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タバコと流星①

流れ星を初めて見たのは
友達とキャンプに行った時
互いに兄弟を事故で亡くし
片側を失った者同士
時間を見つけては
ふたりでぶらぶらしていた

岡山の高原までのドライブは舗装されていない山道の連続で
運転にはかなり気を使い時間もかかった
小さな木のゲートが見えた時にやっとマップが正しかったとわかった
テントを立てるや否やゲリラ豪雨…
テントの中で弛む天幕に迫られながらも
ネガティブに捉われないふり
クスクス笑いながらトランプしたり読書でトリップしていた

気づいたら雨音は聞こえなくなって
いつの間にか日は暮れていた
バーナーで火を起こし
友達はメントールの煙草に火をつけて
「雨すごかったね」とだけ言った

その夜眠たい酔っ払いを叩き起こしたのは
世界が全部宇宙になった説
頭上は曇一つなく星だけだった
天の川に小魚みたいな
細かな流れ星がシュッシュッと光っては消えた







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