日記(ねぇ、秒速5cmなんだって
中学生のころから続く悪友が毎年、桜が咲くと参宮橋から代々木公園の方まで散歩をしている。聖地巡礼と言うやつだ。いつものマンホールがスタートで、映画の話・セリフを追いつつ今はどう感じるか、当時はどう感じたかなんかを話しながら踏切をあっちに越えこっちに越えしながら歩く。今年は私と妻と3人で歩くこととなった。
駅前のコンビニでビールを買って少年少女が遊ぶ公園でプルタブをカシュッとやることで、ちゃんとしょうもない大人になったねぇと語り合うのが一緒に来た時のお約束だ。悪友している。妻は私は違いますという感じで清涼飲料水を飲んでいた。
どうやらこの木は悪友とこの会をし始まったときには左の太い方が見事に咲いていて、今は右が新たに……という状況らしい。友人が懐かしいね、と私に微笑みかけて来るがピンとこない。私がまじめな写真趣味の人間なら過去を遡れば立派な桜の画像もあったろうに。得意の曖昧な顔で微笑みに応えることにした。長い付き合いだからバレてはいるのだろう。
聖地巡礼はほろ酔いでスタートした。昼間から飲む1缶のビールはなんであんなに酔うのだろうか。
この踏切も映画で出てくる。正確には出て来るらしい。私は見た作品の内容をほとんど忘れてしまう。大学生以降見たものはだいたいそうだ。幼少のころ見た作品は覚えているものが多いのはなんでだろう。と、ほろ酔いの頭で考えてアルコールのせいでは?と思い当たるなど。
すたこら歩いて代々木八幡についた。神社だ。『カメラマンの方へ。許可のない商業写真の撮影はダメです』のような立札があって、コスプレとかポートレートとか確かに撮りたくなるスポットかぁと。
庚申塔をご存知だろうか。なんでも腹の虫が寝ている間に悪さする夜が定期的にあって、んじゃ寝なきゃいいじゃん踊り明かそう!というパリピ全開な信仰があったのだ。と、写真を撮った気で書き始めたけど撮っていなかった。この日はここ代々木八幡と、恵比寿近くで庚申塔を見た。結構いろいろな場所にあるんだなぁ。
代々木八幡は火曜日だというのに人がわりといて、神社にはお参りをする人が列をなしていた。恋みくじがあって、既婚者の友人、妻、私とも引いて何してんだろうなぁと思った。というのも、私のみくじには「良い出会いが!」のように書いてあったし妻のみくじには「不倫の恋で傷つく」と書いてあった。しかもあろうことか妻は「不倫されて傷つく」と解釈していた。俺は浮気はしない。多分しないと思う。しないんじゃないかな。さだまさしが歌っている。関白失脚しても私は妻を愛し続けるぞ。
使っているカメラdp3 quattroの画角が75・90mm(コンバージョンレンズを付けると)なので撮っていて広角欲しいなぁと思うんだけれど、こう見ると別に要らないのかもしれない。レンズや本体は増やさないに限る。
この写真を撮っているとき、友人が「見下ろすように彼はよく写真を撮るよね」と話をしていて確かになぁと。悔しくなったので同じ場所から横の景色も撮ったんだった。
歩き疲れたわけでもないけれど、最近好きなカフェが近くにあったので寄らない?と提案した。
最近は待っているワインとお菓子、マキアートを飲んで出た。友人はさっきのコンビニビールがずいぶん優雅になって返ってきたと笑っていた。
友人は少し鉄道オタクの血が流れているようで「ロマンスカーの最新のと一番人気の車両だよ。この時間すれ違うのも珍しい。まぁロマンスカーはどれも人気なんだけど、そういえば最近白い有名だった車両が別の私鉄に……」とニコニコしていた。そうだね。すごいね。
にぎわう奥渋を通り抜けて渋谷へ。
どこを見ても工事が進んでいて、上京してきた時とは全然景色が違う。らしい。らしいというのもあんまり記憶がない。適当に景色を見ている。こんなに写真は撮っているのに。
ずいぶん低いところを飛ぶようになったなぁとは思う。なんか法律が変わった?んですよね?
撮る人を撮る人を私がやっていると、友人はその私を撮っていた。何坂だかわからない坂にたいそう桜が咲いていてきれいだった。
今度は渋谷から線路沿いに恵比寿に向かうことにした。だんだん暗くなってきていて、写真を撮るのに息を止めることが多くなる時間帯だ。1秒、2秒と呼吸を止めて筋肉を硬直させてシャッターボタンをそっと押す。最近は慣れてきてブレてしまう写真が少なくなった。それとFOVEONとはいえISO250くらいまではノイズも気にならない。400くらいからはまぁ。まぁ気にするなよそのくらい。になる。
こうしてダラダラ書いていると記憶が1日で消えてしまう人のようだ。遠くない気もするから悲しい。ホモサピエンスは外部に記憶を保存することで発展を遂げたわけだからと笑ってもいられないかもしれない。
なんやかんや歩いて中目黒まで来ていた。目黒川沿いの桜は満開で、火曜でもにぎわっていた。
お花見に限らず人と何かを共有する時間と言うのは良いものだ。もちろん1人でも楽しいし、良いものなのだけど。何人かで楽しそうにしている人を見るのが好きだ。いや、うーん、1人でいる人を見るのも好きだなぁ。
花見はまだできるだろうか。ゆっくり写真でも撮りながら花見をしたい気持ちと、どんちゃん騒ぎの花見もしたいなぁとも思う。そうしている間にも花は散っていくんだよな。アダバナ。仇桜か。とはいえ花に嵐の例えもあるぞと酒をなみなみ注いでいると二日酔いで苦しんじゃうもんな。感傷もほどほどがよい。
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