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【三題創作怪談】 伍ノ巻 『とらえた被写体』

選出テーマ

①七転び八起き
②特効薬
③絶対領域

語句説明

カメコ

「カメラ小僧」略して「カメコ」
主にコスプレイヤーやコンパニオンを撮影する人物をさす。
勝手に撮影するのはマナー違反。
撮影する場合は相手に許可を取ること。
ローアングルから撮影したり卑猥なポーズを強要するなど迷惑行為をする者も一定数存在する。

絶対領域

俗に、ミニスカートやショートパンツと膝上までの丈のソックスとの間から露出している太もものこと。
いわゆる萌え用語。
作者も大好きである。



本編

カメラマンをやっている井坂という男がいた。
カメラマンといえば聞こえはいいが撮影する被写体はコスプレイヤー、いわゆる「カメコ」というやつである。
それも男性コスプレイヤーには目もくれず、女性コスプレイヤーをローアングルから撮影したり隠し撮りをする悪質な人物だったという。

「七転び八起き!最高の画はタダでは撮れない!」

というのが口癖で全く悪びれる様子もなければ、何なら開き直っている始末だった。

そんな井坂がそういった行為を止めるきっかけが心霊現象だったらしい。

あるコスプレイベントで井坂は標的を物色していた。
そんな彼の前に有名なスマホゲームのキャラクターに扮したコスプレイヤーが通りかかった。
スカートとニーソックスの間のいわゆる絶対領域が眩しかった。
しめしめと思い後を付ける。
井坂の期待通り、コスプレイヤーは人気のない路地裏に入りスマートフォンを取り出して触り始めた。

シャッターチャンス!

そう思って素早く彼女の足元にかがみこんでカメラを構えた。
カメラのファインダーがスカートの中身をとらえたかに思えたが、見えたのは下着ではなく

血塗れの男の生首であった。

男の生首は井坂のカメラのレンズ越しにゆっくりと口を動かして何かを言っている。

「うわああああ!!」

悲鳴を上げるのと同時に制服を着た警官が現れ井坂を取り押さえた。
コスプレイヤーは井坂をおびき出すエサで、まんまと罠に引っかかったのだった。

それが特効薬となったのか、井坂は悪質なカメコから足を洗ったという。

ちなみにスカートの中にいた生首が何を言っていたのか井坂は鮮明に覚えている。

「コ……ロ、ス……」

その血まみれの生首は今でもたまに井坂の元に現れる。




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