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山中礼二さんが語る社会的インパクト投資と構造化@リディズバ

今日(2020/04/25)はみんな週末で会議祭りということで(僕もリディズバ後に一つやってたのですが),僕がまとめたものと簡単な振り返りしていきます.
リディズバーズ解散の危機か...?

ちなみに昨日のリディズバはこれまでの振り返りということで放課後活動は行いませんでした.

「投資する社会起業家をどう決める? 
       事業拡大に重要な「構造化」とは?」

本日のゲストはグロービス経営大学院の専任教員・一般財団法人KIBOWの山中礼二さんでした.

山中さんの経歴:
 キャノンから2000年にグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)に移って営利の投資を行い,その後ヘルスケアベンチャー2社を経て再度グロービスへ.
最初にインターネットブームが来た時にグロービスへ.

社会起業家って怪しいよね.
日本では社会起業家が2000年代前半から盛り上がり始めた.ETICからかな?
政治や経済活動で解決しない社会的問題を扱う起業家たちのこと.

そういった社会起業家を応援するのがインパクト投資
インパクト投資とは,社会を変えるベンチャー企業に投資すること.社会課題を解決しながら利益もづじに生み出す投資活動のこと.
     ソーシャル目的 × 財務的リターン社会的インパクト投資
KIBOWではソーシャル目的を優先して投資してるが,それは投資家次第で,リターン重視な投資家がいても良い.そこにはグラデーションがある.
これまではリスクとリターンで投資先を決めるのがセオリーだったけど,これからはインパクトも求める時代にしていきたい.

社会性と経済性はトレードオフじゃないの?
 そうでもない.例えば「愛さんさんビレッジ」では宮城で障害者を雇用し訓練しながら高齢者向けのサービスを提供しているが,社会的価値を追う愛さんさんビレッジの活動を見て高齢者たちも応援してくれて,経済的にも成功して来た.

安部さん:いや,それは人口が多いからじゃないか,限界集落でそれをするのは難しい.前提となる人口規模がある.
 → リターンが見込める範囲でのみ社会性と経済性を追い求めることができる.

他の投資先事例:ポラリス 体が良くなる介護施設 入ると要介護度が下がる
 介護施設では要介護度が高いほど国からの補助があるため,多くの介護施設では要介護どの高い方を受け入れ,常に部屋を埋めていく経営がなされている.この場合,要介護度を下げると収益が下がるため,入居者が健康に向かうインセンティブがない.ポラリスはそこに対抗している.
 → 実際に入居者の介護度は下がっている.

社会起業の三つのフェーズ
Validation Phase → ここでは投資できない
Business Modeling Phase → ここで投資することもある(リスク高い)
Impact Maximization Phase → ポラリスはこの段階で投資した
リディラバも↑のフェーズを元に事業やってる
ソーシャルセクターではこれをわかってない人が多い.価値の提供で止まってる人が多い.でもこの最初のValidation Phaseが一番むずい.どうやって価値があると証明するか.

政策においてimpact maximization を求められるが,企業側の実態はvalidation phase止まりってことが多い.この,政策で求められていることと現場とのギャップを小さくする必要がある.

KIBOWの投資判断基準:
ツボ(レバレッジポイント)をついているかどうか
 ホームレスという問題なら:就活困難,施設の環境劣悪,精神疾患
といった,この壁を超えたら問題が解決するかもしれないというポイント
   → これを実践してるのが「リノベーター」という会社
 物件を課されないような方に住居を提供し,安心から自立まで見据えている
このように,問題の構造からツボをおさえた仮説を立ててやる
   → そのためにリディラバジャーナルを読むことは重要

安部さん:リノベーター社はすごいけれど,これが最適かわからない.途上国での先例では他の会社よりも弱い資金だったために成功しなかった
→ 経済的に,資金を集めれるかがポイント.でも早めに経済性を見切るのでも良い
途上国では不動産価格が上昇したが,日本では人口が減少していくから不動産価格が上がる可能性が小さく,可能性はある.
自立支援側に重視する「もやい」って会社もある

休眠預金
銀行に残ったままになってるお金→年間700億くらいある
これまでは銀行の利益になってたけど,そのお金をソーシャルセクターに流すような法律ができた
その投資先の決定も政府が行うのではなく,民間がやる.これがすごい
懸念点:担い手の輪が拡がっていない 
 → 原因:ペーパーワークが多いとか,知られてないとか?
今のコロナ時代にこそ休眠預金の活用が大事

休眠預金の施策は三年.この間に結果出せるか
 安部さん:ソーシャルセクターの使えるお金の桁が小さすぎる.たった30億とか.頑張ってみんなで見つけたのに配分誰がするかで揉めた.そのケンカから経団連が出て来た.経団連が分配するの自体は良いけど,この人たちは本当にこの予算を増やそうとしてるのかってとこに問題がある.今後,財務省から国庫に預けようとする圧力があった際に,簡単に渡す可能性がある.公的セクターでカバーできない社会問題を解決するためにも,国庫に入るのを避けないといけない.中間団体が明確にならず,継続性を持ってやってこうとしてる人が入れていない.山中さんとかにまさにやって欲しいのに.
資金の元締めのジャンピアで強烈なリーダーが必要.内閣府とかと喧嘩しないといけないのに,弱いのが現状.

ソーシャルセクターに流れるお金を増やすために何をしてる?
KIBOW:投資先に成功してもらう.仲間の輪を広げること.

まとめ:
構造的にツボ押さえてるかが大事
社会を変えるか,利益が出るか,それらを見渡せる経営者次第

最後に:
みんなもできる.起業じゃなかったとしても,署名とか,いろんなことができる.この時間をリディズバに捧げているからこそ,可能性がある.
みんなで社会課題解決のスピードを上げよう
2020年前後から社会課題解決が進んだと100年後の教科書に書かれるように!

あとがき

 安部さんが酔ってたからか,途中すごく踏み込んだ話まで聞けました.こういった現実的に生じている課題を聞けたのは大きいです.良いことばかり聞いていてもダメで,実際には改善点がたくさんある.

 配分決めるところで揉めるのは子供から大人まで変わらないですね.でも,最初の三年の間にこの休眠預金を活用した施策でソーシャルセクターが成果を上げられるかどうかで今後の日本の社会問題が放っておかれるかどうかが決まるかもしれない.

 有権者でもあり,社会に働きかけることができる僕たちが,そういった現実を積極的に知っていかないといけない.生活してて勝手に流れてくるような情報に満足せずに,自分で知ろうとしないと現実はなかなか見えない.最前線で社会問題解決に奔走してくれてる方々が何に直面していて,その解決には何が必要か,考えて動きたいです.

 愚痴も悲観も知らないから.知ったかぶりして政府やメディアを批判するだけじゃなくて,行動を起こしていきたいですね.
 頑張っている社会起業家を褒めるところから


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