『AIRCROPS』 デザイナーズノート#01 [ひらめき編]
今回の記事から、いよいよデザイナーズノートの開始です!
まずは『AIRCROPS』のアイデアについて書いていきたいと思います。
ひらめきパターン
僕が新しいゲームのアイデアを閃く時は、だいたい2パターンです。
1. 突然アイデアが降ってくる
2. すきなものを魔合体する
1つ目はそのまんまですが、ほんとにパッと閃くのです。『passtally』や『insect.inc』がこのパターン。インパクトのあるゲームが完成する確率は高いのですが、降ってくるのを祈って待つことしかできないのが難点。
2つ目は、美味しいとこの魔合体です。スライドパズル × ワーカープレイスメント、ロンデル × タイルアクションなど。前者が『airship city』、後者が『ABYSSAL LINE』です。
開発初期からゲームとしては成り立ちやすいですが、さらに一捻りか二捻りのアイデアがないと薄味になりがち。
実は、たまーに閃くパターンがもう一つあるんですが長くなるので省略!
過去作の魔合体
今作については2パターン目の魔合体です。
自分の過去作を2つ選んで魔合体したら、より進化したゲームが、そこまで時間をかけずに作れるのでは!?と冗談半分で考え始めたのがきっかけです。
ということで、「気に入ってるんだけど、もう少し良くできそうかもなー」という二作を選ぶことにしました。
一つ目は前述の『ABYSSAL LINE』。深海遊覧船の船長となり、4列 × 4段の深海のまわりをぐるぐるまわりながら乗客を満足させたり、深海生物の調査を行って勝利点を稼ぐのが目的のボードゲーム。
そして、二つ目は『BOTANICAL LAB』。デッキ構築しながら、全員共通の研究室ボードの上で、新種の植物を育てて研究して論文発表をするボードゲームです。
もともと『ABYSSAL LINE』は開発初期の段階で、軽めにするか重めにするかで悩んでおり、結果として前者を選びました。なので今作はパラレルワールドのような、もし『ABYSSAL LINE』が重量級になっていたら…みたいなことを妄想しながらゲームデザインを開始しました。
1つの畑に4つの菜園
2つのゲームを合体させるにあたり、まずはコアとなるメカニクスを考えました。
具体的には『ABYSSAL LINE』の「16枚の共通ボードを周回して、列または段にアクション実行」と、『BOTANICAL LAB』の「共通ボードで植物を育てる」という仕組みを、どのようにうまく組み合わせるか、です。
上記を起点にいろいろとアイデアをこねていき、「1つの畑ボードには4つの菜園スペースがあり、その畑ボードが16枚並んでいる(開発当初は4列 × 4段でした)。で、その周りをぐるぐる回る」というプレイイメージが頭に浮かびまして…
これはいけそうだぞ!と思ったので、
冗談半分から制作を本格的に進めることにしました。
が、うーん、
まー、そうだよなぁ。魔合体しても、そう簡単に面白くならんよな…と。
結局、最初の思惑どおりにすんなり完成とはいかず…かなり紆余曲折と言いますか、他作品と比べると形になるまでかなり苦戦したのですが、なんとか完成に漕ぎ着けることができました(今までで一番時間かかったのでは…)。
ゆくゆく書くであろうゲームデザインの記事で、そこらへんは触れたいなと思ってます。
なぜ「天空」で農作業?
なぜ「天空」で農作業というテーマにしたのか…。
自分でも全く覚えておらずメモを読み返したのですが、最初のメモ(初回は2022年11月と結構前だった!)を見ると、内容物のリストに既に「農業航空機カード」なるものがあり…なんと最初から空で野菜を作るというテーマになっていました!
おそらく『ABYSSAL LINE』が深海のSFだから、真逆の「天空」が舞台のSFにしたら面白いのでは?のような単純な思い付きだったんだろう、と思います。
もしくは4列×4段で無意識に『airship city』と関連づけてたのかも?
本当はゲームシステムと絡めたテーマ選定について書きたかったのですが、ごめんなさい!今回は思い付きがそのまま完成を迎えてしまいました…。
プレイ人数:2-4人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:40-80分
GAME DESIGN & ARTWORK:Masaki Suga
箱サイズ:240mm × 240mm × 45mm
カードサイズ:58mm × 89mm
説明書PDFはこちら!
ということで、『AIRCROPS』のデザイナーズノート#01「ひらめき編」でした。
次回は「ゲームデザイン編」に進みたいと思います!