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色彩検定1級とってみた

普段は魚屋をしている私だが、少しばかり学びを齧り始めた分野との関連で、2022年夏ごろから色彩検定の勉強を開始して、2023年1月に1級に合格した。級で合否が出るタイプの?民間の?検定?みたいなものは高校時代の英検以来、誰でも受けられる開かれた試験というのは大学時代のTOEIC以来だった。久しぶりの試験になんだかとってもワクワクしつつ、どれくらい勉強して何点くらい出るものなのだろう?と見当もつかず、フワフワした想像を楽しんだ受験勉強だった。大人になって検定というものを受けるなんて仕事柄あまり想像していなかったのだけど、とりあえず合格できたということで楽しい思い出になったので、振り返っておきたい。


ちなみに受験の動機としては、現在の仕事外でこれから取り組もうとしている分野に少しでも役に立てば、という思いで。1級が今すぐ必要だとか、仕事上取得が求められるなどではなかったので、有料のスクールや講座を受けたりはしていない。完全独学で、こまめに空き時間を見つけて勉強していた感じ。なので「この検定に昇進や転職がかかっている!!!」という方はマネしないで。勉強の仕方や時間確保の仕方がゆるすぎて危険なので。
受験料の他に掛かった費用は、公式テキストと過去問。あと、2級と1級の受験料。基本家勉派なのでカフェ代もほぼなし。

以下内訳↓

3級公式テキスト:2,420円
2級公式テキスト:2,970円
1級公式テキスト:4,070円
2級3級過去問2021年度版:1,980円
1級過去問2021年度版:1,100円
1級過去問2020年度版:1,100円
新配色カード:935円

ちなみに受験料はこんな感じ↓

2級受験料:10,000円
1級受験料:15,000円

受験料を含めた費用の合計が39,575円

これは金銭感覚の問題だが、3級が7,000円だったので、3,000円しか変わらないなら2級受けちゃおう!というコスト感覚もあり2級からの受験になった。

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2級取得までの振り返り

色彩検定の勉強自体は3級から始め、2022年6月に2級を取得した。私の場合、6月は仕事があまり忙しい時期ではないため、勉強時間はそれなりに確保できるだろうという目論見で、3級のテキストを理解する時間を確保してからの2級受験というプラン。2級受験までの勉強期間は約1か月。3級のテキストを読み、3級の過去問を解き、2級のテキストへ、という流れで勉強した。
私の経験上、3級合格点(約7割得点)への到達の目安的な話だと、3級テキストを2回読んで過去問を解いたところ、自己採点の結果約8割に到達した。勉強のスタイルとしては、仕事中に時間を見つけてはテキストを1ページ読んでみて~仕事に戻り~手が空いたらテキストを読み~の感じだったので、この時期はかなり時間的に自由が効くスケジュール感だった。勉強時間を確保できる時期の受験だったので、おそらく2級からの受験でちょうどよかった模様。日程と勉強時間に余裕を持って受験申し込みができる場合は、3級のみの受験では正直易しすぎて時間を持て余してしまい、ダレてしまうかもしれないなぁと個人的には思っている。(3級が簡単すぎる、とかではなく、大人であれば割と一般常識や日常的な感覚をもって解けてしまう問題も多いので)
その後、仕事の空き時間や休日を利用して2級のテキストを読み込んでいったのだが、2級のテキストは7回ほど読んだ記憶。3級の場合と同じく2級のテキストも2回読んだ時点で過去問を解いたところ、7割に達した感じだった。このあたりで受験日まで2週間強。とりあえず小まめに時間を見つけて公式テキストを読み、ちょこちょこ勉強しているうちに、過去問も8割後半の点数が出るようになり、夏期検定でなんとか2級が取得できた。
ここまでの3級2級の勉強時間は

(休日5時間×週2)×4週間分=約40時間
プラス仕事中の空き時間のテキスト立ち読み。

2級受験の勉強に当たり気を付けたことといえば、こんな感じ↓

①テキストに線を引かない

これは専門外、とりわけ初めて勉強する分野だったからなのだが、元々テキスト内で太字になっている部分以外で、勝手に自分で重要なポイントを決めつけないために。高校時代の中間・期末テストなど、勉強が苦手だった私のようなタイプが何度も遭遇してきた「きっとこれが重要だ!」と思って覚えたところが問題文に出てしまい出題はより深いところを突いてきて撃沈するというあるある(←ただ授業聞いてないだけ)防止策として。そして何より、せっかく時間を作って勉強するのに「試験に合格するためだけの勉強」になってしまうのはあまりにももったいないので。

②キーワードだけ付箋にまとめてテキストにペタ

①と矛盾するような面もあるが、テキストに線を引かない代わりに、大き目の付箋に自分なりにキーワードだけまとめておく。色彩検定の公式テキスト、正直「表にまとめてくれたらいいのになぁ」と思うような部分も割と真面目に文章化してある印象。文章にしておくことで理論の背景や文脈を理解してほしいなど、作り手の意図もあるとは思うのでそこは尊重すべきだが、それだけでは記憶に残らない部分など、もっと視覚的に分かりやすくなるできるのでは?と思う部分については、試験直前に見直すことを想定する気持ちでキーワードをまとめた。
例えばこんな感じ↓

「トーンオントーン配色」
明度差のあるトーン同士◎
同一トーン×
色相差0・同一色相→色相差1~3・隣接・類似色相

「クラシック」
ブラウン系・重厚な・伝統的な・低明度・dpトーン・dkトーン・
ブラウン系+みどり青黒・類似色相・類似トーン

その他こんな感じ↓


③テキストで初めて聞いた用語は自分でも調べてみる

色彩検定の勉強を始めたことで初めて聞く用語って出てくると思うのだが、それはテキストに書いてある説明だけで理解せず、自分でも調べてみることが大切かと。テキストはテキストを作っている人たちの言葉だし、その分野に詳しい人が使う言葉なので。もちろん勉強用のテキストなので平易な説明を心がけて何度も加筆修正されているものとはいえ、その説明で万人が理解できるわけではないし、テキストの作成責任者と自分の思考との相性がいいとは限らない。その相性が悪いからと言って、色彩の世界との相性が悪いわけではないので、なんか分かりにくい説明だなぁ、何回読んでも何言ってるかわかんないわ、と思ったら、自分と相性のいい説明に出会いに行けばいいので、調べるのが良いかと。とりあえずググる。
ちなみに私が調べたのはこのあたりの用語↓

・RBG色空間
・CMYK色空間
・HSB色空間
・webセーフカラー色空間
・色空間(カラースペース)

とりわけ私は情報系?の分野に疎いため「メディアデザイン」のあたりが飲み込みにくく、テキスト内の説明で理解できない文脈は、単語の背景や使われる分野、使われ方を理解することで飲み込んで言った感じ。


④過去問1回分は試験直前にとっておく

2級・3級は過去問1冊に1年分(夏冬の年2回実施)が入っている。1回分を解いたところで7割に達したので、「積み重ねればいけるやつだ…」ということで、1回分はとっておいた。もう1年度分購入して問題を4回分揃えて何度も解く手もあるのだが、その辺りの費用は積極的に削減させていただいた。私の場合「この検定が絶対に必要!!!」とかではなかったので、ところどころ節約心が働き購入に至らず…。過去問は勉強の最初と最後かなぁと。

そんなこんなで夏期の試験日程で2級を取得。ちなみに2級合格時の点数は200点満点中189点。


続いて1級は1次と2次があるので、分けて振り返っていこうかと。

1級1次合格までの振り返り

続いて8月中旬に「せっかくだし、2級の内容を忘れないうちに1級も」と思いたち、1級受験を決定。とはいったものの、8月下旬から仕事は徐々に通常運転に戻り、10月から本格的に繁忙期に入る私。週休1日で平日はおおよそ5:00~20:00の勤務となる。1級1次まで確保できた勉強時間は休日の約5時間と(いや、普通もっとできるはず…)、仕事の合間の立ち読み。

休日5時間×12週=60時間
プラス仕事の合間の立ち読み

ちなみに1級、「え?違う検定ですか?」ってくらい難易度上がって驚くレベル。検定ってそういうものなのね。2級までが易しくて、1級は甘くない世界に導かれる、そういうものなのね。社会勉強になりました。

ということで、テキストをさらさら読むだけでは頭に入らず、面倒くさがりの私もさすがに重い腰を起こしノートにまとめるなどしていました。
ノートにまとめた内容としては、年代・人名・書籍名・専門用語別にカラー分け。「いつの時代に、誰が、なんて本を書いて、何を明らかにしたか」的なことを大まかに把握した感じ。あと、専門用語ぽいものについては、覚えるしかないので、テキストの文章を自分の言葉に置き換えてまとめる感じで。
以下に、あくまでも個人的な勉強方法を。

①歴史の部分では、それぞれの顔料や染料、色が登場する順番はざっと把握しておけたらいいのかなぁと。例えば、同じ青系でも、インディゴやウルトラマリンよりもプルシアンブルーの方が年代的には後から出てくるよー、それで合成インディゴがもっと後から実用化されるよーとか。その辺が把握できていると、実際に問題を解く際のスピードアップに役に立つのかなぁなんて思いながら覚えていった感覚。穴埋め問題で悩むの時間もったいないしね。
②色彩調和論の部分は、「誰が何を言った」の世界。1級で人名と色彩への貢献が書かれているあたりも、3級や2級に出てきた内容のさらに詳しい説明だったりするので、テキストを行き来して繋がりを認識することで覚えやすいように工夫した。ダイアードやヘクサードってイッテンが言ったことだったのねーとか、ナチュラルハーモニーってルード始まりだったのねーとか。
③光と色に関わる部分なんかは、私の場合はとりわけ照明の分野に馴染みがなさ過ぎたので、出てくる用語をただただまとめた。このあたりが私にとっては自分の頭とは相性が悪いな~入りにくいな~と思うものだったので、用語ひとつひとつ細かくまとめた感じ。表色系や測色、色彩心理のあたりも同様。
④色彩とビジネス、ファッションの分野は、一般常識だったり感覚的に実感の伴う部分が多いので、覚えるというよりも何度か読んで「そうだよね、わかるわかる」という感覚慣らしでよいかと。景観色彩についても、分量が多くないので繰り返し読む感じで徐々に頭に入るかと。

そんなこんなで、結果200点満点中185点で合格。週1回休日にノートに書き込み、平日6日間は立ち読みを繰り返す感じで乗り切りました。


1級2次合格までの振り返り

1次合格が分かってから初めて2次の準備を開始したのだが、聞くところによるとこのスケジュール感はどうやらかなり遅いらしい。1次合格が分かる前、自己採点で「たぶん受かってるな~」くらいに思っていた頃、1級取得者の方には「え?今から準備?何もやってないの?」って言われたので、皆1次の試験前には1次合格を見越して2次の準備を始めるみたい。これ、ネットにも書いてあった。
ただ、”冬の味覚・蟹”を売っている私の言い訳としては、11月下旬や12月初めのこのころは繁忙期真っただ中で、1次の合格発表を確認してさえいなかった。おそらく合格発表日が過ぎて何日か経った頃、オンラインで確認してみると合格していたので、本腰を入れて勉強(というか立ち読み)し始めた感じ。1次合格を確認してから2次の試験日まで約2週間。その間も繁忙度は増すばかりなので、とりあえず夜なべして乗り切った。
2次で重点を置いたポイントはこんな感じ↓

①慣用色名とPCCSの色記号丸覚え

絶対出るって分かってるんだけど…これだけの色全部覚えるなんて無理…ってなるけど覚えないで15,000円の受験料捨てる方が無理すぎるので、覚えるしかないよね…。

②PCCSの色相環は色記号と色名を含めてさっと手書きできるように

これは試験を解くのに色相環と各色相の色記号・色名がパッとわかると早いので、試験問題のMEMO欄にささっと書けるようにしておくもの。覚えるだけ。これは2級までの時点で覚えているはずなので、忘れないように何度かおさらいしました。

③単色をみてトーンを予測できるように

過去問を解いていて、「え?これ見た瞬間トーン分からないと解くのに時間かかるんじゃない?」て問題が。ただ、dpトーンとdkトーンとか、ltトーンとbトーンとか、両者を並べられると見分けられても単色をパッと見てトーンが分かるかというと、結構難しい。パっと見で見分けがつくように訓練あるのみ。私はカラーカードを切り取ってトーン別にノートにまとめるなどしました。


1級2次勉強に当たっての反省点

2次試験に当たって、後々振り返ってやっておけばよかった、と思うことを以下に。

①とりあえずググるべきだった

2次の情報って公式からはほとんど出ていなくて、ペラペラの過去問の冊子のみなのだけど、実はネットに情報が色々落ちてる。私は一切ググっていなくて、これが大反省。2次の勉強を始める前にググるべき。2級・1級1次と公式テキストのみで乗り切れた体験から、「全て公式で賄えるんでしょ」くらいに思っていた。それに公式外でその辺に落ちている情報なんて信用できないでしょ?(ほら、簿記の問題集が公式と非公式で質がかなり違う、みたいな現象が起きてる風な?)なんて印象があったのだが…。勝手な決めつけでした。Youtubeとか個人ブログとか、「色彩検定1級2次対策!」みたいな(そんな単純なワードかわからない…)ページがたくさんとは言わないまでも、それなりにあった模様。私は2次試験2日前に初めて「色彩検定1級2次」を検索していて気付くのが遅遅だったので、これから受験する人にはまずググってほしい。
とくに失敗したなぁと思うのは、慣用色名とPCCSの色記号の照合。私は地力で照合するものだと思い込んで、テキスト巻末の慣用色名に付記されているマンセル値とPCCSの色記号を照合したてカラーカードに色名を書き込んだ。ほんと大変だったー。しかも合ってるかわからないのね。これ合ってるのかなぁと思いながらの作業から得られる虚無感と言ったらもう。こんな感じ↓

なのにこれ…Youtubeにめちゃめちゃ落ちてた。もちろんUPしてる人によって慣用色名の当てはめ方にわずかな違いはあるのでそれを信用するかは自己責任なのだが、皆さんそれなりに勉強されて情報をUPなさっているので、9割信用してよさそうな感じ。まぁ照合する中で、各慣用色名の明度と彩度がある程度把握できてかなり勉強になったのだが、2日分くらいの夜なべが潰れた。もっと早くネット上の情報に気がついていれば、照合に2夜を費やすことはなかったはず…。これから受験する方は、積極的にググることをオススメします。


②慣用色名は、解説までしっかり覚えること

トーンと色相番号が分かっても、慣用色名を間違えるパターン。実際の2次で私が間違えた問題↓

問題(3)のA.「古代エジプトですでに知られ、エジプト人が目を守るまじないに目の周りに塗ったという色」の慣用色名を答える問題。
正答は「マラカイトグリーン」なのだが、ここで私は「ビリジアン」と誤答。けどこれテキストの慣用色名のページにしっかり書いてある。マラカイトグリーンの解説に「エジプト」「目を守るまじない」というワードがちゃんと入っている。ここで選択した慣用色名を表す色記号をさらに選択してその後の問題を解いていくが、私はここで正答であるマラカイトグリーンを指すdp12を選択したので、運よくこの後の問題は間違えずに済んだ模様。ただ、2次は大問のなかの1番目を間違えるとその後が総崩れするパターンが多いようなので、私のような間違えには要注意らしい。
ちなみに、試験会場から駅まで同じ方向に歩いていた学生団体から漏れ聞こえる話によると、この問題の誤答率はかなり高かった印象。私のようにビリジアンを選択して間違えた人もいるし、全く色相の異なる色を選択してしまっている人もいて、ここがかなりの分かれ道になった様子。慣用色名とPCCSの色記号の照合はしっかり覚えておくのが良さそうです。


③1級~3級はまんべんなく読み返しておく

2次は1級~3級の全範囲が出題範囲ということで全てを見返すわけだが。正直、1級なんてこの間受けたばかりだし忘れてるわけないでしょ?という思い込みで2級3級のテキストばかり見返してしまっていた。ところがどっこい。問題(2)が1級から出題されてしまった。自己採点によると、ここ6問中おそらく1問しか解けてない。まさかの忘れてしまっていた1級の範囲。1級はこの間受けたばかりだからテキスト頭にバッチリ入ってるはず!という過信は捨てて、ちゃーんと1級から3級までざーーーーーっとおさらいすることが大切。

結果、200点満点中172点で合格。
これ、7割とればいいんだから十分な点数だと思いきや、Twitterとかで検索すると満点の人ゴロゴロ出てくるの。皆すごすぎ。載せてるのが満点の人率高いと考えるのも筋かもしれないけど、懸ける思いが大きい、熱い。皆目標に向けて頑張って、そのうえちゃんと達成して偉い、本当に。


1級2次番外編

試験内容以外の面では2点ほど。

①2次試験会場は隣県まで
なんと1次の合格通知とともに2次の案内が届いてびっくり。私の住む富山では2次試験開催されず、隣の石川県金沢市まで新幹線で遠征してきました。まさかの遠征。え?田舎では開催されないの?と思ったが、よーく思い出してみると、県内に1つしかない1次の試験会場にいた受験者は20人もいなかったので、そのなかの合格者のみのために2次会場押さえて人揃えないよなぁと。納得。金沢の会場に北陸の田舎の民集合。田舎の民は遠征が必要な場合もあるので、1時間半の2次試験を受けるために1日潰れます。

②受付時間が長い
受付時間が11:40~12:50だったのだが、11:40~11:50だと見間違い。11:50になっても試験始まらないし、受験者の席はガラガラだし。おかしいなぁ~と思って会場のホワイトボードの「受付11:40~12:50」の文字を何度も何度も読み直して自分の勘違いにやっと気がついた。1時間の勘違い、1時間の予定が狂うことを知った時の愕然とした気持ちは半端じゃなくて、「あと1時間勉強できる~」とかポジティブ思考には全然至らなかった、ただただ落胆。飲み物も200mlのペットボトル1本しか持たず、こんな長いならチョコレートの1つでもつまみたいなぁ~しかも会場めちゃめちゃ寒い…と思いつつ、長い長い自主勉時間を過ごしました。会場寒いのが一番辛かった。当たり前のことだが、時間はちゃんと確認しましょう。まぁ遅刻じゃなくてよかった。というか受付時間長すぎではっっっ!!


こんな感じで、初勉の状態から色彩検定1級取得までの思い出話をつらつらと。大人になってからの知らない分野の勉強は総じて楽しかったなーという印象。まぁ検定の難易度は、色彩やデザインの世界については門外漢である私には評価できないのだが、大人になって誰かから分かりやすく「合格」を貰えるなんて滅多にない。つまり、総じてオススメだ。


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