Eye for an eye, tooth for a tooth

ここアメリカでアジア系住民に対するヘイトクライムが急増しているのは周知のこと。今月サンフランシスコにおいて76歳の中国系女性が、襲ってきた白人男性を逆にボコボコにした事件はセンセーショナルに報じられましたね。その事件とともに、個人的にショッキングだったのが、数日前にシアトルで日本人女性が襲われた事件。というのも、この女性は非アジア系のパートナーと一緒にいるときに被害に遭ったからです(パートナーも怪我を負った)。

先日、ミシガン州在住の友人(白人女性)から久々に連絡があって、「出かけるときは必ず○○(我がパートナーの名前)と一緒にね」と言われました。5年は会っていない友人で、私のことを思い出して連絡をくれたのは嬉しいですが、アジア系へのヘイトクライムがきっかけだというのは正直切ないです。

実際問題、昨年流行病禍が始まってから一人で出歩かないようにしています。でも実際に、非アジア系パートナーと一緒にいた方も襲われている。「非アジア系パートナー同伴」であることは、私自身がアジア人である限りはもはや意味がないのかもしれない。

まあ、流行病に関係なく、人種差別は世界中に歴然と、依然として存在しています。私自身、LAに移り住んでから、あからさまに差別されたことは ーー 幸いと言っていいのか ーー 今のところ一度だけですが、あります。(あ〜コレ差別されてるんだろうな、と感じたことを含めたらもっとありますが)

数年前、日本から友人があるバンドのツアーを観るためだけにアメリカに来て、一緒にThe Roxy Theatreでのライブを観に行ったときのこと。わざわざそのバンドを観るためだけに来ていたぐらいだから、友人は当然最前列を死守していたんですが(私は彼女のすぐ後ろにいた)、ライブの途中で白人男が彼女をぐいぐいと肘で押して退けようとしたんですよ。戦いの末に彼女は退かされ、泣き出してしまった。

そこで私は咄嗟に、彼女のポジションを奪回するためにそいつのすぐ横に入り込んだんですよね。そうしたらそいつ、顔面15センチぐらいの距離で「つり目」をやってきたんですよ。

彼女も私も、日本人の中でもことさら小柄だし、おとなしいアジア人ということで、まあ普通にナメられましたよね。

しかし私はなぜか、そのときは怯むことなく、中指を立てつつ白人への侮辱語をいって差し上げました(それが何かは省略)。

その白人男、非力な小さいアジア人が血気盛んに応戦してくるとは想像だにしていなかったようで、最初はイキッてましたが、だんだんおとなしくなりました。ざまあw

たぶんこれを読んだ方の何人かは引いているんじゃないでしょうかw 「そんな人を相手にしたら、同じレベルになっちゃうよ」といったお馴染みのフレーズがありますよね。普段こういう考えを持っている人は間違いなく引くでしょう。

だが、しかし。私はこのフレーズが大大大っ嫌いなんですw  確かに「相手にしない」「無視」「無関心」が相手にダメージを与えることもある。怒りは持たないに越したことはない。

でも実際、確実に傷つけられたり、いわれもないことを言われたり、というのは当然のこと、とりわけ人種差別となったら話は別ですよ。相手が、自分とは違う人種を侮辱するなら、それをするお前がどれだけ最低レベルな人間であるかを見せつけるために、あえて同レベルで侮辱して差し上げる。あんただって真正面から差別用語を言われたら腹立つだろ? と、知らしめるために応戦したんです。

まあ、ライブ中だったし、最前列だったし、周りに観客が大勢いたんで、そいつが暴力をふるうことはないと思っていたからそんなことができたっていうのもあるけど、とにかく黙っていられなかったですよね。

自分が今住んでいる街には、そんな低レベルな意識の人がいないと信じています。実際に、治安が非常に良い街です。ですが、過信は禁物ですし、ちょっと離れた場所に行けばこれから似たようなことがあるかもしれない。もちろんあってほしくないです。とにかく、何があっても私は日本人、アジア人の矜恃を保ち続けます。

とはいえ、日本に住み続けていれば抱かなくてもいい恐れを抱いているのは確かで、知らないうちにそこそこのストレスが溜まっているのは否めず。恐れすぎるのも精神衛生上良くないし、ネガティブ思考がネガティブな事象を寄せ付けるのも事実だと思うので、細心の注意を払いつつ、恐れすぎず、毅然と生きていくのが一番なのかな、と思います。

「アメリカ(LA)移住」は私自身が選んだ道なのでね、臨機応変に対処していきたい所存です。



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