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新しい価値の創造-荒廃農地を再生する

生まれついての性分なのでしょう。

私は、ものごとを決められた手順にしたがってやり続けることや緻密な作業を根気よく続けることが不得手な人間です。他方、未知の世界に対する好奇心や前例のないことに対する探究心は人一倍強いものがありました。およそサラリーマンタイプに程遠いこんな自分が40年の長きにわたり会社生活を全うできたのは、私の特性を生かして使ってくれる雅量が会社にあったからなのでしょう。

私は日本が高度経済成長真っ只中の1961年に横河電機に入社しました。当時は時流に乗って会社も倍々成長をし続けており、内部管理のやり方も常に改革が求められていました。多分、それが幸いしたのだと思います。
ひとつのテーマに区切りが付くと、次に、また次にと、新しいテーマが現れ、気が付いたらリタイアの歳になっていました。生きていくために苦手な仕事でも忍耐強くやらなければならないつらい経験がほとんどなかった幸せな会社生活でした。

そんな中で、自分として常に意識していたことがひとつあります。それは自分のやる仕事は利益を生まなければダメだということでした。趣味の世界は別として、どんなに素晴らしアイディアでも、利益に結びつかなければただの金食い虫です。それができなければ企業人として失格だと思っていました。

「営利事業」というと「ただの金儲けだろう」みたいなニュアンスがありますが、そんなことは決してありません。お金がなければ実現したいことも実現できないのです。そのために出資金を募り、金融機関から資金を借入れて事業を進める、借りたお金は利子をつけて返済しなければならないし、出資者には配当という形で報いる必要があります。そのために利益をあげ事業を継続し更なる高みを目指していく、こんな持続性を持った上昇スパイラルを作り出していかなければなりません。

私が会社をリタイアしたころからCSR(Corporate Social Responsibility企業の社会的責任)ということが盛んに言われるようになりました。近年は、RE100(Renewal Energy 100再生可能エネルギー100%)とかSDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)などと言って、地球並びに社会の持続可能性に反する行為に対しては、企業はもちろん国に対しても厳しい目が向けられる時代になってきています。

株式会社さがみこファームのパンフレットをひらくと、地域貢献、社会貢献を核とした4つのマニフェストが掲げられています。そのひとつに次のように書かれています。

-多様な雇用の創出-
「私たちは、ブルーベリーの生産・販売・加工を通じて、地域住民、障がい者、学生、子育てママなど、多様な人たちが自分らしく働く受け皿になることを目指します。」と

ただ、いくら美しい理念を掲げても利益を生みだせなければ結果として空手形になってしまいます。まして、事業の拡大など夢のまた夢です。
多くのお客様を呼び、地域の方々のしごとをつくりだすことが実際にできてはじめて胸を張って地域貢献、社会貢献事業と言えるのだと思います。

そのためには、会員の方たち、ご来園いただく方たち、収穫した作物をお買い求めいただく方たちに、払ったお金以上の価値を感じてもらえる中身を提供していく義務があります。

私たちが現在事業化に取り組んでいるところは典型的な中山間地で、後継者がなく耕作放棄されている荒廃農地でした。こんな場所を借り受けて事業として成り立たせためには、前例踏襲の常識的なやり方をやっていたのではダメで、既成概念にとらわれない発想でまったく新しい価値を創造することが必要です。

地元の方たちや行政の方たちなどにこんな私たちの事業姿勢をわかってもらうのは容易ではありませんが、多少遠回りしても私たちの真意をご理解いただき、価値観を共有して素敵なSAGAMICO BERRY GARDENを創っていきたいと思っています。

どうか皆さん、ご支援ください。
(2021.12.18 山川陽一)

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