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ドシロウトほど怖いものはありません。うかつというか、無知というか、最優先課題である水のことを度外視してブルーベリーの養液ポット栽培の検討がどんどん進んでいきました。

そもそも、私たちが今ブルーベリー栽培に取り組んでいるここ相模原の前戸地区は、歴史的に水に苦労してきた土地だそうです。水道が引かれるようになるまでは飲み水になる湧水の量で人家の数が決まっていたのだという話を後から聞いてびっくりした次第です。
そんなことが最初からわかっていたら、地植えと違って大量の水が必要なブルーベリーの養液ポット栽培など考えることはなかったでしょう。

水がないとわかった時、最初は井戸を掘ればいいやと簡単に考えたのですが、いろいろ調べていくうちに、この地域はその昔道志川の河原だったところで、地下にごろごろしている大石の層がありそれを突き抜けて相当深い井戸を掘らないと水が出ない土地だということがわかってきました。井戸を掘るにしても桁違いのコストがかかりそうでした。
そのあと、農業用水を分けてもらうことや水道水を引水することも検討しましたが、いずれもいろいろ問題があって簡単にはいかないことが判明して頭を抱えてしまいました。
アー、どうしよう!思案投げ首とはまさにこういう状態をいうのでしょう。

窮すれば通ずという言葉もあります。幸いなことに、私たちの圃場に隣接する北の森の中の崖下に湧水があり、その土地をお借りすることができました。最終的に、そこから取水してポンプアップしてタンクに貯め、苗木に給水してタンクの水量が一定値まで低下したら自動的にポンプアップを繰り返すしくみを自社の技術者を中心に試行錯誤を重ねて組み上げました。まさに手作り感満載の労作です。
これで一応の解決をみて、晴れてブルーベリーの栽培が始まりました。

ただ、今後2倍3倍に農地を増やしていったとき果たしてこのしくみで大丈夫だろうか。 日照り続きのとき渇水しないだろうか? 台風で大雨になったらどうしよう? 観光農園を開園したときの飲料水の確保は? ポンプが故障したときのバックアップは?
考えれば考えるほど悩ましく、改めてしっかりと検討する必要があると思っています。

動物も植物も水がなければ生きていけません。命の水ですね。何はともあれ、ひとまず
ホッと胸をなでおろしている次第です。

言い訳がましくなりますが、農業のイロハもわからないドシロウト集団だったからこそ、こんな無謀な第一歩が踏み出せたのかもしれません。

(山川陽一)

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