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【男の自画像-9】妖艶なマンハッタンの夜景
18時00分発。行き先は、ラガーディア空港。滑走路には、まだ少し雪がある。飛行機はDC9。グァムの旅行で乗った飛行機と同じだ。
飛行機の窓から見る雪景色にしばし見惚れる。
雪の色は、白一色ではない。点々と緑が見える。杉の木だろうか?枝の先が三角でそこに雪が積もっているから、小さなクリスマスツリーがいくつも重なっているようである。高層ビルにもうっすらと雪が積もっている。黒いビル、赤煉瓦色のビル、そこに薄く綿を掛けたように、雪が積もっている。
ぽっかりと穴が開いたようになっているのは、たぶん湖だろう。
まるで絵本を見ているようだ。
僕の田舎は、新潟県。
雪国の田舎も空から見たらこんな風に見えるのだろうか。
道がくねくねしている。京都やNYのように碁盤の目ではない。むしろわざわざくねくねと意識して作ったようだ。
もう機内食の時間だ。サービスされるのは、良いのだが、食事の量はいつも参ってしまう。今は、少しもお腹は空いていない。
カナダの往復で何回も飛行機に乗るので、正直なところちょっと嫌気が差している。美人のCAが機内食を配りながら前の座席にまで来た。しかし、悪いけど断ろう。ニッコリ笑ったつもりで「no thank you」可愛い顔が驚いたような顔になった。「悪かったかなー」「マナーとしては断ってはいけないのだろうか?」いろんなことが頭をよぎった。それよりも彼女の驚いた顔に僕もびっくりした。
18時40分、NYの夜景が目に入る。エンパイヤステートビルからの夜景も素晴らしいが、飛行機の窓から見るマンハッタンの夜景は、また格別だ。何より、雲の上だから飛行機に乗っている感じがする。あたり前か・・・
雲の色はグレーで、形は綿飴のようだ。その綿飴の切れ間から、焦らすように夜景が見えては消え、消えては見える。
ああ、早く雲の下に降りないだろうか。雲の下はどんな世界だろうか。なんだかどきどきしてきた。
突然ガクンと高度が下がる。右に旋回した。綿飴の中に入った。次第に視界が狭くなる。次の瞬間、窓一杯に夜景が広がる。「うわっー、綺麗。」機内のあちこちで溜め息ともなんとも言えない感嘆の声がする。
夜景が地平線まで続いている。何て素晴らしいのか。そして、何と広いのか。機体の旋回が多くなった。
揺れに任せて窓の外を食い入るように見ている。何も考えない。
機長からのアナウンスがあった。滑走路が混んでいて、到着予定時刻には、降りれないとのことだ。10分程度遅れるとのことだ。
暫くマンハッタン上空を旋回するらしい。おかげでマンハッタンの素晴らしい夜景がもうすこし見られる。
急いでいる人には申し訳ないが、何とありがたいことか。10分とはいわず20分でも、30分でもいいくらいだ。
飽きることのない夜景。何もかも忘れてしまいそうな時間。どう表現したら良いか解らない。言葉がみつからない。素晴らしい眺めだ。
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また、機体が大きく旋回した。滑走路が開いたとのアナウンスがある。高度が下がる。眼下にあったマンハッタンが近くなる。ビルの形が解る程になった。右に大きく旋回する。あっというまに、ビルが視界から消えた。もうすぐ着陸だ。
ジェット音がグォ〜と大きくなる。すでに窓の景色は、空港の景色に変わっていた。空港のビルの高さが目と同じ高さになった。
体にドスンと衝撃がくる。タッチダウン。19時05分。
マンハッタンのタイムサービス。妖艶のショーが今終わった。
がんになってから、「お布施をすると気持ちが変わる」ことに気がつきました。現在「認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」に毎月定額寄付をしています。いただいたサポートは、この寄付に充当させて頂きます。サポートよろしくお願い致します。