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これぞ本当の恋愛!「白いしるし」のあらすじ・感想・レビュー

「白いしるし」の概要

著者:西加奈子
発行年:2010年
あらすじ:女32歳、独身。誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた夏目。間島の絵を一目見た瞬間、心は波立ち、持っていかれてしまう。走り出した恋に夢中の夏目と裏腹に、けして彼女だけのものにならない間島。触れるたび、募る想いに痛みは増して、夏目は笑えなくなった──。恋の終わりを知ることは、人を強くしてくれるのだろうか? ひりつく記憶が身体を貫く、超全身恋愛小説。(新潮社HPより)

「白いしるし」の感想・レビュー

最近、私が猛烈にハマっている芸人であるラランドのサーヤさんがnoteで「推せる!!」と書いていたので買って読んでみました。

一言でいうと、芸術的で情熱的な恋愛物語です。画家の主人公が、同じく画家の男性に恋する話ですが、好きという感情が、繊細にかつ激しくかつ芸術的に描かれています。

まず、失恋の辛さを知る32歳の主人公の、もう恋愛に期待しないでおこうという決意や恋愛に対して消極的な態度にめちゃくちゃ共感しました。

そして、主人公が遠ざけていた恋に深くのめり込んでいくシーンにおいて、ストーリーの中で描かれる激情は、言葉で伝えられる範囲を超えて伝わってきました。

特に、登場人物が好きな人を例えて発した

「水の中に手を入れれば、その形に添うし、斜めにすればさあっと流れていくけれど、水の中では決して息が出来ない」

という言葉にはハッとさせられました。

確かに、なんでも受け入れてくれる、なんでも言ったとおりにしてくれる恋人というのは、一見自分のことを愛してくれているように思えますが、生涯を共にするには、息苦しくなります。なぜなら、「相手に意見を言わない」ということは、「相手に無関心」であることにほど近いからです。

あと、血のつながりについて触れられている部分や暗に示されている部分が散見されました。血のつながりについて触れることで、愛を暗示しているのかと感じます。

大人の恋愛小説といった表現が適切でしょうか。出会いから別れまで一連の流れがエネルギッシュに艶やかに書かれているため、いろいろな角度で楽しむことができます。

長らく恋愛を忘れていらっしゃるそこのあなた!失恋して悲しみに暮れているあなた!そして、恋愛真っ最中のあなたも、今までと違った恋愛観を得られるでしょう。ぜひ読んでみてください。


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