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京都文学賞 1次選考を通過しました

だいぶ前ですが、7月26日、京都文学賞の1次選考の結果が発表されました。どうやら私の作品が1次選考を通過したようです。

7月の末日まで、小説現代長編新人賞向けに原稿の見直しに時間を割いていました。過去に応募した作品の結果を知ると、落ちたときの悔しさのせいで見直しに集中できないと思って、なるべく見ないようにしていました。

けれども、7月30日につい見てしまいました。京都文学賞の公式Xアカウントが通過作のリストを貼りつけていたのです。

目を通すだけのつもりだったですが、自分の作品の名前があることに気づきました。ぱっと見で分かる題名だったのです。

私は「本作では一次選考通過はない」と考えていました。最初の一段落でいろいろとミスをしていたためです。

もちろん、ひとつのミスがストーリーに影響を及ぼすことはありません。ですが、もしこれが電子書籍だとしたら……お試しでは冒頭部分しか読めませんから、多くの読者候補が読む気を失ってしまいます。自分の本が商品となることを考えると、最初のミスはあってはならないものです。

それでも、一次選考を通ったのだから「運がよかった」といわざるをえません。次からは絶対に注意しなくてはなりません(と自分に言い聞かせました)。本当は二次選考も通過してもらいたいものなのですが、高望みでしょう。

それはさておき、本作ではいままでとは違う試みをしました。

Notionのツリー型テキストエディター機能を使って、小説の段落や場面、ストーリーを管理することにしました。

前回、松本清張賞に送った一次選考落ちの作品は、後から読むと“なにがなんだか分からない段落”がいくつかありました。書くべきことを頭のなかで整理したつもりでも、書いているときにはあれもこれもと考えて話が横道にそれることが多かったのです。

ツリー型テキストエディターを使えば、書くべきことがすっきりとして、筋道の通った話になります。本作を書くにあたりどれだけ、文章の順番を入れ替えたことか……。もし、Notionなしに原稿に取りかかっていたら、読んでいるひとはもちろん、書いている自分も頭がこんがらがったに違いありません。

また、書くべきことをまとめておくと、小説を書くときの想像力を発揮しやすくなります。次の段落をどのように書くべきか、風景をどのように厚めに書けば効果的かといったように、思考の“的”を絞ることができるからです。

小説はサッカーやバスケットボールに似ています。これらの球技ではゴールを決めるためにボールを動かすことが大事です。そのときに“戦術”がなければ、誰もいないところや相手が予想している場所にパスを出してしまうことになりかねません。

小説も同じで、小説家は読者になにがしかの感慨を与えるためにストーリー要素(登場人物、心情、場所など)を動かす必要があります。そのときに、ストーリーの場面がどうなっているかが見えていることが大切です。そうすれば、読者のこころが動かすために、どのようにストーリー要素を動かせよいかが想像がつきます。

うまくいくかいかないかよりも、うまくいく確率を高める。今回はそこでひとつ結果が出せたと思います。

まだ選考は終わっていませんが、応募作の弱点をもう一度考えて、次作に臨んでいきたいと思います。

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