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海苔の健康への可能性は∞

海苔と歴史

四面海に囲まれた日本は、世界で最も多くの水産物を利用、消費する国です。なかでも海苔を様々な形で日常の食生活に取り入れ、板状にして食する日本はユニークであると言えるでしょう。我々が食べている海苔は、紅藻、緑藻などの食用とされる藻類の総称で、日本人はそれらを加工したものを古くから食してきました。奈良時代の「風土記」には、海苔について記述があり、海苔が租税の対象であったとされ、海苔は古くから重要な食べ物であることがわかります。海苔の養殖技術は江戸時代には確立され、今では佐賀県をはじめ幾つかの県で養殖されています。なかでも有明海の海苔の養殖はつとに有名であり、佐賀海苔の生産高は18年連続日本一です。

ノリ漁場

海苔の健康への可能性

栄養学的には、海苔はたんぱく質約40%、食物繊維約35%を含み、ビタミン類(A,B2,B12、K)やミネラル類(マグネシウム、リン)を豊富に含んでいます。
ここでは、海藻類について二つの話題を紹介しましょう。
一つは、大阪で実施された疫学調査です(Am J Clin Nutr 2019)。40-69歳の日本人男女において、海藻類を全く食べない人に比べて毎日食べる人では虚血性心疾患のリスクが男性で24%、女性で44%も低下することが認められました。
もう一つは、地元佐賀大学で行われた海苔の機能性に関する動物試験です。魚類にはドコサヘキサエン酸(DHA)という脂肪酸が含まれ、機能性食品、サプリメントとして販売されています。一方、海苔はエイコサペンタエン酸(EPA)を多く含み、水産物としては変わり種です。これらの海苔の脂肪を肥満マウスに与えると、脂肪肝、高脂血症が改善し肝機能マーカーも正常化することがわかりました。さらに、EPAやDHAは脳に蓄積することから、海苔の摂取は認知機能に関与する可能性があります(脂質栄養、2018)。
このように、海苔には種々の機能性があることがわかってきました。

海苔の活用

梅干しやおかかを入れたおふくろのおにぎりにしっかりと海苔が巻いてあったことが思い出されます。最近ではお母さんが海苔で子供のためにキャラクターを描くいわゆるキャラ弁もあり、佐賀県が誇る海苔に新しい利用方法が生まれています。
この他、海藻類には抗酸化作用、抗ガン作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用などの機能性(Food Chem Toxicol, 2020)がありますので、今後の研究に目が離せません。佐賀が誇る海苔に期待しましょう!

キャラ弁


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