![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146089817/rectangle_large_type_2_ec664073210cda77a26e0214d63cbe43.png?width=1200)
永遠の7月
友達との用事に遅れそうで、飛び出すように自転車を漕いだ。
日中は日差しの強い日で、30℃前後。
「これからはずっとこの調子か」
と、夏に対して期待感と嫌悪感を同時に感じた。
ところが打って変わって夜。
風が出ていた。
決して強い風ではないが、肌に当たる感触をしっかり感じることの出来るそよ風。半袖を着ていれば余裕を感じれるほど涼しい。
そして僕の鼻にほんのりとカブトムシの匂いも運んできた。
「あー。懐かしい」
あの夜もこんな気温だった気がして、また貴方を思い出す。
懐かしくなって気づきたくなかった。
「僕、貴方が居ないと生きていけません」
この生温い気温が今の僕にはちょうど良かった。
もし、少しのわがままを聞いてくれるのならば、
あっちでも一緒に懐かしくなっていて欲しい。
愛している。心の底から。
この季節が何度来ても新しくならないのだろう。
きっと永遠にあの夜に戻る。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?