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渋沢栄一に学ぶ労働組合のあるべき姿

渋沢栄一の教えに「知情意」というものがあります。智・情・意(知恵、情愛、意思)は「知識だけではなく、情熱や情愛を備え、流されない意志を持った完き人であれ」ということです。事業を末永く続けていくためには、3つのバランス感覚が取れた人でなくてはならないこと、そのような人を日本中に増やすことが重要であると説いています。

渋沢栄一は完き人の反対を”偉き人”と言っており、それは智・情・意のバランスは悪いが何かに突出しているような人を指しています。渋沢栄一は偉き人の価値も認めつつも、やはり完き人を増やしていくことを重視しています。

大企業に努めていると、知恵は付きやすいですが、情愛や意思を持つことは努力が必要です。放っておくと「情愛」を失いかねません。成果を自分であげることに執着してしまうからです。またアサインメントが降りてくるので、気がつくと自分の「意思」がどこにあったのか忘れてしまう時があります。完き人であることは意識的にやらなくてはならないというのが、企業であり、特に大企業は気をつけて働かなくてはなりません。

企業のカウンターパートの労働組合は、この状況を是正するためにあると言っても過言ではありません。働く人を想い、ともに寄り添い情愛を注ぐことが労働組合の一つの大きな役割です。決して甘えさせてあげるというわけではなく、情熱や情愛で迎えます。そして情熱や情愛を分け与えていきます。そして企業の意思と個人の意思のすり合わせに力を貸し、意思を正しき方向に戻し、大企業の中でひとり一人が完き人であるために日々支えているのです。

その支える活動のためには、労働組合の専従者が、完き人たるはどういう人かを知る必要があり、体現されるものであることがベストです。労働組合の専従たるは、知恵をつけ、情愛を注ぎ、組合員の心からの幸せを願い、その強い意思を持って、様々な困難や雑音に向き合っていかなくてはなりません。

渋沢栄一の『論語と算盤』では「すべてを国や行政に任せるのではなく、経営者、国民ひとり一人が勇気を持って世づくりに参画しなければ、悔やむことが起きるかもしれない」のような考えが伝わってきます。これはまさに労働組合の目指す所であり、ひとり一人のリーダーシップが世界を動かすことを伝えています。

まさに今ここにいる私より始めるほかないのです。特に労働組合専従者ならその責任は重いのです。

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