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リオオリンピック開会式のパフォーマンスが個人的に素晴らしすぎる件について

 東京オリンピックが終わって早3ヶ月。皆さんは開会式や閉会式のパフォーマンスで記憶に鮮明に残っているものはあるでしょうか??

 正直言って私はありません。あれは電通に潰されただとか、演出チームを解散させたせいだとか色々言われていますが、僕は今の日本人の伝統や文化を受け継ぐ姿勢や重んじる気持ちが少し欠けているようにも見えてしまいました。いくらグローバル化が叫ばれる時代においても自国のナショナリズムは失ってはいけない。僕はそう感じます。

 そんな話はさておき本題に移りましょう。時を5年巻き戻して2016年。ブラジルのリオデジャネイロでリオオリンピックが開かれました。日本人のイメージとしてブラジルはサンバ、サッカーなどが有名で情熱の国というイメージがあるかと思います。それはあながち間違っていないと思います。というか合ってます。しかしながら、ブラジルの例えば音楽の何が素晴らしいかを具体的に感じている人は少ないかと思います。ですが、開会式の今から紹介する音楽パフォーマンスはブラジル、そしてリオデジャネイロの雰囲気や音楽の素晴らしさを端的に表していると感じます。

 このパフォーマンスは開会式のクライマックスとして行われています。3人のメインの歌い手と色とりどりの格好をした大量の打楽器隊を中心に曲を演奏していきます。

左からカエターノヴェローソ、アニッタ、ジルベルトジル。



カエターノヴェローソジルベルトジルは60年代後半からトロピカルブーム、そしてMPBなどブラジルポップスを長年引っ張ってきたいわゆる大御所であり、オリンピック運営側はこのステージに若手のアニッタを出すことには場違いであると批判的であったらしいです。しかし、ヴェローソやジルは彼女の才能や人格を認め是非同じステージに立たせろと命じたと言います。実際この後アニッタは売れ始めブラジルを代表するスターにのし上がったとか。

 曲目は「Isto aqui, o que e?」
「ブラジルの水彩画」などで知られるブラジルの20世紀を代表するシンガーソングライターのアリバホーゾの楽曲。色々な人にカバーされてスタンダードナンバーになっています。

ボサノバの帝王、ジョアンジルベルトによるカバー

 まずスロウなテンポからカエターノヴェローソとジルベルトジルの甘い歌声で曲の幕が開けます。ジルベルトジルが歌う部分で歓声が上がるところから見てもやはり伝説的な歌手なんだなと実感できます。そして、アニッタの登場により曲やテンポは本格的なサンバ調になり、一気にヒートアップしていきます。途中の打楽器隊のソロやサンバホイッスルの音などを聴くとまさにブラジルを感じられます。実況の方も英語で「まさにリオの街が作り出している音だ!」と少し興奮気味に言っていますが気持ちはとてもわかります。後半部分でスローなテンポに落ち着きアコギが目立つ部分もありますがそこもブラジルらしくてとても良い。

 まあそしてなんと言っても歌がない部分での3人のノリ方だったり打楽器隊の楽しそうな表情。これがブラジル音楽の本質を表していると思います。音楽は楽しむものだということを教えてくれている気がします。

最後にこの曲の歌詞を置いておきます。

これはね
ブラジルのほんの欠片なんだ
幸福に歌うブラジルの
それは 煙なんか怖がらない
人々の欠片でもあるんだ
決して自分を譲ったりしない人々の

ほら 彼女の腰の動きをごらん
彼女のダンスをごらん
ほら 彼女の腰の動きをごらん
彼女のダンスをごらん

僕を堪らない気持ちにさせる すてきなモレーナ
銀のサンダルを履いて
サンバしにおいで
僕を堪らない気持ちにさせる すてきなモレーナ
銀のサンダルを履いて
サンバしにおいで

 歌詞に深い意味はありません。細かいことをぐちゃぐちゃ言わずにとりあえず楽しければなんでもいいのです。もう本当にこの曲にこの歌詞あり、という感じがします。

 オリンピックの開会式、閉会式には色々な伝説的なパフォーマンスがあります。ロス五輪の空飛ぶ人だったり、バルセロナ五輪の矢に火を放って聖火台に灯したり、ロンドン五輪のイマジンやHey Judeだったり、、、
 しかしながら私はこのリオ五輪の「Isto aqui o que e?」を推したいです。
 ブラジル音楽のサンバのイメージは氷山の一角に過ぎません。私もこれからもっとブラジルの音楽について勉強していきたいと思ってます。そして、コロナの隔離がなくなったらブラジルに行って音楽を感じたいです。

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