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バレンタインデーにクラスメイトの過半数から土下座された

中学2年生という多感なお年頃の僕は、
例に漏れずちゃんとバレンタインデー当日そわそわしていた。
ですが、ちゃんと中学生男子として全くバレンタインデーを意識していないような平静を装いながら、授業を受けていた。
休み時間になり筆箱を動かすと、下に置かれていた、ルーズリーフで作られた手紙の存在に気づく。
手紙には(ずっと前から好きでした)と書かれ、差出人の名前はない。

中学2年生といえども僕は冷静だった。
「これ誰??ドッキリにしては雑すぎるでしょ??」
差出人不明、ルーズリーフで折って作られた手紙。
男連中からの、たちの悪いドッキリだと判断した。
「マジでこれやったの誰??」
問いかけども問いかけども誰もでてこない。
ドッキリならここらが潮時だろう。

『え?知らんよ。ガチのやつじゃないの??』
そんなわけないだろ笑
と思いながら、もう一度よく文面を見る。
(あれ?この文字、、、女子の書体じゃない??)
特有の丸みを帯びたような文字。
そして、ルーズリーフを綺麗に折り封のある手紙にするということ自体、僕の周りの男連中ではできない。

「え?ガチのやつ??」
そこでようやく愚かな行いを後悔した。
手紙をクラス中に晒してしまった、
僕のことを好いてくれている女子を傷つけてしまったに違いない。

『よかったやん!嬉しい??』
「嬉しい!!」
今度は真っ直ぐ答えた。
きっとどこかにいる匿名奥手女子も聞いているとそう思ったからだ。
あとなんといっても普通に嬉しかった。

そこから昼過ぎまで、かなりニコニコで過ごした。
なんか近くの席の女子が僕のご機嫌と反比例して体調が悪くなっていくが、知ったことではない。

掃除の時間、渡り廊下の担当だったので教室をでた。
もちろんここでも僕は喜びを享受していた。
「でも誰なんだろうな?やー、勘違いして申し訳ないことしちゃったな。手紙晒しちゃったし、もう言い出せないだろ」
そんなことを同じ掃除担当のクラスメイトに話す。

掃除を終え、教室に戻ろうとすると教室の前の廊下にクラスメイトが集結していた。
『ごめんなさい!!ドッキリでした!!』
男女混合でクラスの過半数に土下座された。
掃除が終わったばかりの廊下に綺麗に土下座の列ができた。

どうやら、女子にも協力を依頼し、手紙を作成させて僕にドッキリをしかけていたらしい。
嬉しそうな僕を見て罪悪感に耐えられなくなった女子が謝ろうと立案し、廊下で土下座することになったらしい。
どんだけ喜んでたんだよ僕。
明らかに関係ないだろうと思われる真面目なクラスメイトにも『僕も知ってたけど黙ってたから』と土下座された。
いや、君は悪くないよ。

「マジかー、恥ずっ」
落胆と恥ずかしさに押しつぶされながらも、何か凄いことされたなと笑えもした。

その後ちょいちょいイジられながらも、普通に過ごしていたら、
『何でそんな普通にしてるの…無理しなくてもいいんだよ…』
と女子が泣いた。
めっちゃ困った。

というかそんな同情するなら普通にチョコ渡せや!!僕のために泣いてくれるけど好きではないんかい!!

その時泣いてくれた女子が今の彼女です。

ということは微塵もなく、「いや俺は普通に面白かったよw」と言ってきた主謀者と今でもお友達をしています。


10年以上前のことなのに未だにバレンタインデーが近づく度に思い出す。
僕の中では、バレンタインデー=(人生で1番同時に土下座された人数の多かった日)になってるのどうにかなりませんか??







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