離れていても見守っています(2)
前回、養液システムの稼働状況を遠隔で監視している話をしましたが、今回は「環境情報の遠隔監視」について紹介したいと思います。
「環境情報」と大げさに言いましたが、観測しているのは気温・湿度・気圧・観測機器の電源電圧です。下の写真は、観測用の機器です。
オレンジ色の物体は、M5stickCという超小型のコンピュータ(マイコン)です。M5stickCは、4.8×2.4×1.4cmのサイズの中に、240MHzデュアルコアMPU、0.96インチ液晶ディスプレイ、赤外線送信機、6軸加速度・ジャイロセンサー、WiFi、80mAhのバッテリーなどが搭載されています。値段も3千円弱で、手軽に電子工作用として使えます。購入すると、写真のようなものがパッケージに入っています。
腕時計用のマウントが入っており、こんな感じで腕にも装着できます。内蔵の加速度センサーを使って、運動負荷も分かるかもしれません。自作のスマートウオッチが作れそうです。
M5stickCにはGroveというコネクタがあり、このコネクタに対応した多くのセンサーやサーボモータユニットなどが販売されています。今回はGroveコネクタに、気温・湿度・気圧を測定できるM5Stack用環境センサユニットをつなぎました。ただ、つないだだけでは動かないので、プログラムを作らなければなりません。少しハードルが高いのですが、インターネットで調べるとサンプルプログラムが色々出ています。また、M5stickCの解説書も出ています。プラグラムはサンププルプログラムを使い、手順は解説書に従って作業したら、意外と簡単に動かすことができました。
次の課題は、検出したデータをどうやって離れたところから監視するか、とても自分では構築できるとは思えません。しかしこれもAmbientという、クラウドサービスを使うことで解決できました。
Ambientは、インターネットにつながったマイコンから送られてくるデータを受信し、蓄積し、可視化することに特化したシンプルなクラウドサービスです。おまけに、データ数に制約はあるものの無料で使えます。使い方も簡単です。
まずAmbientのwebサイトでユーザ登録をし、ユーザに割り当てられる「チャンネル」を作成します。次にM5stickCの方で、さきほど作ったAmbientのチャンネルに向かってデータを送るプログラムを書き込みますが、これもAmbient用の命令語が用意されています。
書込みが終わって動作させると、一定時間毎に気温・湿度・気圧が計測され、計測データがAmbientに送信されます。Ambientでは、ユーザが面倒な初期設定をしなくても、送られてきたデータを自動的にグラフ化してくれます。表題の写真は、リアルタイムのデータをメータ形式でAmbientで表示させたものです。また一日のデータを表示させることもできます。
世の中のあまたある監視システムと比べたら、手作りのささやかなシステムです。でもわずか数千円の出費と少しの手間で遠隔監視システムが作れるなんてすばらしいことだと思います。しかし計測したデータを生かさないと意味がありません。実は、生かし切れていないというのが実態ですが、続きは次回にします。
小林 孝 (2021.10.2)
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