うなぎ炒飯の日曜日
冷凍庫に結構前に買ったうなぎの白焼きのチルドパックが眠っていた。
会社の付き合いで得意先のギフトパックを買った際に入っていたものだ。
早々に食べてしまえばよかったのだが、そんなに高級なうなぎではないとはいえ、腐ってもうなぎ、もとい、凍っててもうなぎである。
しかるべきときに襟を正して食べようと思って冷凍庫にしまっておいたのを、そのまま忘れていた。
そして、本日再会を果たしたというわけだ。
さて、どうしようか、
普通であれば、わさびでも添えて白焼きとして酒の肴にするか、タレをつけて真っ正面からうな丼にするかといったところ。
しかし、冷凍庫で1年も寝かしてしまったことで、うなぎ様の有り難みも薄れており(こちらの都合なので失礼極まりない話だが)、もうちょっとラフに、そしてフランクに、このうなぎと相対してみたくなっていた。
そうだ、うなぎ炒飯。
いつかどこかで耳にしたうなぎ炒飯を今こそ作ろう。
男の日曜日の手料理といえば、炒飯と相場は決まっているし、気になっていたものの外で食べる機会もなく、またわざわざ炒飯にするためにうなぎを買うこともないという、食べるチャンスが稀有なこのメニューを今こそ食す時だ。
ネットでうなぎ炒飯に至るおおよその道筋だけ確認し、分量やうなぎ意外の材料は適当にやっていく。
まずは常温に戻しておいたチルドパックうなぎの表面を水で丁寧に洗う。そして、キッチンペーパーで水気を拭き取る。
こうすることでうなぎの保存のために使われている安い油が落ち、うなぎの旨味が際立つのだ。(その昔、清野とおるさんの漫画『そのおこだわり俺にもくれよ』の『中国うなぎの男』編で仕入れておいた知識である。)
そして、そのうなぎを魚焼きグリルで軽く炙った後、一口サイズにカットしておく。
ただし、2切れだけは少し大きく切って、別途魚焼きグリルで焼き上げておいて、最後に上に乗せることにした。
自らの機転が恐ろしい。
それから、普通に美味しい炒飯を作る。
フライパンに少し多めに胡麻油を敷き、溶き卵を流し入れたらすぐに冷ましたご飯を入れて素早くかき混ぜる。そしてネギを加え、軽く塩胡椒する。
それ以上でも以下でもない、予想していた通りの普通に美味しそうな炒飯ができあがり、なんだかここからうなぎを入れるのは蛇足な気がしてくる。
しかし、今日を逃してはうなぎ炒飯を食べる機会はないと自らにハッパをかけ、カットうなぎをバッと投入。
仕上げにうなぎのタレをかけまわして、軽くかき混ぜ、最初に構えておいたうなぎ2切れを鎮座ましませば、うなぎ炒飯の完成である。
これがうなぎ炒飯だ。(適当に作ってるので、正解かどうかわからないが)
日曜日なので、プレミアムモルツの350ミリ缶と共に頂く。
…
うまい。普通にうまい。
決して、うまい!!という感じではないが、安心する美味しさだ。
子供の頃、家で作ってくれたうなぎご飯に似た味わいだ。
うなぎの美味しさは充分に感じられるものの、程よいチープ感をまとっており、スプーン1本でガッポガッポ口に放り込んでも惜しくない。
そして、ビールと良く合う。ご機嫌な日曜日の晩飯だ。
うなぎ炒飯、アリでした。
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