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新宿

 5年半振りに都心に帰ってきた。とは言っても群馬から埼玉へ移動しただけなので、北関東間を移動しただけである。安定をかなぐり捨て映像の制作を生業として実家に帰ってきた。正社員からフリーランスへと華麗なジョブチェンジを遂げた僕の不安と鬱屈の日常を書き記したいと思う。

 というわけで今新宿にいる。久しぶりに大学時代の友人と飲みの約束をしていたからである。約束の時間より一時間程早く到着した僕は、新宿をブラブラすることにした。

 少し歩いてみたが、なんだろ皆目が鋭くないだろうか。僕の気のせいなのだろうか、学生の時には感じなかったが、なんだろこんな鋭い眼光をしていただろうか。ビックロで服を選ぶおしゃれ男や歌舞伎町の声はかけれないが気迫だけでもう声をかけているようなキャッチや何の用事があったのよと言いたくなるようなスケベな格好している女など狩人みたいな目をしている、、気がする。

 これは、まさか、僕が新宿に圧倒されているという事なのだろうか。情けない。泣きたくなってきた。
 負けるわけにはいかない、これから僕はこの都会の荒波に飲まれて生きていくのだから、とか何とか考えながら歩いていたがそもそもどうして僕は、こんなセンチメンタルになっているのだろう。身も心も群馬に染まってしまったのだろうか、田んぼが恋しくなっているのだろうか。(群馬県民の皆さん、ディスってるわけではありません。僕が住んでいる地域に田んぼが多かっただけです。)
 西武新宿駅近辺を歩いている時にふと目に入ったのは簡易PCR検査会場であった。僕が引っ越す前の地域ではこんな施設はなかったなとしみじみ見ていたがその時、ふと閃いた。
 そういえば、巷ではついにコロナウイルスの規制緩和が始まっている。かくいう僕も友人と飲みにいくのだ。久々の行動解禁で皆目が血走っているんだ。新宿なんてワンナイトカーニバル、男女が乱れに乱れ出会いを求めにきている人が9割近いと聞いたことがある。(偏見です。僕は違います。)異性に対しての鋭い視線だったんだと理解していつの間にか僕の気持ちも落ちついていた。自分には注がれていないという事は異性としての魅力は持ちわせていないとう事とイコールなのはこの時の僕には秘密である。

 自分の中で都合よく解釈した僕は、「乱れてやがるぜ」と鋭い眼光で群馬より狭くなった夜空を見上げたのであった。

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