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【がん患者の徒然草】頑張れ!イケメン看護師(^o^)

 また彼が来た。「この子で大丈夫かよ・・・」

 僕は不安になった。その彼(看護師)が抗がん剤の点滴を持ってきて、準備をはじめたからだ。

 抗がん剤の点滴は、患者も看護師もトラブルにならないように知識と経験がある看護師が担当するという認識でいた。

 僕は、中咽頭がんを患い、抗がん剤治療を受けている。標準治療ということでシスプラチン治療3回、放射線治療35回だ。

 今日は、シスプラチンの2回目の治療のために入院している。前回の入院時は、ベテランの看護師さんと薬剤師さん等から何かと声かけしてもらって、不安ながらも何とか退院まで過ごすことが出来た。

 彼は、前回の退院日の最終日に僕の病室に来た。若くてスラッとしていて、しかもイケメン風の面立ちだ。最初に「こんにちは」とお互いに挨拶した後は、彼との会話が無かった。

 僕は、話がしたいわけではないが、黙々と仕事をしているイケメン看護師をみていると何だか不安になってきた。何度も点滴の量を確認し、看護用のパソコンでいろいろ確認している。

 1回、2回の確認なら患者としても安心できるのだが、イケメン看護師は、3回も、4回も確認するのである。そんなイケメン看護師の仕事を観ていると、僕の気持ちは、「安心」から「不安」に変わってきた。

 また一通り仕事が終わって病室から出るときも黙って出て行く。「お大事に」とか言ってくれれば、こちらも笑顔になれる。しかし、イケメン看護師は、黙々と仕事をして、さっとカーテンを開けて出て行く。

 そして、出て行った後は、ベッドの下のスリッパがひっくり返っている。点滴のポールのキャスター部分がスリッパに引っかかっているからだ。最初は、気がつかなかったのだろうと思っていたが、イケメン看護師が来る度にスリッパがひっくり返っている。

 そんなイケメン看護師が、抗がん剤の点滴をセットに来た。

「この子で大丈夫かよ・・・」、申し訳ないが本当に不安になった。

 いつもの通りに黙々と仕事をして、スリッパをひっくり返して病室を出て行った。僕は、天井を見ながら、「無事に抗がん剤の点滴が終わりますように」と祈った。

 数分もしないうちに僕の担当のベテラン看護師が来て、点滴の状況を確認に来た。点滴のスピードや腕の針の部分を確認してくれる。「大島さん、ご気分はいかがですか?」と優しい笑顔で声を掛けてくれる。

 僕は、「ありがとうございます。大丈夫です」と努めて明るく返事をした。看護師さんから笑顔で声かけされると安心するな〜

 看護師さんの仕事は、専門知識や経験が必要だから本当に大変な仕事だと思う。そして、何より患者さんの気持ちになって声かけするという優しさが求められる。

 イケメン看護師は、勉強も出来て専門知識もあると思うが、患者の気持ちになれるという経験をもう少し勉強して欲しいな。スリッパがひっくり返っているのは、目をつむるからさ!

 コミュニケーションという看護を勉強しようね。応援しているぞ!
頑張れイケメン看護師!




がんになってから、「お布施をすると気持ちが変わる」ことに気がつきました。現在「認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」に毎月定額寄付をしています。いただいたサポートは、この寄付に充当させて頂きます。サポートよろしくお願い致します。