🇺🇸 米国ステーブルコイン規制法案:本日開催される米国下院公聴会に向けてのおさらい
本日、2023年5月18日に、米国下院のデジタル資産・金融技術・包摂小委員会が公聴会を開催し、ステーブルコインの規制について協議する予定です。この公聴会は、今年に入って2回目です。本日の公聴会に備えて、前回の公聴会から今日までの動向についてまとめました。
まずは時系列で全体像を表にまとめましたのでご覧ください。👀
2023年4月14日:下院共和党議員が法案を作成
公聴会の前に、4月14日に共和党から規制法案が発表されました。主な法案の内容は以下の通りです。
連邦当局の規制監督下にある預金金融機関の子会社はステーブルコインを発行することが可能。
非預金金融機関は、FRBの承認が必要。承認後は、FRBの規制監督下に置かれる。
非預金金融機関は、州の金融規制当局からライセンスを取得することも可能、ただしFRBへの登録が必要となり、FRBの規制監督下に置かれる。
規制の承認や登録要件に違反した発行者には刑事罰が科される。
発行者は、米ドル、中央銀行準備預金、90日以下の短期国債など、指定された資産を1:1の比率で準備金として保持する。等
2023年4月19日:下院、今年第1回目のステーブルコイン規制について協議するが、民主党と共和党は対立。
今年新設された下院のデジタル資産・金融技術・包摂小委員会は、ステーブルコインの規制についての議論を目的として公聴会を開催しました。
しかし、前議会(第117議会)で共和党のPatrick McHenry議員と共同でステーブルコイン規制法案を検討していた、下院金融サービス委員会の前議長であった民主党のMaxine Waters議員は、否定的な発言をしています。Waters議員は、共和党がステーブルコイン法案の草案で民主党の懸念に対処していないことを非難し、ゼロから始める必要があると述べました。
2023年4月24日:下院共和党、4月14日に提出したステーブルコイン規制法案とは別の法案を公表
ステーブルコイン規制法案を巡り、問題が複雑化しました。4月24日、下院共和党は別のステーブルコイン規制法案を発表しました。民主党からの同法案に対する正式なコメントはまだ公表されていません。
この法案は、決済用ステーブルコインに焦点を当て、州規制当局にも継続的に権限を維持させることを提案しています。
新しい法案では、14日付けの法案と同様にステーブルコイン発行者が1対1の準備金比率を維持することと、準備金の構成を示す月次報告書を公表することを義務付けています。さらに、新しい法案は、少なくとも年に1回の監査を義務付けています。14日付けの法案では含まれていた転担保(Rehypothecation)の禁止は、省かれています。
この法案ではステーブルコインを連邦証券法の適用対象から除外し、SECの権限外にすることが提案されています。
アルゴリズミック型の発行に関しては、14日付けの法案では2年間禁止する条項が含まれていましたが、この新たな法案では省かれています。
2023年5月10日:合同公聴会。両党歩み寄りの発言も見られる。
米国下院の金融サービス委員会と農業委員会は、2023年5月10日に異例の合同公聴会を開催しました。この公聴会は、ステーブルコイン規制法案だけでなく、主にSECの管轄範囲について議論が行われ、両党の対立が浮き彫りになりました。
一方、4月19日の公聴会で、真っ向から共和党を批判したWaters議員からは、より穏やかなコメントがなされています。Waters議員が、具体的にどの法案を指しているのかは不明瞭ですが、「これらは超党派の関心事であるべきで、これに対処するための法案は大統領の机に向かうべきものである。今議会では、早く一緒に法案を作成できるようにしたい」と述べました。共和党からも法案成立への熱意が見られ、民主党との協調を歓迎する姿勢を示しています。
2023年5月13日頃:民主党、独自の法案を準備
一部の報道によると、前回の公聴会で共和党の対応に不満を表した民主党のWaters議員がステーブルコイン法案を作成し、現在、民主党議員に回覧しているそうです。
Waters議員による法案は、連邦銀行当局により多くの権限を与える内容のようです。ステーブルコイン発行者は、FRB、OCC、FDICなどの連邦規制当局の承認を必要とします。さらに、連邦規制当局は、州の金融規制当局からライセンスを取得した発行者の登録を拒否する権限があることが明記されているとのことです。
2023年5月18日(本日):第2回目、下院議会でステーブルコイン規制について協議。
本日の公聴会では、暗号資産業界の関係者、法律家、そして州レベルでステーブルコイン政策の先駆者であるニューヨーク金融サービス局の元リーダーを含む、4人の証人が証言する予定です。
公聴会の様子は、以下のリンクからご覧いただけます。👇
私が思うこと
今回の公聴会では、発行体の要件についての議論がなされると予想されます。昨年からステーブルコイン規制法案を追っている者としては、また同じ話題になるとは思うものの、昨年の数多くの企業の破綻、特にFTXの破綻は米国では許されざる詐欺事件とみなされているようです。以上のことから、消費者保護に重きを置いた、より厳格な法律が制定されると予想しています。しかし、法制度整備の道のりは依然としてぼんやりと見通しが悪い状態です。
さてどうなりますでしょうか?引き続き、ステーブルコイン規制法案の行方を追っていきます。👩⚖️
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