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ヒマラヤ便り37号 猛毒ハラーハラ

ナマスカール!ボンシャンカール!苗字でも使われる「シャンカール」は、サンスクリット「シャンカ 幸福を与える」が語源です。また、シヴァの別名「シャンカラ」は、「幸福を与える者」という意味です。シヴァだけでなくヒンドゥの神々は「サハスラナーマ (サハス=千の、ナーマ=名前)と呼ぶ別名をたくさん持っています。頭頂のチャクラ「サハスラーラ」は、千の花弁を持つ蓮で表されます。「サハス」1000は、たくさんのって意味もありそうですね。

さて、「偉大なシヴァの夜」のお便りでもお約束したとおり、今日は、私のバイラヴァ(兄神、恐ろしい者)シヴァにまつわるお話をいくつかシェアします。シヴァのガヤトリーマントラを聞きながら、シヴァの数ある別名の内のほんの少しについて熱くお伝えしたいと思います。

数年前の夏の朝、パンチャークシャラマントラを初めて聞いた甥っ子たちが、「ナマシヴァってなんだよ~!」とか大爆笑していて、私もツボってしまい、「生芝」とか思ったり、単に響きが面白かったのかと推測した。

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姉への近況報告のために綴り始めたこのお便りも8年という月日が経ち、書き始めたあの頃は、デヴやピーターをはじめ、たくさんの人が読みたがったってのに、意を決して公開したら、あんま誰も読まないっていう。

チラ見せや、秘密めいてるのが人の興味をそそるのであって、ガン見せには興味ない、もしくは見てみたら大して面白くなかったとか、私の日記を読みたがった人たちは、私という現物と日記という現物に興味があっただけなのかもしれない。インターネット上では、私という現物は見えないから、興味をそそらないのかもしれない。知り合いに読まれるのは、少々恥ずかしいが、見知らぬ人になら、体験による知恵の共有として、どうせ公開してるなら読んでほしいという欲が出てきた。

さてさて、猛毒ハラーハラは、別名「カーラ クータ (黒い塊、時間のパズル)」とも呼ばれ、シヴァのサハスラナーマ、「ニーラカンタ 青い喉を持つ者」と「ヴィシャカンタ 喉に毒を持つ者」に深く関係しています。

ヒンドゥの天地創造神話「サムッドラ マンタン 乳海攪拌」

偉大なリシ(聖人)ドゥルヴァーサスは、短気で怒りっぽく、礼を失した者にシヴァシヴァ呪いをかけたが、丁寧に接する者には親切だった。ある時、人間の王たちが彼から助言を受けるため地上に招き、美しい花の首輪をかけて手厚くもてなした。ドゥルヴァーサスは、大変喜び王と王国を祝福した。彼は花輪を神々の王、雷神インドラ(帝釈天)に与えようとインドラを訪ね花の首輪をかけて祝福した。インドラも丁寧にもてなし送り出そうとした時、インドラの乗る象が花輪に興味を示したので、与えた。そのあと、象が花輪を放ったのを見たドゥルヴァーサスは激怒し、インドラ達神々に呪いをかけ、幸運を奪った。繁栄は陰り、植物は枯れ、人間界は墜落し、神々は力を失った。

この機に悪の神々アスラ族が天界へ侵攻してきたが、力を失った神々は、なす術がなく、インドラはシヴァとブラフマーに助けを求めた。ドゥルヴァーサスの呪いは、彼らにも解けず、ヴィシュヌを訪ねた。ヴィシュヌは、不老不死の妙薬「アムリタ」を飲めばよいといい、アムリタを作り出すため乳海攪拌を実行することにした。これは、神々だけでは不可能な作業なので、アスラ族の協力が必要だった。神々は、アスラ族と和睦し、アスラ族はアムリタを半分受け取ることを条件に協力を約束した。

ヴィシュヌは、多種多様の植物や種を乳海に入れた。巨大亀クールマに化身して海に入り、その背に大マンダラ山を乗せた。山に竜王ヴァースキを絡ませ、神々はヴァースキの尾を、アスラ族は頭を持ち、互いに引き合い山を回転させ海を攪拌させた。海の生物は、すべて潰され大マンダラ山の木々は燃え、山に住む動物も死んだ。火を消すべくインドラが山に水をかけたので、樹木や薬草のエキスが山に流れ込んだ。

その時ヴァースキは、苦しみのあまり口から猛毒ハラーハラを吐いた。この猛毒は、アスラ族にも神々にも手に負えない毒となり、全生物の長たちは、ブラフマーに助けを求めたが、シヴァにしか助けられないと忠告を受け、カイラス山に行った。シヴァは、その毒を飲んで消費することを選択し、両手ですくって飲み干した。シヴァの手からこぼれおちたハラーハラは、地球上のさそり、へび、毒草などの毒になった。

シヴァは、胃の中に宇宙を持っているので、パールヴァティは、宇宙に毒がまわるのを防ぐため、とっさにシヴァの首を両手で締め上げた。シヴァは意識を失った。すると、パールヴァティの一形態、マハヴィディヤ(インド神話十大女神)の一女神タラが、シヴァを我が子として癒すため、母親の形態で現れ、シヴァに牛乳を与えました。シヴァは意識を取り戻し、タラが毒を吸収したので、毒は中和されました。

怪しい毒が、子供たちに注入されようとしている昨今、この毒を止められるのは母親たちなんじゃないかなぁ。と思っている。消費を選択するのはシヴァにしかできないことだから、現代の母たちは拒否を選択してほしいなと。

ではでは、今回はこの辺で。次回のお便りは、不老不死の妙薬「アムリタ」をめぐるアスラ族と神々の攻防と、世界最大の平和的集会であり、巡礼者の集合「クンブ メーラ」についてお便りします。Stay tuned!



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