選択を決断するということについて考えてみる
昨日の将棋竜王戦の対局(豊島竜王 VS 藤井三冠)は、まさに頂上決戦の名に相応しい超難解な将棋でした。
両者8時間の持ち時間を持っていても、豊島竜王は秒読みになりましたし、途中途中では長考合戦になり、一手に対して1時間以上考えていたことも多い対局でした。
考えに考えて決断した一手はとても重いもので、その決断に至るまでは、あらゆる選択肢を辿っては削っての繰り返しだったのだと思います。
そんな対局者の心境を慮りながら、今日は、選択を決断するということについて考えてみたいと思います。
ビジネスにおいて、決断は早ければ早いほうがいいということを聞いたことがあるでしょうか?
有名どころでは、ナポレオン・ヒル。
ナポレオン・ヒルは、成功哲学のプログラムを作成する際に、アンドリュー・カーネギーに決断を迫られ、一瞬悩んだ後に「イエス」と答えたのですが、「イエス」というまでの時間をストップウォッチで計っていたアンドリュー・カーネギーからこう語りかけられました。
「29秒。君が答えを出すまでに29秒かかった。私は1分を超えたら君を見込みのない人物として諦めるつもりだった。こういった決断というのは1分以内に出せる人間でなければその後に何をやらせてもダメなものなんだ」
このときの選択は、提案を「受けるか、受けないか」の選択です。
この選択を、単純選択と言います。
単純選択には、「受けるか、受けないか」の2者択一選択と、複数個の選択肢から1つを選ぶ選択方式があります。2種類あるということです。
その他、選択には、将棋のように選択後枝分かれし、どんどん選択肢が増えていく構造選択という選択方式もあります。
将棋でいうと、5手先を読むぐらいでも、ほぼ人間にはすべての選択を辿るのが難しいレベルになってしまいます。
ナポレオン・ヒルが迫られた決断は、単純選択ですので、早さを求められたわけですが、構造選択の決断で早さを求めてしまうと、逆効果になってしまいそうです。
将棋の例でいうと、一手に何時間もかけて考えるのと同様に、構造選択の場合の決断には、熟慮が必要であるということです。
何がいいたいかというと、なんでもかんでも選択を一括りにして、決断は早いほうがいいとは言えないということなんです。
早ければ早いほどいい選択は、単純選択に限ったほうがいいということです。
もし、あなたが思い切りがよい性格でしたら、単純選択をどんどん決断して進めていけることでしょう。
しかし、構造選択の場面においては、同じように思い切り決断すると思った通りにいかないかもしれません。
もし、あなたが慎重で石橋を叩いてでも渡らないような性格でしたら、構造選択の場面で熟慮を重ねて正解らしきものを導きだしやすいかもしれません。
選択の種類を見極めて、選択に合った時間の使い方をしていけたら、今より思い通りにものごとは進んでいく可能性が高まると思いますので、ご参考ください。
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