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HAKOMACHI ー1 前前日譚

仕入れ

貸棚オープンの前日、の前日。
明日はいよいよ本の設置です。
当たり前ですが、本を売るということは、実物が必要なので、
売る本は仕入れる必要があります。
家にある本でもいいのですが、いざ自分の半生を表す本となると、なかなか家にあるレパートリーだけでは、カバーしきれないものがあります。

そこで、私の行きつけの古本屋チェーンへ足を伸ばします。
棚を巡って、描いているメモと照らし合わせながら、見ていくのですが、、、
ない。
思いの外お目当てのあの書籍がないのです。もちろん古本屋ですから、贅沢は言えません。
ですが、流石にこの作家はあるでしょ、という作品が置いていなかったり、そしてさすがこの本は置いてないよね、という本は案の定、ない。

受験の合格番号発表の時、受かっていればあるはずの自分の番号を、数えている自分がすでに飛ばしていることに気づいた時のような、そこまでではないけれど、そのくらいの緊張感からの嬉しくない緩和。
意外とないな。。。

それは同時に嬉しいことでもあるのです。
うわー、みんなこれまだ読んだ事ないかー、やっぱり僕が教えないとダメだねー。
自分しか知らない本がある、それはそれで嬉しいこと。
知っている人がいても嬉しいし、知らない人がいても嬉しい。
どちらも、素敵なことなのでした・

色違い

それでも、これならあるはず、と探し続けます。
店内には蛍の光が流れ、レジからはアナウンス。
最後の一棚、ここにあるはず、、、、あった!
ん?タイトルは探していたものだけど、なんだか違う。なんだこれは。
装丁の違うシリーズにも、こうして出会うことができたのでした。

明日は、無事、棚をオープンさせることができるのか。
そして、31冊の書評は完成するのか、、、

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