PowerPointをCATツールで翻訳するときにやっておくと楽になること

PowerPointの翻訳って厄介ですよね。プレゼンツールなのでいろんな効果がある割には、エディタではないので置換が面倒。テキストボックスからはみ出るテキスト(見切れ)、重なる画像。ノート部分を翻訳するかどうか連絡ないときも(クライアントさん、PMさん、お願いしますよ~)。訳以外にやっておいた方がいい作業をまとめました。

ツール
とにかく、CATツールで訳しましょう。隠れている文字やノートもきっちりテキストにしてくれますし、文字装飾の情報も付いてきます。検索・置換もやりやすい。訳した後にエクスポートすれば、きちんと原文の位置に訳文が入ります。あとはレイアウトを調整するだけ。私はmemoQで訳しています。ツールは高いけど、案件を受けやすくなるので、元が取れますよ。

打診時の確認事項
対象読者、常体/敬体、ノートは翻訳対象か、レイアウト込みか(料金も)、文字の大きさの限度(例:6ポイントまで)、画像化されてる語句の扱い、コメント別紙/コメント機能、英訳はコンパクトにしていいか、参考資料/スタイルガイド、記号などの扱い(特に箇条書き)、あればアニメーションの扱い

交渉
PDFで依頼が来ても元がPowerPointの場合があるので、PowerPointで支給してほしい、その方が早いと交渉してみてください。ナンバリング対応よりは楽です。レイアウトをしたくない場合、エクスポートして後は翻訳会社で調整してもらえばいいですね。チェック用対訳を渡すからコメントはそちらで見てというと、相手の負担も減り、コメント作業が楽に。

画像部分の訳
画像にテキストボックスを追加して原文を入れる作業は、慣れていないとかなり面倒です。テキストボックスの後ろが透けないように色を変え、サイズ調整し、ボックスをグループ化するなど、できない場合は翻訳会社にやってもらうか、その箇所だけベタで納品します。

レイアウトは重要な情報
プレゼンなので、原文の位置やインデントは大事な情報です。CATツールの欠点は、こういう情報が入っていないこと。必ずレイアウトが見える状態で訳してください。和訳で体言止めにするかどうか、英訳で不定詞や動名詞の句にするか文にするかの判断には、レイアウトが必要です(私は原文をノート付きで印刷しています)。

前処理
原文をCATツールに取り込む前に、前処理をしておくと翻訳以外のところが格段に楽になります。Wordより装飾が多いのはしょうがないけど、無駄なフォント情報でタグがたくさんできると面倒。1文にタグが8つもあるとストレスです。訳文に反映できないタグは減らしておくべし!

1)フォントやポイントを、スライドマスターを使って揃える。混ざっているとタグが増えて面倒(英文に明朝とか関係ないですから)。

2)テキストボックスの書式もできるだけ統一。できれば自動調整に。
テキストボックスを「自動調整」にしておくと、訳文入れた後に文字の大きさの調整をしなくて済みます。訳文をエクスポートしてから1つずつやってもいいのですが、事前にできたらさらに楽。

3)和訳の場合はイタリックを太字や下線に、英訳の場合は「」を太字、下線、イタリックなどに変えておく(事前に確認すること)。

4)変な改行があれば結合しておく。CATツールに取り込んでからでも結合できるが、後処理が増えるので事前が吉。
インデントの代わりに改行してスペースで調整している原稿、ありません? CATツールでは文が分割されて訳しにくいことこの上ない。結合して、インデントで調整しておきます。

5)記号、特に矢印、かっこ、箇条書きの記号は、客先に確認しておきましょう。和文の見出しに<>があると、涙が出ます。半角にすればいいわけではないですから。記号も文字なんです。箇条書きも指差しとかダイヤとか、国によって違うようです。

訳している途中
タグが多すぎて困る場合は、原文をよく見てください。訳文に関係ないポイント情報やフォント情報だと判断できれば、訳文の後ろにタグをまとめて挿入しても大丈夫。
心配ならツールのレイアウト機能で確認しながら作業してみてくださいね。

コメント
Wordのようにピンポイントにコメントを付けられないので、位置、原文などを提示しながら記載します。別紙にまとめる場合は、ツールからバイリンガルファイルを出して、必要な行をコピペして作成するとちょっと楽です。

レイアウト処理
エクスポートすると、テキストボックスからはみ出たり、重なって見えなくなったり…サイズ調整、頑張りましょう。自動調整が便利です。
テキストボックス内にカーソルを置き、Ctrl+Aで選択→フォント、ポイント調整など。改行のずれや、結合したところは不要な改行があるので、しっかり調整してください。
スライドマスターや、オプションを使った一括調整が使えるといいですね。

アニメーション
減ってきていますが、アニメーションがあると、スライドの一覧に★のマークが出ます。アニメーションを動かして原文と同じ動きになっているか確認します。おかしくなっていたら、自分でできる人以外は翻訳会社にコメントで連絡を。

PowerPointに特有の作業だけ、まとめました。お役に立てば幸いです。
訳の特徴などは、「板書に同じ」なんですが、そちらは講座やプレゼンの本など参考になさってくださいね。

ご質問はTwitter @bumicchu ぶみにゃんご までどうぞ。




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