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🇺🇸米国暗号資産規制ニュース:Bitcoin現物ETFの歴史と市場動向(2024年5月22日)

2010年5月22日、プログラマーのLaszlo Hanyeczは、10,000Bitcoinで2枚のピザを購入しました。これは、Bitcoinを使った最初の実世界の取引であり、Bitcoinの歴史的な出来事となりました。この日は今日でもBitcoinピザデーとして祝われています。

このような歴史を経て、Bitcoinは新たな歴史的出来事、すなわちBitcoin現物ETFの登場へと進化しました。このレポートは、米国証券取引委員会(SEC)による承認までの長い道のりを振り返り、現在のETF市場動向を探ります。

なぜこれが重要なのか?

SECがBitcoin現物ETFを承認したことは、暗号資産業界にとって画期的な出来事です。SECの承認は、投資家のアクセスから市場の安定性に至るまで、金融界全体に大きな影響を与える意味合いを持っています。

  • 投資家は、暗号資産取引所を介することなく、またセキュリティ上の懸念や規制上の不確実性など、直接所有に伴う複雑さを解消しながら、Bitcoinに投資することが出来ます。

  • Bitcoinの直接購入が制限されていた国々において、個人投資家はETFを通じて暗号資産市場にアクセスできるようになり、投資の機会が拡大します。

  • 一般にプライベートプレースメントは、投資するための資格が必要だったり、最低投資金額が設定されていたり、手数料も高額であったりと、投資ハードルが高い傾向があります。一方、ETFは、慣れ親しんだ証券会社を通じて、簡単に売買ができるため、より幅広い投資家にとってアクセスしやすい投資商品です。

  • 伝統的な投資家からのBitcoin現物ETFへの資金流入は、市場の流動性を大幅に高め、その結果、Bitcoinの価格を安定させる可能性があります。

BitcoinETFの歴史:SECとの10年近い交渉

2013年、初の申請

2013年7月、Bitcoin初期投資家であり、大手暗号資産取引所Geminiの創業者であるWinklevoss兄弟は、SECにBitcoin ETFを申請しました。しかし、SECは2017年3月に、暗号資産市場の規制監督不足を原因とした不正行為や相場操縦のリスクを懸念し、申請を却下しました。

その一方で、2013年9月には、暗号資産に特化した投資運用会社のGrayscale Investments社が、認定投資家のみが参加できるBitcoin Investment Trustを設立しました。これは公募取引ではなかったため、SECの承認は必要ありませんでしたが、Bitcoin ETFの先駆けとして注目を集めました。

2021年、Bitcoin先物ETFが誕生

2021年に、SECは初めてBitcoin先物ETFを承認しました。これらのETFは、現物ETFとは異なり、Bitcoinを直接保有せずに先物契約を取引する形態です。SECがBitcoin先物ETFを承認した理由は、Bitcoin先物が規制された取引所で取引されており、市場監視システムを含む不正行為や相場操縦を防ぐための対策が施されていたため、投資家保護の観点からより安全と考えられたからです。

SECによる現物ETFの多数の非承認

Bitcoin先物ETFの取引開始を受けて、Bitcoin現物ETFの上場への期待が高まりました。しかし、SECは、価格変動や相場操縦のリスク、ハッキングや盗難の脆弱性、規制枠組みの欠如などを理由に、多くのBitcoin現物ETFの申請を拒否しました。SECは、大規模で規制された市場取引所との包括的な監視協定なしに、Bitcoin現物市場での不正行為を効果的に検出・防止できないと指摘しました。

2022年、GrayscaleがSECを訴える

2022年、GrayscaleがSECを訴えた事件は、Bitcoin現物ETF承認に向けた重要な転換点となりました。

Grayscaleは、2016年からBitcoin現物ETFの承認を求めてきましたが、SECに却下されました。同社は、SECの決定が恣意的かつ不当であり、行政手続法と1934年証券取引所法に違反していると主張しました。訴訟では、SECによるBitcoin先物ETFとBitcoin現物ETFの扱い方の矛盾を指摘しました。また、Grayscaleが提案したETFは、すべての規制基準を満たしており、堅牢な投資家保護を提供していると主張しました。

2023年、Grayscaleが勝訴

2023年8月、連邦裁判所はGrayscaleの主張を支持し、SECにBitcoin現物ETFの申請を再検討するように命じました。裁判所は、SECがGrayscaleの申請を却下し、同時に類似した商品が異なる扱いを受けていることについて、合理的根拠を示さなかったと判断しました。

SECはその後、判決に対して控訴しないことを選択し、GrayscaleのETFを承認するか、他の理由で却下するかという状況に追い込まれました。

2024年、SECが遂に承認

SECは、Grayscale社の訴訟による圧力を受け、遂にBitcoin現物ETFの承認という歴史的な決定を下しました。2024年1月、SECは11銘柄のBitcoin現物ETFを承認しました。

SECは、この承認にあたり、相場操縦のリスクを軽減するための対策が十分に講じられていると判断しました。その根拠として、過去2年半の取引データに基づき、Bitcoin現物価格とシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のBitcoin先物価格の間に高い相関関係があることを示しています。つまり、現物市場で不正行為が行われた場合、CMEの先物価格にも影響が及ぶ可能性が高いということです。SECは、CMEによる監視システムが、このような不正行為を検出するのに役立つと判断し、さらに、Bitcoin現物ETFが、CMEとの間で包括的な市場監視協定を締結している取引所に上場されるため、現物市場における不正行為を効果的に防止できると結論付けました。

Forbes

Bitcoin現物ETF市場の動向

急成長するBitcoin現物ETF市場

この承認により、機関投資家や個人投資家に新たなBitcoinへの投資機会が提供されました。承認後、Bitcoin現物ETFへの資金流入は加速し、わずか数ヶ月で運用資産残高は500億ドルを超えました。

The Block

特に、BlackRockが運用するIBITは、運用資産残高で首位に立ち、その成長ぶりが目覚ましいものでした。BloombergのETFアナリストは、IBITが第一四半期に414の機関投資家に保有されたことを「驚くべき結果」と評価しました。 新規上場のETFがこれほどまでに機関投資家の支持を得た例は極めて稀であると述べています。

The Block

Bitcoinを「投機的で規制されていない」資産と見なし、Bitcoin現物ETFの発行を見送った大手資産運用会社Vanguardも、新しいCEOの就任を機に発行の可能性が高まっていると期待されています。

5月の報道によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループは、既存のBitcoin先物取引に加えて、Bitcoinの現物取引を開始する計画です。これは、トレーダーにベーシス取引の機会を提供することになり、さらなる投資家の参入を促進させると期待されています。

機関投資家の参入が本格化

機関投資家のBitcoin現物ETFへの投資は本格化しています。例えば、640億ドルの運用資産を持つヘッジファンドMillennium Managementは、第一四半期にIBIT、FBTC、GBTC、ARKBおよびBITBに計約20億ドルを投資しました。

年金基金の参入もみられます。ウィスコンシン州投資委員会は、米国の公的年金基金として初めてBitcoin現物ETFに投資し、第一四半期に合計1億6300万ドルを投資しました。さらに、アリゾナ州では3月、州の公務員向け退職金制度のポートフォリオにBitcoin現物ETFを組み入れることを奨励する法案が上院に提出されました。

世界的な広がりを見せる

Bitcoin現物ETFの発行は、米国だけに留まらず、世界各国で進んでいます。カナダやヨーロッパ諸国に加え、アジアでは香港が2024年4月30日よりBitcoin現物ETFの取引を開始しました。2024年2月時点で、32銘柄が取引されており、今後も各国の主要な取引所での新規上場が予想されます。

coingecko、2023年2月15日時点

BTC価格予測でETFの動向が注目される

Bitcoin現物ETFの承認後、大手資産運用会社など金融機関からのBitcoinの将来価格に関する見解が示されています。

各社の価格予想は、そもそもポジショントークの可能性が高いです。しかしながら、これらの見解は、Bitcoin現物ETFの今後の動向が市場に大きな影響を与えることを示唆しています。

例えば、半減期前の見解も含みますが、BlackRockのCEOは、IBITの成功を背景に、Bitcoin価格が近々8万ドルを超える可能性を示唆しました。一方、Fidelityは、供給と需要の兆候から価格上昇の可能性を示唆しつつも、大幅な下落リスクについても慎重な見方を示しています。Goldman Sachsは、半減期の影響は既に価格に織り込まれており、今後の価格動向はスポットETFへの資金流入次第と分析しています。

最後に

Bitcoin現物ETFの歴史を振り返ると、SECの暗号資産に対する主張が絶対的なものではなく、時には裁判所の判断で覆されることがあることが明らかになりました。また、Bitcoin現物ETFの動向は、今後のBitcoinの展望を探る上で重要な要素であり、注目すべきでしょう。

さて、長々とレポートを書きましたが、お腹も空いてきたので、そろそろピザでも焼こうかなと思います。レポートの内容が皆様のお役に立てれば幸いです。😋🍕

先日作ったバジルペーストベースのピザです✨
今日は何にしようかな。。。

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注記:上記の価格予測はあくまでも各社の見解であり、将来の価格を保証するものではありません。投資はリスクを伴うため、十分な調査と自己責任のもと行う必要があります。本レポートは、一般的な情報提供を目的としており、投資アドバイスとして解釈されるべきではありません。筆者は暗号資産及び暗号資産分野の株式・ETFを保有しています。

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