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関西人の前でお好み焼きを焼くということ

昨日、一緒に働いているチームでお好み焼きを食べた。
会社の近くにあったのがたまたまお好み焼き屋でそこを選んだのだが、私は大変貴重な体験をした。

「関西人2人の前で、お好み焼きを焼く」という経験だ。

言い訳させてもらうと、私はお好み焼きを食べないわけじゃないし、料理をしないわけじゃない。お金がなかった大学生のときなど、よく作って食べていた。

そう、別に作れないわけじゃなかった。誰にも見せたりすることはなかったが、お好み焼きは確かにフライパンで美味しく焼けていたと思う。

だから「誰が焼く?」と言われた時も、面倒なことを率先してやろうという親切心から「私やろっか」と答えたのだ。

ただまずいもの食わせてもあれかと思ったので、予防線をはるために

「鉄板で焼くの本当に経験ないし、変なことあったら教えてね」 

と声をかけた。だがそれこそが失敗だった。

「え、sagako毎日note書いてるやん。ネタのために、助言なしで焼いてよ」

あ?
極めて運の悪いことに、私の目の前にいる関西人2名は「食にうるさい方」と「悪ノリしていじる方」で構成されていた。

私は、言いようの無い不安に襲われた。

関西人を前にして、私は完璧なお好み焼きを作れるだろうか? いいやできない。ただ、100点中70点くらいのものはできるだろう。なんせ店のお好み焼きでタネはできている。あとは混ぜて焼くだけだ。

それに何事も経験。彼のいう通り、きっと良いnoteのネタになることだろう。よし、アイアムチャレンジャー

「うん、、、じゃあ見ててね」

まずは親切な店員さんが言っていた「豚肉は最初によけてね」というヒントをもとに、豚肉をよける。そうして私は猛然と豚玉をかき混めた。
半端にかき混ぜたほうがいいとかないよね?とか不安に思いながらもしっかりかき混ぜ、まずは肉を鉄板におこうとした。

その時だった。

「あっ」

えっ?
唐突に、前に座る悪ノリしていじる方が声をだす。

私「どうしたんですか、いじる方さん」
い「いや、なんでもないなんでもない。気にしないで」

なんなんだろう。タネを鉄板に乗っける行為に、これ以外の動作はないような??豚バラ焼いて、タネ乗っけるしかないよね???

私はこの鉄火場から生き残るため、お好み焼きに関する知識を記憶の底からひっかきだしていた。

遠い昔にフライパンでのお好み焼きの作り方を教えてくれた、兵庫人もっちゃんのセリフを思い出す。彼女はたしか、「お好み焼きを押し付けるな!肉汁がでてまうやろ」としか言ってなかった気がする。

大丈夫だ、これはいじる方さんの意地悪ないじりだ。ビークール。頭の中でもっちゃんが「大丈夫やで」って言ってくれるのを感じる。わかったよもっちゃん、俺やるよ、俺に力を貸してくれ。
続いて整形にうつる。まあ、丸くするだけだ。

う「まぁ……いいんじゃないですかね?」
い「まあね」

正面で、食にうるさい方といじる方がアイコンタクトをかわしている。
なんだろう、なにが悪いんだろう。
え、丸くする以外になんかある??ハートとか????
不安がっている私をみてか、隣に座っていた新入社員くん(not関西人)が、店員さんが言っていた4分を測ってくれる。ありがとう。ここのテーブルに味方は君だけだよ。

そうして細かくひっくり返すことなく既定の時間を終え、豚肉をのっけてひっくり返す段階になる。

い「おいおいおいおい、これ動画にとらなくていいん??」
う「大切なところですね、撮影しましょうか?」

いらんわ。
お好み焼きくらいひっくり返せるわ。
2人の言葉を無視してさっさとひっくり返してみせる。お好み焼きは黄金色で、きれいな円を描いていた。

私「どんなもんでしょ〜(ドヤ顔)」
い「、、、まあ、いいんちゃう?」

なんやねんお前。その興味のないようないいよう。残念でした、基礎的な調理技術はあるんだよ!
次にいい感じに両面焼けたので、ソースをかけようとした。

う「あ〜〜」

私「どうした?」
う「いや、別に食べられるんで」

……もういいじゃん。食えるし。タネさえしっかりしていれば、別にお好み焼きまずくなりようがないじゃん。

い「でもなぁ?」
う「……ねえ?」 
私「……何か違うことあった?」
う「……いや〜普通はもう一回ひっくり返して、豚肉を上にするな〜って」

2人の言う通りひっくり返して、豚肉が上にいくようにする。
無言で刷毛でソースをぬる。

う「ふふっ、結構ソース繊細にぬるんですね」
い「こういうのはソースをドバッとかけてから、刷毛でのばすよね」
う「ちょっとはみ出て焦げちゃうところがいいんですよね〜」
私「黙ってろ」

ソースの塗り方くらい別になんでも良くない?
マヨネーズは高速できれいに山の字がかけ、鰹節をもっさりかけたあと、死ぬほど青のりをかけてやった。


さて、今回の経験で分かったことがいくつかある。

①何となく分かっているようなつもりでも分かっていない事がある。

よく、カレーの作り方をいかに細かく分解できるか、というワークショップがあるが、あれと同じ事である。
野菜を切って煮込む、ルーをいれるという動作をいかに細かく分解できるかということに、物事の理解の度合いがあらわれる

②関西人の前でお好み焼きを焼くな

細かくやり口を突っ込んでくる他に、いじりが入る。とくに複数いる場合には、関西人同士で「お好み焼きとは」トークがはじまる。

③お好み焼きは普通にうまい

久しぶりに食べたが美味しかった。コンビニのふにゃふにゃしたお好み焼きとか、たこ焼き屋が一緒に売ってるパックの中にはいったお好み焼きとは違った。
服は臭いし、やいのやいの言われたけど、誰かと鉄板かこむのは楽しかった。また食べたい。

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