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全員経営のための労働組合

「自分の持ち場を守る。」

会社員であれば、誰もが心がけていることだけれど、そのニュアンスは幅広い。

一番高度な場合は、常に最高のパフォーマンスを出し続けるために、各部・各担当が、プロ意識を持って、その役目を果たす。顧客を満足させるため、もっと効率を高めるために、全社員が一生懸命に考え行動する全員経営の状態だ。

一方で一番低い意識は、昨日問題が起きなかったことを、今日も繰り返すことである。

昨今後者ではいられず、全員経営の必要性はより強くなっている。
その理由は大きく三つある。

一つ目は、「変化の速さ」。変化に対応するためには、現場がその時々に応じて柔軟に、適切に対応することが求められる。昨日明らかになったことを今日には修正を加えていかなくてはならない。

二つ目は、「専門性の深さ」。一つひとつの分野の専門性は、どんどん深くなっている。同じ部に居ながら、お互いの専門分野は解らないという状況がある。上司やリーダーはその分野が解らないまま、それでもマネジメントする必要がある。

そして、三つ目は、「見え難さ」。製造業ですらサービスとの掛け合わせによって価値を発揮し、全体戦略や知財戦略、イメージやブランドなど、実体以外の要素が多くなってきており、目では見えない。そのため、その設計も品質も進捗も管理が難しくなる。

いよいよ、経営者や管理者が、すべてを管理したり、指示を出したりすることはできないようになってきている。すると、やっている本人達しか解らない勘所や気づけない課題がある。そこに頼らざるを得ない。

「各部門・各担当が、一所懸命考え行動する。」

『全員経営』とは、この状態を指す。

「全員経営」という言葉は、野中郁次郎市、松下幸之助氏、小倉昌男氏が使っている。

そして、そのためには一人ひとりが、人間の野性味から出る創造性や。臨機応変に決断・実行する実践的知恵が必要と野中郁次郎氏は指摘している。そしてアジャイルなマネジメントを実現していくべき。

このことを労働組合は現場に一層浸透させなくてはならない。「会社の肩を労働組合が持つのはおかしい」と言う人もいるだろう。でも、会社と労働組合は共存共栄。言葉を変え、時代に合わせて、最も伝わる伝え方で、労働組合は組合員を導くときが来ている。

「全員経営」を労働組合が主張することを恐れてはいけない。

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