詩 『子供の創作』 (※20代半ば頃の作品)
作:悠冴紀
子供の頃
『子供』でいると笑われるので
私はずいぶん背伸びをしていた
子供の頃
自我不在の人形でいると
良い子だと褒められるので
私はひどく自分の個性を恐れていた
青年の頃
気を抜く度に揚げ足を取られるので
私は終始張り詰めて暮らすようになった
青年の頃
本当のことを指摘する度に罰せられるので
私は装いと沈黙で身を護るようになった
やがて
『子供』の悲鳴は忘却の彼方
物事を必要と不必要とに分類し
乾いた合理主義を説き始めた私
口々に『大人』と呼ばれるよ