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ボードゲーム 人類誕生 デザイナーズノート

人類誕生は、とても困惑するコミュニケーションゲームです。
そんな人類誕生を僕がどんな気持ちで作ったのかを書き残しておきます。

コンセプトを考える

OgというTRPGがあります。それを紹介しているまとめがありました。

友人からこれみたいな言語系のゲーム作ってよ。と言われ、確かに面白そうだと思いました。
世にある言語系のゲームはどれも、コミュニケーションが主になっており、ゲーム性の低いものが多いので、もっとゲーム性のあるものを作ってみようという気になりました。できれば中量級がよいなと思いました。
もちろん、言語系のゲームはその主眼がコミュニケーションにありますので、ゲーム性なんてものはそこまで重要ではないと思います。

逆に、そこに挑戦する価値があると思いました。

また、しゃべってはいけないような制限ではなく、限られた範囲で積極的にしゃべっていくようなスタイルがよいなとも思いました。
で、協力ゲームだとコミュニケーションが生きるのではないかとも思いました。
そうすると、プレイヤーが猿人で、人間に進化するようなテーマが合いそうです。

まとめると、
・使える言葉に制限がある
・中量級のボードゲーム
・積極的にコミュニケーションをとる
・協力ゲーム
・猿人が人間に進化するテーマ。

ということを目標にゲームデザインを進めることにしました。

ゲームシステムを考える

最初は、みんなでサバイバルするゲームを考えました。
病気やケガ、空腹を克服しながら生存しながら進化するゲームです。
様々な物資を取りに行き、その情報を少ないコトバでやり取りするようなものです。

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初期に考えていたやつ。海、森、山があって、そこを行き来しながらサバイバルするイメージ。いまとなっては面影すらない。

ほかにも、絵に対して、ランダムな言語を当てはめてそれをみんなで学習していくようなものも面白いと考えていました。

このころNHKスペシャルの人類誕生を中心に文献を読んでそのころの学習をしていました。
数百万年前から猿人が発生しており、20万年前に人間が発生したという歴史をみて、気の遠くなるような時間が必要なのだと思いをはせたりしました。

とりあえず、超単純化して、モノを集めることを重視してテストプレイしてみることにしました。
このときは、あか、あお、きいろの3色に、ニク、クダモノ、モノ、の3種のカテゴリで9種類アイテムを作ってそれを集めるような形にしてみました。

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こんな感じの表を作って考えました。(右下の数字はなんだろう…)

そして、土地タイルとコマを用意して、ほかのプレイヤーと同じマスに入ったら交換するような感じです。
人数分円状にタイルを並べ、そこに自分のコマを置きます。
ウンバッバの掛け声で、右にうつるか、左にうつるかを決めます。
で、出会ったら交換。1人なら山札からカードをとる。
といった形です。
で、プレイしていく毎に、きいろとかニクなどの言葉を覚えていくような感じです。
終了条件などはテキトーでした。

この時点でわりと楽しそうな雰囲気があり、これ以上複雑にはしにくいなと考え、このまま何とかしてみようと思いました。

次に、いろとカテゴリだと面白くないので、ゴツゴツとかそういったあいまいなコトバにしてみました。
そうしたことで、伝わったときの快感がありました。
A「ゴツゴツ?」
B「ゴツゴツ!」
A,B「ゴツゴツゴツゴツ!」
みたいな感じで。
でも、いざ交換してみると違ったりしてw。

終了条件も設定しました。
ゲームが進むにつれて手札を捨てていくのですが、その捨て札がそろったら負けというようにしました。
これによって何を捨てるのか。という選択にゲーム性もでました。

このあと、いろいろと問題が出ては解決してを繰り返しつつ今の形になりました。それをざっと列挙してみると。

・コトバの山札とモノの山札を一緒にしてみよう、いや別にしよう。
・荒廃の手順を忘れてしまう。どうしよう。
・移動するのめんどい、いらないんじゃない?

みたいな感じであれやこれやこねくり回しました。
結果、不思議な感覚の推理ゲームが誕生しました。
当初の想定よりもライトな感じになりましたが、良しとしました。

バランスを調整する

できれば7人ぐらいまで遊べるとよいなーと思っていましたが、ちょっと無理な感じでした。
2人プレイもちょっと厳しい様子。
なので、3人から5人で遊ぶゲームとしてバランス調整。
荒廃のスピードや、コトバカードを覚えていくスピードなど調整しました。

初プレイをしていただいたとき、何をどうしていいかわからなさすぎて固まるというのを毎回見かけ、これは何とかした方がいいと思いました。

いろいろと考えた結果、本編の前に、ウォーミングアップを挟むことにしました。
そして、協力すること、モノカードとコトバカードの関係性を学習できることを念頭に考え、今の形になりました。
とはいえ、困惑するのは変わらず。まあ、それはそれとして面白くもあるので良しとしました。

このとき、いろんなゲームを作って遊んでみたんですが、このコトバカードとモノカードのセットはかなり汎用性のあるものだということを発見しました。
なので、みなさんにこのセットを使って新しいゲームを考えてもらえたらうれしいと思っています。いいのがあったら公式サイトなどにアップしていきたいですので、みなさんいろいろ作って教えてください。

絵を決める

絵は、図鑑ぽく学術的な感じになるといいかもねってことでそういう絵師さんを探しました。

とある方の紹介で緑川美帆さんをご紹介いただきました。
なんと、マジックザギャザリングのあのカッコいいアジャニ書いてる人じゃないですか!すごい!アジャニ!アジャニ!ということですぐにお願いしました。

一番不安だった猿人の進化の書き分けですが、お見事の一言です。
アルディピテクスラミダスのつぶらな瞳がたまりません。

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いちばん左がアルディピクテスラミダス。ラフ絵もすごい。

発売を迎えて

正直、この困惑するゲームがどのように評価されるのか心配です。
テストプレイの感じをみていると、人によってかなり評価がわかれるようです。
また、ルールが少々複雑ですが、そこも困惑するゲームとして楽しんでもらえると幸いです。

発売日は2020年4月25日です。

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