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サクッと読める軽快な推理小説!!「元彼の遺言状」のあらすじ・感想・レビュー

「元彼の遺言状」の概要

著者:新川帆立
発行年:2021年
あらすじ:亡くなった資産家の息子が残した遺言状を、元カノであり、この作品の主人公となるおせっかいな弁護士が解き明かしていくといったストーリー。遺言の内容は、なんと、犯人に莫大な資産を譲渡するということであり、莫大な遺産の分け前を獲得したい元カノ兼弁護士が、依頼人を犯人に仕立て上げるべく、奔走する。

「元彼の遺言状」の感想・レビュー

主人公がThe・バリキャリという感じで、とにかくさばさばしていて、周りの男たちを手当たり次第蹴散らしています。むしろ、バリキャリの域を超えて、サイコパスな感じさえしました。その点については、著者の新川帆立さんも、女性が憧れる女性を書きたかったと言っているように、とても印象に残りました。

また、個人の感想ですが、会社や投資に関する法律や富裕層の話、不倫など、身近に全くない話が多くて、理解するのが結構むずかしかったです。いつもミステリーを読むときは、推理しながら読んでいるので、法律をよく知らない私には、推理のしようがなく、結末を知ったとき、「あーそういうことか、知らんかったな~」という感じで、一気に登場人物達との距離を感じました。
創作物は、どれだけのめりこめるか、小説を読んでいないときもその作品をどれだけ思い出すかによって、その人が感じているおもしろさや感動を測ることができるのではないかと思います。そのため、そういった意味では、この作品は、小説を読んでいなくても思い出しているという訳ではなかったので、特大のおもしろさや感動は感じませんでした。これは、法律とか会社の仕組みをよく知らない私の知識不足のせいです。

ラストは感動しますが、「そんなことで?」というような疑問が残りました。また、主要な登場人物が、全員異常なほど変わっているので、共感しづらくもありました。
あと、どうでもいいことですが、私自身、過去に付き合っていた人が、「元カノ大好き人間」で、つらい思いをした経験がトラウマ並に心に残っているので、元カレや元カノという言葉が頻繁に出てきたり、不倫に罪悪感を感じない人や不倫の末にできた子供までが介入してきたりしたこの作品は、過去の嫌な記憶を思い出して気分が沈んでしまいました。

ミステリーとしては、仕掛けが作りこんであり、考え抜かれた作品であると思います。ストーリーが次々展開していき、伏線もほとんどないので、最後まで結末が全く分かりません。普通のミステリーが読み飽きたという方は、ぜひご一読を!



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