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Day 2: 嵐が丘(Wuthering Heights) / 7-Day Book Cover Challenge

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2冊目は嵐が丘。僕が持っているのは鴻巣友季子訳で、いろいろな方の翻訳がある。この作品は1847年にエミリー・ブロンテが29歳のときに発表したデビュー作で、彼女の最初で最後の長編作品。

これは30代になってから読んだ。30代になってからはあまり新しい本を読まなくなったけど、これを読んだときは驚いた。嵐が丘は、とにかく複雑で読みづらい、そして長い。ただとても力強い文体で、頭の中で話の構成がわからなくなっていったとしても、ページを繰るのを止められない。でも、どんどんわからなくなっていくから1章まるごと戻って読み返して、なんとか話の筋についていきながら読み進める。約700ページを読み終えて、Wikipediaであらすじを確認して、物語の構成を確認して、すぐにもう一度最初から読み返した。いつか原文を読んでみたいけど、かなりハードルが高い。

こういう体験って、年を重ねるごとに少なくなっていくから、とても貴重なものだった。

普通の小説は、一人称か三人称で書かれていることが多い。一人称は主人公の視点で物語が展開し、三人称は客観的な視点で物語が展開される。嵐が丘はさまざまな登場人物の視点で物語が展開する。また時間が前後したり、それぞれの人物で物事の捉え方が異なっていたりする。

また登場人物の名前もすごい。2家族の3代に渡る物語なので、Earnshowが5人、Lintonが6人、Heathcliffが2人でてくる。カオスだ。

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嵐が丘を読むまでは、僕の中で名前が難しい文学作品トップはカラマーゾフの兄弟だった。ちなみにこんな感じ。

フョードル・パーヴロウィチ・カラマーゾフ(父)
ドミートリイ・フョードロウィチ・カラマーゾフ(長男/ミーチャ、ミーチカ)
イヴァン・フョードロウィチ・カラマーゾフ(次男/ワーニャ、ワーネチカ)
アレクセイ・フョードロウィチ・カラマーゾフ(三男/アリョーシャ、リューシェチカ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%BE%E3%83%95%E3%81%AE%E5%85%84%E5%BC%9F

3兄弟だからなんとかなりそうなものだけど、ドミートリイと書いてある部分と、ミーチャという愛称で書かれている部分が混在するので、やっぱり難しい。ただ嵐が丘のほうが全体的な複雑さは上だ。

こんなに読みづらい嵐が丘なんだけど、それを読ませてしまう圧倒的な力がある。ナラティブの力だと思う。

僕はナラティブをうまく日本語で表現できない。一般的には物語や語り口とかって意味ではあるんだけど、それとはちょっと違う感じで、頑張って表現すれば、だれかが語ること自体、みたいに捉えている。語ることではあるんだけど、「だれ」が語ったかが重要な感じ。

嵐が丘は小説で物語でストーリーなんだけど、すべて三人称で書かれていたらこんなに面白くはなかったはず。それぞれの登場人物が自分の言葉で語る、ナラティブに引き込まれていくんだと思う。



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