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マスク着用不要になったラスベガスで今、思うこと

6月1日から、ワクチンを接種済みの人にとってはいわゆる「コロナ前」の生活様式が戻ったわが町、ラスベガス。その様子はニュースにある通り。

マスクなしの毎日が始まった

ワクチン接種を終えていれば、どこもかしこもNOマスクで入れるようになり、よく行くカフェも定員制限をしなくてもOKになっていて、

「あれ?今日は客が多いな…ああ!6月1日になったのか」

と実感したのでした。

もちろん、ワクチン接種率が上がったはいえ、6月2日現在、過去7日間で677人 (10万人中29.1人)コロナ感染者が報告されています。

それにカジノホテルの立ち並ぶ中心街は全米中から観光客がわんさか訪れているので、基本的に近づかない、どうしても行く時にはマスクをするなど、引き続き注意をしながら生活しています。

ただ、公園などは堂々とマスクなし(今までも実際にはマスクしない人が多かったし、自分も人と距離があればマスクしなかったけど、今は堂々とマスクなしでいられるのが嬉しい!)だし、ワクチンを打った人者同士だったらハグもします。一年ぶりにハグをした感動たるや!

そんな時、ある日本の知り合いからYoutubeのリンクが送られて来ました。

スクリーンショット 2021-06-02 午後11.26.39

何これ!
怖い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

コロナワクチン打った人(自分)にとっては心臓に悪い画像ですね。

いわゆる「陰謀論」というか、「反ワクチン派」の動画でした。

真面目に視聴していたのですが「ちょっと待て!情報間違ってる!」と思うところが多々あったのと、「自分で自分の信じることを守るのはいいけど、私の大切な人まで騙すんじゃないわよ!迷惑!」と怒りで頭噴火したので、今日はちょっとnoteに書いておこうと思います。

(視聴数が増えて、信じる人が増えたらダメなので、リンクではなくて画像を貼ることにしました)

巷に溢れる「アンチワクチン」動画に対して思うこと

このYoutuberの方は、アメリカの大衆紙USA Todayのウェブ(5月27日)に出た記事「Fact Check: Nobel Prize winner said COVID-19 vaccine recipients have 'no chance of survival'」といったアメリカのニュース記事や、英語を話す専門家らしきYoutuberの動画を巧みに組み合わせて、まるで教授のように解説していて、この動画を観るだけだと「彼の言ってることは本当かもしれない」「ワクチン怖いなあ」と思わせる内容を発信されています。

だって「ノーベル賞受賞の科学者」っていうとなんか信用できそうな感じがしますでしょう?でも、騙されないでください。全てのソース(原文)を見てみると内容は全く違っているんです。英語を話す専門家らしきYoutuberの話だって内容を聞けばすぐに眉唾ものだとわかるのに、権威ある専門家のように紹介していたり…。

さっきの引用記事だって原文タイトルを日本語訳すると「その真偽を調べてみた!:ノーベル賞受賞者はCOVID-19ワクチンの接種者が「生存の可能性がない」とは言っていない」。つまり「今流行っている噂、間違っていると証明しました」というサイトから、噂の部分だけを取り出して、ワクチンに対する恐怖を煽るかのようにお話されているのです。このYoutube。

もう!やめてほしい!!

実際、この記事を最後まで読んでみるとこんな結論になっているのです。


Our rating: False
We rate FALSE the claim that Montagnier, a Nobel Prize-winning scientist, said there is "no hope and no treatment for those who have been vaccinated already"  because it is not supported by our research. Montagnier had previously expressed concerns about mass vaccinations and antibody-dependent enhancement, but there is no record of him claiming all vaccine recipients will die.
(訳)
ー USA Todayによる評価:デマ情報
ノーベル賞受賞科学者であるMontagnier氏が、「すでにワクチンを接種した人には希望も治療もない」と述べたという主張は、我々の調査では裏付けられていないため、デマ情報と評価します。Montagnier氏は以前、大規模ワクチン接種や抗体依存性増強について懸念を表明していましたが、ワクチン接種を受けた人が全員死亡すると主張した記録はありません。

こういう「陰謀論」とか「アンチワクチン」の情報って、このYoutube動画に限った話ではありません。アメリカでもSNS上でめっちゃくちゃ流行っていて、信じている人も結構います。だからこそ、こういうニュースサイトが「Fact Check」という記事で様々なエビデンスを元に、そういうデマの真偽を確かめて発信しているわけです。

未知のものに対して不安を抱くのは人間、ごく自然なことですし、ワクチンの副作用(特に2回目)も、私自身が発熱&頭痛&全身の痛みなどインフルエンザ並みの辛い体験して痛感しています。Covid-Armと呼ばれる、接種後の腕が赤く腫れて一週間痛いまま、というのも経験しました。友達の多く(30代女性)も2回目の副作用辛かったと言っていますし、そもそもワクチン接種は義務ではないのだから、個々人でしっかり考えて、そして家族やかかりつけ医と相談して、接種を決めるというのに賛成です。

実際、アメリカの友達にもワクチン打てるようになってすぐ打つ人と、そもそもあまり出歩かないから(副作用いやだし)、ちょっと様子見するという人と両方います。それのどっちがいいとか悪いとかは無いと思うし、尊重するべきだと思うのです。ただし、ラスベガスのコロナに関するデータを見たり、この街に生きている実感として、やっぱりワクチンを接種した人が多くなるにつれてコロナにかかる確率も死亡者数も劇的に減ってきたし、そんなに混み合った場所でなければマスクなしでも安心して出歩けるようになりました。やはりワクチンの集団免疫の力はすごいんだなという印象です。(もちろんワクチンを打ってもコロナにかかる人、亡くなる人はいます。だから、完全に予防していないわけではありませんし、実際、ラスベガスのカジノがたくさんある地域は観光客が多くパーティーしているので近づいていません。地元民はそんなものです。)

メディアリテラシーを高めよう

私が今回noteに書かねば!と思ったのはひとえに、原文をちゃんと読めば間違っているとわかる動画に100万回以上の再生回数があって、4万以上の「いいね」がついていることに恐れを感じたからです。

もしできるなら、英語でも臆せずに調べてほしい。特に、YoutubeやSNSの情報は玉石混合なので、ちゃんとその情報を精査しなければデマの波に飲み込まれてしまいます。

ラスベガスに住む私は、CDCだったり、Covid Act Now という地域の感染リスクや死亡率がデータでわかりやすくまとめられているサイトだったり、地元のFox5ニュースだったり(Foxは保守派だからあんまり好きじゃないけど、地元のニュースは信用できるので観ています)、信用できるサイトから情報を得るようにしています。YoutubeやSNSで流れてきた情報は一旦保留して、自分でソースを調べて確認します。それでも迷えば、信用できる家族、友人の意見を聞いてみます。少なくとも「一度も会ったことのない自称専門家」、「占い師」や「コンサルタント」などの話は信用しません。

最近は、SNS上で間違った情報が「正しいかのように」拡散して、匿名が集まった「大きな声となって」発信されることが多くなりました。その時に「それって本当かな?」と思って原点を探ってみないと、間違った情報に振り回されてしまいます。これがただ単に「あちゃー信じちゃったな」レベルならいいですが、例えば命に関わる情報だったらどうでしょうか。

今や、Google翻訳様を使えば何語だろうが大抵の記事の大筋はわかる時代です。「専門家らしき人の解説」に頼らずとも、いろんな翻訳ツールが出回っていますから活用すれば原文の意図はわかるはずです。

この不安定で先の見えない時代に、たった一つの正解はありません。

だからこそ、自分に必要な知識を見極める情報リテラシー、心から信頼できる人のつながりこそ宝だなと思う今日この頃です。

とりあえず、ラスベガスは観光客が多すぎて肉が不足しているので(アメリカ!!!)、魚を買ってこようと思います。

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