捨て。

④自陣の歩を突きだして詰みへの土台を作る。

⑤端に特攻して端歩を使った詰みを描く。

などなど、実戦でもしょっちゅう出てくる手筋が詰まったフルコース料理を一口で味わえてお得感があった。

是非何度も並べて手に感触をなじませてほしい。

いや~良い問題だったね(フフン)

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