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🇺🇸米国の暗号資産規制ニュース(2024年4月11日)

最近の米国における暗号資産規制の動向を見ると、商品先物取引委員会(CFTC)、証券取引委員会(SEC)、司法省(DOJ)などの連邦規制当局による取り締まりが継続しています。具体的には、デジタル資産の商品または証券としての分類、コンプライアンスの重要性、内部告発者プログラムおよび詐欺への対応などです。本レポートでは、2つの重要な事例を要約します。

サマリー

  • CFTC対KuCoin(2024年3月26日): CFTCは、商品取引法違反でKuCoinに対して訴訟を提起し、特定のデジタル資産を商品として明示し、マネーロンダリング防止法(AML)および銀行秘密法(BSA)へのコンプライアンスの重要性を強調しました。

  • DOJが新しい内部告発者プログラムを導入(2024年3月7日): 企業の不正行為の報告を奨励することを目的としたこの制度は、既存のSECおよびCFTCのプログラムでカバーされていない詐欺および金融犯罪の取り締まりを強化することを目指しています。

CFTC対KuCoin(2024年3月26日)

CFTCは、商品取引法違反でKuCoinに法的措置を取りました。

30万人以上の顧客を207カ国で持ち、日々の取引量が28億ドルを超える世界最大級のグローバル暗号資産取引プラットフォームの一つであるKuCoinは、2023年12月時点で世界で5番目に大きな取引所とされています。

この訴訟で特に注目すべき点は以下の2点でした。

1) デジタル資産の商品性の明確化:CFTCは、Bitcoin、Ether、Litecoin、USD Coin、Tetherを商品として具体的に明示しています。これまでCFTCは全デジタル資産を商品と見做してきましたが、個別銘柄を列挙したのは新しい動きです。

2) AMLおよびBSAへのコンプライアンスの重視:CFTCは、KuCoinがKYC手続きなど、適切なコンプライアンス体制を維持していなかったことを厳しく非難しています。これは、米国の規制機関がAML(マネーロンダリング防止法)およびBSA(銀行秘密法)の規制への遵守を非常に重視しており、違反が疑われる場合には積極的に調査を行い、必要に応じて法的措置を講じる事例の一つです。

出所:CFTC Charges KuCoin with Operating Illegal Digital Asset Derivatives Exchange (March 26, 2024)

司法省(DOJ)が内部告発制度を導入

司法省は、企業の不正行為の報告を奨励し、詐欺および金融犯罪に対する取り締まりを強化することを目的とした内部告発者プログラムを導入しました。

リーマンショック後、SECおよびCFTCによって法的に保護された内部告発者報酬プログラムが確立されました。これらのプログラムは、不正・犯罪行為の発見に重要な役割を果たしており、SECによる内部告発の報告数は年間約1万件に達しています。特に、CFTCによる暗号資産関連の訴訟はすべて内部告発から生じています。DOJは、既存のSECおよびCFTCのプログラムでカバーされていない詐欺および金融犯罪の取り締まりを強化することを目指しています。

DOJが特に暗号資産関連の事業者に焦点を当てているかどうかについては直接的な言及はありませんでしたが、FTXやBinanceなどの暗号資産業界における不正行為への積極的な対処を考えると、新しいプログラムは暗号資産業界を含む広範囲な企業の不正を防止することを目的としていると考えられます。

出所:Deputy Attorney General Lisa Monaco Delivers Keynote Remarks at the American Bar Association’s 39th National Institute on White Collar Crime (March 7, 2024)

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