見出し画像

私が産まれたわけ

「色の白い優しそうな女の子ですよ」

こう声をかけた産婦人科医を私は恨んでいる
私を産んだときに母が産婦人科医にかけられた言葉だ

何かあると母は必ずこの言葉を出して
こう言われたのにあんたは優しくない、色が黒くなったと責められたのだから

母が兄を産んだ日

母はおばあちゃん、つまりは母にとっての姑に電話をかけた

産んだとき切れたとこが痛くてね、這って公衆電話まで行って電話したのよ!
そしたらおばあちゃんなんて言ったと思う?
あんたが丈夫ならすぐ次が産めるって言ったのよ!
待望の第一子、初孫、長男、それなのに褒めるどころか次の話!
石にかじりついてでも産めって言ったくせに、
あんたの息子の精子がこんなチョロチョロっとしか動かないから妊娠できなかったのに…

母の言葉は
不妊治療の詳しいやり方
さらには父との行為の話と
とても生々しい話へと続く
初めて聞いたのは小学生の時だった

母が私を産んだわけ

何回か母は取ってつけたようなうっとりした声で
「お母さん嬉しかったのよ、女の子が産まれて」とは言われたが
母が私を産んだ理由は

・姑に次を産めと言われたから
・二人産んだ実績が欲しい(当時一人っ子は珍しかった)

以上だろう

兄を育てている時の父の役立たずっぷりを聞けば
私なら一人で手一杯だと考えただろう
それでも産んだのは母の意地

案の定、母は手一杯の子育ての中、夫に不満を募らせていく

なんにもやってくれない

その不満の吐き出し口は幼い手のかかる娘である私に向いた


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?