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ビートルズ曲分析 〜曲のキーとその関係性について〜

はじめに

 みなさんこんにちは。未知なる音楽の探求を続ける大学生は4月で社会人になりました。最近はworkin' like a dog って感じです。なんちゃって。

 さて今回は私の音楽観の原点となるビートルズの楽曲についてあまり他ではされていない切り口で分析していきたいと思います。ビートルズの楽曲はもう世界中の音楽好き、評論家が嫌というほど解説しています。普通に曲のうんちくを解説していくのはもうつまらないと思うので、今回はビートルズの曲のキーについて見ていきたいと思います。現代音楽では曲に必ず「キー」というものが存在します。そして、曲はその「キー」の音を中心にそのスケールの音から曲が成り立っています。「キー」にはC,C#(Db),D,D#(Eb),E,F,F#(Gb),G,G#(Ab),A,A#(Bb),Bの基本的な12種類があります。また、マイナー調なども含めるとその種類はもう少し増えます。

詳しくはこちらをご覧ください。

 みなさん、もうお気づきかもしれませんが、今回はビートルズの全楽曲を見ていきどのキーが一番使われているかや同じキーが使われている曲の共通点などを見出していきたいと思います。では先ほどの12種類に楽曲を分けていきましょう!!対象はカバー曲以外のビートルズ公式発表全曲です!!まずはCから!!

ビートルズの楽曲のキー一覧


C(C,Cm,C7etc)

Misery
Can't buy me love
When I get home
No reply
I'll follow the sun
It's only love
Girl 
Love you to
Tomorrow never knows
Getting better
Being for the benefit of Mr.Kite!
Flying
Blue jay way
Your mother should know
Hello goodbye
The continuing story of bungalow bill 
Rocky Raccon
Don't pass me by
Golden slumber 
Carry that weight
Let it be
maggie mae
From me to you
Old brown shoe

C#(Db),(C#,C#m,C#7etc,,,)

Within you without you
When I'm sixty four
Across the universe

D(D,Dm,D7etc,,,)

P.S I love you
Anytime at all
Eight day's a week
What you're doing
Night before
Drive my car
The word
Run for your life
Taxman
Fool on the hill
Dear prudence
Why don't we do it in the road?
Juila
Mother nature's son
Come together
Maxwell's silver hammer
Because
For your blue
Thank you girl
I'll get you
This boy
We can work it out
You know my name

D#(Eb),(D#,D#m,D#7etc,,,)

I'm only sleeping
Lovely Rita
Long and winding road
The inner light
Real love

E(E,Em,E7etc,,,)

I saw her standing there
Ask me why
Please please me
Do you want to know a secret
There's a place
It won't be long
All I've got to do
All my loving
Don't bother me
Little child
I wanna be your man
I'm happy just to dance with you
You're going to lose that girl
Norwegian wood
Nowhere man
What goes on
Eleanor rigby
And your bird can sing
With a little help from my friends
Yer blues
Everybody's got something to hide except for me and my monkey
Helter skelter
Savoy truffle
Mean mr.mustard
Polythene pam
Yes it is
Day tripper 
Don't let me down
Ballad of John and Yoko

F(F,Fm,F7etc,,,)

Hold me tight
Yesterday
Michelle
Fixing a hole
She's leaving home
I will
Long long long
Dig it
Hey jude

F#(Gb),(F#,F#m,F#7etc,,,)

Wait
Yellow submarine
Wild honey pie

G(G,Gm,G7etc,,,)

Love me do
Not a second time
Hard day's night
I should have known better
I'll cry instead
You can't do that
I'm a loser
I don't want to spoil the party
You've got to hide your love away
You like me too much
Tell me what you see
Think for yourself
Here there and everywhere
Got to get into my life
Sgt.pepper's lonely hearts club band
Baby you're rich man
All you need is love
Blackbird
Sexy sadie
Honey pie
Cry baby cry
Good night
All together now
It's all too much
Two of us
She loves you
I want to hold your hand
I feel fine
I'm down
Paperback writer
Rain

G#(Ab),(G#,G#m,G#7)

I'm looking through you
Piggies

A,(A,Am,A7)

Things we said today
I'll be back
Baby's in black
Every little thing
I need you
Ticket to ride
I’ve just seen a face
You won't see me
In my life
I want to tell you
Good morning good morning
Back in the U.S.S.R
Glass onion
While my guitar gently weeps
I'm so tired
Birthday
Revolution 1
Only a nothern song
Oh darling
I want you(she's so heavy)
Here comes the sun
She came through the bathroom window
Dig a pony
I me mine
I've got a feeling
Get back
She's a woman
Lady madonna


A#(Bb),(A#,A#m,A#7)

She said she said
Strawberry fields forever
Ob la di ob la da
Revolution

B(B,Bm,B7etc,,,)

For no one
Hey bulldog
One after 909

これで全曲が出揃った!!!ように見えますがまだまだ全然出揃ってません!!なぜなら、ビートルズの楽曲は曲の中で転調(キーが変わる)しているものが一定数存在しているからです。では、次にそちらを見ていきましょう。

転調

If I fell(イントロがC#からDへ転調)
And I love her(Eから中盤のギターソロにかけてFに転調)
Help(イントロがBmからAに転調)
If I needed someone(Verse1がA,Verse2がBm)
Good day sunshine (Chorus部分がB,VerseがA)
Doctor Robert(wow×4 feeling fine〜の部分がB,それ以外がA)
Lucy in the sky with diamonds(イントロとVerse1がA,Verse2がA#,ChorusがG)
Sgt.pepper's lonely hearts club band reprise(Fから中盤部分でGに転調)
A day in the life(ジョンパートがG,ポールパートがE)
Magical mystery tour(Bridgeの静かな部分がD,それ以外がE)
I am the warlous(イントロがB?VerseがA?ChorusがE?→断定不可、別記参照)
Penny lane(VerseがB,ChorusがE)
Martha my dear(Verse1がD#,Verse2がF)
Something(BridgeがA,それ以外がC)
Octopus garden (ギターソロがA,それ以外がE)
You never give me your money(最初のピアノメインのパートがAm,Out of college money spent〜のパートがC,One sweet dream〜のパートがA)
Sun king (イントロおよびスペイン語パートがE,それ以外がC)
The end (ギターソロ終わりとequal to the love〜までA、そこからC)
Free as a bird(後半のギターソロ?部分がC、それ以外がA)

お疲れ様でした!!これを最後まで見ていただけた方は言いたいことや思ったことなどがたくさんあると思いますがとりあえずデータを整理していきたいと思います!

それぞれのキーの曲数など

C・・・24曲
C#・・・3曲
D・・・23曲
D#・・・5曲
E・・・30曲
F・・・9曲
F#・・・3曲
G・・・31曲
G#・・・2曲
A・・・28曲
A#・・・4曲
B・・・3曲
転調・・・19曲

誰がどのキーの曲をいくつ書いたか

 ちなみに、レノン&マッカートニー名義でもどちらがメインで書いたかを調査し、ジョン及びポールに加算します。完全な共作の場合はどちらにも加算します。

ポール

C・・・12曲/24曲
C#・・・1曲/3曲
D・・・12曲/23曲
D#・・・2曲/5曲
E・・・6曲/30曲
F・・・8曲/9曲
F#・・・2曲/3曲
G・・・14曲/31曲
G#・・・1曲/2曲
A・・・13曲/28曲
A#・・・1曲/4曲
B・・・1曲/3曲
転調・・・9曲/19曲

ジョン

C・・・11曲/24曲
C#・・・1曲/3曲
D・・・13曲/23曲
D#・・・2曲/5曲
E・・・22曲/30曲
F・・・1曲/9曲
F#・・・1曲/3曲
G・・・17曲/31曲
G#・・・0曲/2曲
A・・・10曲/28曲
A#・・・3曲/4曲
B・・・2曲/3曲
転調・・・8曲/19曲

ジョージ

C・・・4曲/24曲
C#・・・1曲/3曲
D・・・2曲/23曲
D#・・・1曲/5曲
E・・・3曲/30曲
F・・・1曲/9曲
F#・・・0曲/3曲
G・・・2曲/31曲
G#・・・1曲/2曲
A・・・6曲/28曲
A#・・・0曲/4曲
B・・・0曲/3曲
転調・・・1曲/19曲

リンゴ


(0曲は省略)
C・・・2曲(flying含む)/24曲
転調・・・1曲/19曲

このような結果になりました!!!ビートルマニアのみなさんみなさんこれらのデータを見て色々思うことがあるかと思います。

 ここからは僕なりのこのデータを受けて思ったことをつらつら書いていこうと思います。なお、これから書くことは完全に僕の推測なので合ってる保証は一ミリもありません!本当のことは今生きているリンゴかポールに誰か聞いて僕に教えてください!!ww

キーという観点から見たビートルズの楽曲たち

①"実は"転調していた曲多すぎ

 みなさん、転調するというと、曲が終盤部分に差し掛かった時に半音上がって転調するようなそんな楽曲を思い浮かべるかと思います。今のJ-PopやJ-Rockでは多いパターンなのかと思います。
 先ほどのデータで転調していた曲を見てみると意外な曲が多くないですか?私はそう思いました。ビートルズの転調の曲はこの一般的な転調の仕方(これを一般的と呼ぶのもどうかと思いますが)のようなものはほぼないです。And I love herくらいでしょうか。その中で特異的な転調の仕方をしている曲をいくつか例を挙げてご紹介したいと思います。

"Help"
 ビートルズはいろいろな有名な曲がありますがその中でも特に有名な曲がこれ。この記事を読んでいる人ならば一度ならず何度も耳にしているであろうこの曲。実は転調しています。どこで??
 答えはイントロからwhen i was younger〜のverseに入る部分です。なぜ特異的かというとBm→Aという転調の仕方とイントロのコード進行です。まずイントロのコード進行はBm→G→E7→A7です。キーBmから見てG,E,A,の音はスケール内にありますのでまあ許容範囲です。しかし、このA7のコードからいきなりAメジャーに転調します。本来A7から次の連想されるコードはダイアトニック的に考えるとEメジャーでしょうか。7thコードというのは不安定な響きを与えますのでトニックコードに戻りたがる性質があります。このA7が7thを取り払ったただのAに転調しているのはかなり理論的には不自然です。
 しかしながら、ジョンはこの曲を自然にそして完璧にこの曲を歌い上げています。聴いてる私たちも転調に気づかないくらいこの曲の流れは自然です。才能がある人は音楽理論をも跳ね除けるんですね

"Sgt.pepper's lonely hearts club band (reprise)"
 この曲も実は転調してるんです!!もしかしたらHelpよりもっとわかりにくいかもしれません。まずどこで転調しているかというと中盤の「Sgt.pepper's lonely」を4回繰り返すところがあると思うのですがその4回目で見事FからGに転調しています。自然すぎておそらく初見では極めて気づきにくいでしょう。この記事を見て初めて気がついたという方もいらっしゃるのでは。これに関して、収録されているアルバムに謎が隠されていると私は感じます。本アルバム「Sgt.pepper's」は架空のバンドが演奏するという設定をもとにしたコンセプトアルバム。曲と曲に繋がりを強く持っています。特にこの前後の曲は完全につながっています。クライマックスを迎えるこの曲はテンションをピークに持っていくためにあからさまではなく自然に全音上に転調しアンコールの「A day in the life」にそのままのキーで繋ぐという意図があったのではないでしょうか。本曲の転調後のキーはGでA day in the life のジョンパートもキーはGです。こうすることで壮大なアンコールもアルバムの中で浮くことがなくスムーズに繋がっています。

②I am the warlousの謎

 ジョンレノンが作ったサイケデリックな名曲、I am the warlous。言葉遊びのような歌詞とカオスな雰囲気がジョンレノンにしか出せない魅力を感じます。この一風変わった名曲、I am the warlousですがコード進行的に見ても一風どころか二風、三風変わっています。
 まず、この曲に関してキーが特定できなかったです。というよりなんとなくわかったんですけど腑に落ちないところがありました。
 まずイントロですがここはBのキーが当てはまるんじゃないでしょうか。そして、歌詞が始まるVerse部分でまずいきなり転調です。ここはAが妥当でしょう。そしてこっからが謎な部分です。
 「Corporation tee-shirt〜」からの3小節はF→Bという動きをしていてキーAが当てはまっているのか微妙なところです。しかしながら、歌のメロディーラインがAとBの音を踏んでいるのでギリギリキーAは許容範囲かなと思います。しかしながら問題が次のサビです。ここは明らかに調が変わっています。コードの動きがC→D→Eです。全てメジャーコードのこの動きは聴いているこちら側の調の意識を崩壊させています。しかもメロディーラインも全部ルートの音を辿っています。この部分はキーの特定は皆目不可能でした。三つのコードが調から独立しているように見えます。
 そして、Bridgeの「Sitting in an English garden waiting〜」の部分もキーBとするにはコード進行とメロディーラインが当てはまってなさすぎます。こちらの進行も全てメジャーコードなため調から独立しているように見えます。
 どなたか僕より理論詳しい方、この曲を丸裸にしちゃって僕に教えてください。

③ポールはFが好き、ジョンはEが好き説、ジョージはAかな?

 先ほどの誰がどのキーの曲をいくつ書いたのかというデータで見てわかる通り、ポールとジョンには書く曲のキーに少しクセがあることがわかります。     

 特に目を引くのはまず一つ目はキーFに占めるポールの曲の多さです。ビートルズの楽曲のうちキーFは全部で9曲しかない中でその8曲をポールが書いています。そして二つ目はジョンのEの割合の高さです。

 これは自分の勝手な推測ですが、ポールの場合Fが多い理由としてピアノ中心で曲を作っていたからではないでしょうか。ピアノでFコードを奏でる場合ファ、ラ、ドの三音を鳴らします。この三音はすべて白鍵です。僕の場合ピアノで特に鳴らしやすいコードはCとFです。この二つのコードのみ構成音が全て白鍵です。ポールレベルになるとどんなコードも容易く奏でられるでしょうけど、彼も人間なので作りやすいキーで曲を作りたいという思いがあったのではないでしょうか。

 また、ジョンがEの曲をよく作ったのは彼がギター中心で曲を作っていたからではないでしょうか。ギターでは6弦開放弦に5弦2フレットを抑えれば簡単にEコードの音がなります。ブルースにおいてもEがキーの曲は多いです。ジミヘンなどは半音下げで曲を作っていましたがそれでもポジションはEの曲が多いです。(音的にはEフラット) 

 ジョージに関してはAの曲が比較的多いかなと思います。(そもそもジョージの作った曲が少ないためなんとも言えませんが)これもジョージがギター中心に曲を作っていた証拠ではないでしょうか。Aコードはギターにおいて5弦開放弦と4弦2フレットを押さえれば鳴ります。ギターをパッと手に取った時このコードから鳴らす人、多いのでは。ブルースにおいてもEもそうですがAがキーの曲もかなり多いです。

 こちらは、僕の勝手な推測なので間違っているケースもあります。ご了承ください。

④初期において#,bがキーの曲が存在しない。初出が「I'm looking through you」

 タイトルの通りアルバム「Help!」までオリジナル曲全ての曲のキーがC.D.E.F.G.A.Bいずれかで作られています。初期はやはりストレートなロック.R&Bナンバーが中心のため、そのような結果になったのでは、と思います。またビートルズはライブ活動、映画撮影、曲作りと初期は超多忙なスケジュールをこなしていたため曲作りにおいても避けられる労力は避けていたのでは、と思いました。やはり#.bをキーにすると多少ではありますが曲を作る際に手間がかかります。
 意外にもビートルズオリジナル曲初の黒鍵曲(?)がアルバム「Rubber Soul」からの軽快なポールのナンバー、「I'm looking through you」なんですね。確かに言われてみるとそれまでの曲にありそうでどこか一捻り効いたメロディーラインとコード進行な気がします。ちなみにキーはG#です。

まとめ

 ここまでビートルズの曲を「キー」という切り口から掘り下げていきました。まず思ったのがビートルズを語り尽くすのは一生かかっても無理だな、ということです。だって曲の「キー」だけでここまで書けるんですから。事実このノートに僕は一ヶ月以上時間を費やしています。ですが、それだけ分析しがいがありました。ありがとう、ビートルズ。 
 また、音楽にもルールというものがあります。俗に言う音楽理論っていうやつです。一般の方にはあまり知られていませんが大体の曲がこの音楽理論に当てはめて説明することができます。(作り手が理論を意識した、しないは別として) でも、その法則、ルールに縛られていたら音楽ってつまらないですよね。音楽ってなんでこんなに面白いんだろうって考えた時に色々理由はあると思いますが一つに、ルールを守らなくてもかっこよくなるし、カッコよかったらルール通りじゃなくてもいいということです。これはビートルズだけじゃなくて他のアーティストにも当てはまっている曲はたくさんあるもしれないです。人はよくビートルズの曲を「聞いた瞬間から頭から離れない」と言うことがありますがそれはビートルズの曲が既成概念を飛び越えた新進気鋭な曲だからではないでしょうか。
 芸術というのはある程度のルールはあるにしろそのルールを破って破った先で素晴らしい作品を残せたら超一流ですよね、おそらく。だから、私は芸術というのは素晴らしく魅力的で人間にしかできないことだなぁと感じます。

 話が大きくなりすぎました。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
では最後に、、、、、

この曲のキーが分かる方、僕に教えてください


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