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ノーカントリー 原作 小説を読んでみた

こんにちはSADです

最近 2007年のコーエン兄弟による
映画 ノーカントリーの原作小説

コーマックマッカーシー
ノーカントリーフォーオールドメン
を読んでみましたので

感想をこちらに記載
しておきたいと思います

なおこの感想は 映画版を見ている
前提で書いており

映画との違いを主に記録している
文章ということを最初にご了承
ください

概要
今回私が読んだ ノーカントリーの
原作小説は

2007年に扶桑社(ふそうしゃ)
ミステリーから

「血と暴力の国」というタイトルで
発行されていますが

私が読んだものは
タイトルを新たに
「ノーカントリーフォーオールドメン」
に変えて

早川 epi 文庫から2023年に創刊された
ものになります

また昔の文庫本は文字がぎっちり
詰まっていて読みづらい印象でしたが

最近の文庫本は 文字もやや大きく
隙間があり、だいぶ 読みやすくなって
いると感じました

読んだ印象

私が原作を読んで 率直に思ったことは

映画版 ノーカントリーは
かなりこの

原作小説の雰囲気を忠実にトレース
していると感じたことです

映画版 ノーカントリーは全編に
漂う 乾いた 暴力 という印象を受け
ましたが

それと同じような感覚が小説を読んで
感じることができました

ここで私が言う乾いた暴力というのは

憎しみや悲しみ、あるいは愛憎などの
感情の絡んだ末に起きる暴力ではなく

何の前触れもなく 人が死んだりする
無感情で無慈悲な暴力を

自分は乾いた暴力と表現しています

そして
その大自然の食物連鎖の中で行われ
るような

機械的な生命の死という物が

小説版ではより一層 濃くなっている
ような感じがします

映画との違い

映画というものは原作小説を
脚色したものですから

必ず違いが出てきます

小説を読んで 2つの作品に通じる
精神みたいなものは同じなのですが

結構 細かい違いがあるので書いて
いきたいと思います

ベル保安官の独白

映画では ベル保安官の独白 から
物語は始まりますが

小説では ストーリーの合間合間に
かなりの量の保安官の独白があります

これは映画ではカットされていた部分
です

この長いページを割いた ベル保安官の
独白 によって

ベル保安官が事件を追っていく
過程で何を考えていたのかとか

変わりゆく社会で自分の想像
もできないようなひどいことが
起こっていくなか

何もできないで見ている事しか
できない保安官の無力感が

 映画よりも一層 伝わってきます

映画のあのシーンの真相

ノーカントリー 映画 本編で
シガーがガソリンスタンドの店主と
奇妙な会話のやり取りをしていたこと
を覚えているでしょうか?

©ノーカントリー(2007)

あの時 シガーは何か ナッツのような
もの (原作によると あれは カシューナッツ)をポリポリと食べながら

©ノーカントリー(2007)

その後 その 食べた後の袋をくしゃくしゃっと 丸めて テーブルに置きます

そして丸めた袋がゆっくりと広がって
いく様子をアップで映しているのですが

©ノーカントリー(2007)

これは一体どういう意味なんだろう?
と見た時から 何回も考えていましたが

なんと これは 原作通りの描写 だった
んですね

つまり 映画的な意味があるというよりは原作でそうなっているから 

映しただけで特に意味はなかったの
ではないかと思います

またシガーが夜の道路をゆっくり
走りながら

不意にガードレールにとまっている
カラスを撃とうとして

弾が外れ 鳥が飛び立っていくという
描写も小説にそのまま書いてあります

映像を見ながら
あのシーンは一体何の意味があるんだ?
と考えていたことが

実は 原作通りだったというのは読んで
みないとわからなかった 発見でした

削除された少女

映画と原作でかなり大きな違いの一つ
は家出少女の存在です

映画では出てきませんでしたが

小説版で腹に銃弾を受けて入院して
いたウェリン・モスは

病院を出て 橋の下の草むらに一時的
に隠していった スーツケースを拾った

一人の家出少女をヒッチハイクで
拾います

少女とモス はしばらくの間移動を
続けて

2人で食事を取ったりビールを
飲んだりします

その描写がロードムービー 的で
ちょっとハートフルな描写なのですが

その後 あっけなく殺されてしまいます

なぜこの部分の改変があったのかは
分かりませんが

映画の尺的な問題かあるいはちょっと
娯楽 映画としては 陰鬱になりすぎてしまうと判断したのかもしれません


映画とまた設定が違うものの 1つに
ベル 保安官の父親の職業が挙げられ
ます

映画ではベルは 父も 保安官だったと
言っていますが

小説ではベルの父親は博労
(牛や馬を売って生活する人)
ということになっています

映画本編も 小説でもラストは
保安官が見た父親との夢で終わり
ますが

これはあの夢の意味を解釈するため
のヒントとなる情報かもしれません

保安官には娘がいた

映画ではベル保安官の家族構成
はあまり深く描かれていませんで
したが

小説では娘が一人いて早くに亡く
している事が書かれています

そして
ベル保安官は時々亡くなった娘と
会話をすると小説には書かれています

どうやら 自分の中にイマジナリー
フレンドのようなものを持っていて

何か困ったことがあると娘から 助言を
聞くそうです

シガーの目的

映画の中でもかなり 異彩を放っていた アントンシガーという男

しかし 映画の中でも彼がなぜ金を
回収しようとしているのかはわ詳しく
描かれてなかった気がします

小説版では
シガーは無事に スーツケースを取り
返した後ある男の元に出向いています

小説内でもシガーが具体的に何が
目的なのかは 私はわからなかったの
ですが

映画を見ていて てっきり 私は
カーソンウエルズを雇った男が

シガーのボスかと思っていたのですが
どうやらそうではなさそうなんです
よね

©ノーカントリー(2007)


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